上 下
68 / 246

★22-3 快楽の入り口?【注:本命以外と】

しおりを挟む
將梧そうご

 無反応の……いや。たぶん表情を固くしちゃってる俺を見て、かいが微かに眉を寄せる。

「嫌ならやめよーぜ。男が平気ってわかったんだしよ。あとは、ちょっとずつ涼弥とやってけばいーんじゃねぇの?」



 涼弥と……そうだ。今こうしてるのは、涼弥を拒否しないかどうか確かめるため。
 そして、男とのセックスが怖くないかの確認。
 それと、どんなことしてどうなるのかも知りたい……知っておきたいから。

 涼弥とする時にパニックになったり、恐怖と嫌悪感で怖気づかないように。
 だけど、それだけじゃないよな。
 この気持ち。

 経験しときたいって思うのは……俺のエゴだ。



「大丈夫。やって」

 凱が片方の眉を上げた。

「嫌じゃない。先輩にムリヤリされたのと違うって……嫌なコトじゃないって知りたい」

「ん。オッケー。痛くしねぇよ」

「しただろ。さっき」

「ごめんね」

「いいよ。気持ちよくなるって……わかっててやめなかったんだろうからな」

「まーね」

 ニッとした笑みを残して、凱が視界から消える。
 すぐに戻った凱の手にはローションのボトル。

「膝立てて脚開いて」

 う……その恰好って全部丸見え……超恥ずかしいよな?

 動かずにいる俺を、凱は容赦なくバッサリ。

「見られんの嫌なら挿れんのは無理」

 ですよね。
 うん。わかってる。

 膝を立て。そろそろと脚を開く。
 その間に身体を割り入れた凱が、ローションを手のひらにトロリと出した。ボトルを脇に放り、左腕を俺の膝裏に差し入れて持ち上げる。

「やっ! じゃなくて……やっぱ恥ずかしいだろ。そんなとこマジマジと見られたら……」

 尻が上向きになって。ペニスと睾丸はもちろん、アナルがさらに丸見えになってるだろう体勢に顔が熱くなる。

「ケツの穴って思わなきゃいーじゃん?」

「じゃあ何の穴だよ?」

「んーと……快楽の入り口?」

 自分の口から笑いが漏れる。

「いいな、それ……うあっ!」

 突然、アナルをぬるりと触られた。

「力抜いてて。ちょっと冷たいけどすぐあったまるからさ」

 凱はいきなり指を突き入れたりせず。
 穴の周りをクルクルと撫で、時々ひだを伸ばすように擦る。

 視線を凱に向けると、俺のアナルを真顔で見つめてるのが見える。

 恥ずかしいってよりも、そこ触られるのが変な感じで……なのに、ペニスが反応するゾワゾワ感が……。

「あ……凱……」

「入れるね。まず1本」

 つぷ……。

 身構えたような痛みも悪寒も恐怖もなく。
 凱の指はスルリと俺の中に入った。

「ふ……あっ、あッ……」

「怖い?」

 首を横に振る。

「よくほぐさねえとな」

「うあッ……! うっあっ……」

 アナルの中で、凱の指がうごめく。腸の壁を指先で撫でられ、指の根元で入り口を広げるように押されるのを感じる。
 ぬぷぬぷと。
 暫くソコをいじられ続け。

「もう1本」

「っあう……ふ……うっ……っあッ……」

 倍になった指の圧迫感に、息が浅くなる。
 今度は2本の指で中を擦られ。抜き差ししながら、アナルの襞を指で広げられる。

 痛くはないの。ちっとも。
 ただ……時折来るフワーっとなる感覚が未知の快感で。

「あ……んっ、くぅっ……」

「將梧。中に気持ちいいとこあって、勃ってる時は硬くなるから触るとわかんの」

 あ……前立腺ってやつか。
 そこがいいっていう知識はある。

「うん」

「こんだけ勃ってればバッチリ」

「うあッ……んッ!」

 唐突に、凱が俺の半勃ち強のペニスにしゃぶりついた。
 数回、舌を絡めながら唇で扱いて離れる。

「よ過ぎて怖いかもしんねぇけど、大丈夫。気持ちよくなれよ」

 中にある凱の指が、腹側の一部分をグイッと押した。

「ひぃあッ……! ああッ……」

 痛さ3歩手前くらいの快感が、ペニスの根元に走る。

「やっ、まっそれ、ちょっとまっ……んッああッ……!?」

 薄い腸壁越しに刺激される前立腺の快感が、ビリビリと背骨から脳まで伝う。

「凱っやだっこれっ……ひああッ……!」

 2本の指でコリコリと強く擦られて。触れてないペニスにも、どこからかわからない快感の波が襲ってくるようで。

「っう……んんっ……」

 凱に口を塞がれた。
 侵入する舌にねっとりゆっくりと口内をなぶられ、熱い舌に応えながらも。
 強い快感に身を委ねちゃおうとする自分に『待った!』がかかる。



 初めての受けは涼弥とじゃなきゃダメ。



 沙羅の言葉が頭に浮かんで。
 実際にこの快感に晒されて。
 怖いくらいの気持ちよさに、ほかはどうでもいいってなりそうで。
 
 だけど。
 たとえこの一時だけの間にも手放したくない思いがあって。



「んっ……やめ……おねが……い、んんッ……はっあッ……!」

 夢中で伸ばした手で、凱の肩をぎゅっと掴む。
 凱が唇を離し、指を動かすのも止めた。

「イキたくねぇの?」

「中で、は……今は、イキたくない……」

 荒い息づかいでやっとそう言うと。
 俺を見下ろしたまま、凱が笑う。すべてお見通しな感じで。

「涼弥?」

「う……ん、ごめん……ほんとに」

 凱は、俺の方脚を持ち上げる形でベッドについた手を外した。
 そして、アナルに入れた2本の指をゆっくりと引き抜く。

「うっ……あッ……」

「思ったよりもったねー」

「え……?」

「もっと早くやめると思ってたぜ?」

「凱。俺……」

 何て言えばいい?
 何て切り出せば……うまく伝わる?

「挿れんのはなし?」

「うん。ごめん……」

「あーでも、1回イカせて。お前もそれじゃつらいだろ。一緒に扱いてもいー?」

 返事をしない俺の頬を、凱が撫でる。

「どうした? こんなんで気に病むなよ。仲良くイって終わろーぜ」
 
 凱が位置を合わせ、自分のペニスと俺のをくっつけて握り込む。

「うッあっ……う……待って……お願いが、ある」

「んー? イってからじゃダメ?」

「ダメっていうか。凱……」

 まだ欲情の消えてない凱の瞳を見つめる。

「お前のこと抱かせて」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

いろいろ疲れちゃった高校生の話

こじらせた処女
BL
父親が逮捕されて親が居なくなった高校生がとあるゲイカップルの養子に入るけれど、複雑な感情が渦巻いて、うまくできない話

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

上司に連れられていったオカマバー。唯一の可愛い子がよりにもよって性欲が強い

papporopueeee
BL
契約社員として働いている川崎 翠(かわさき あきら)。 派遣先の上司からミドリと呼ばれている彼は、ある日オカマバーへと連れていかれる。 そこで出会ったのは可憐な容姿を持つ少年ツキ。 無垢な少女然としたツキに惹かれるミドリであったが、 女性との性経験の無いままにツキに入れ込んでいいものか苦悩する。 一方、ツキは性欲の赴くままにアキラへとアプローチをかけるのだった。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

【R18】息子とすることになりました♡

みんくす
BL
【完結】イケメン息子×ガタイのいい父親が、オナニーをきっかけにセックスして恋人同士になる話。 近親相姦(息子×父)・ハート喘ぎ・濁点喘ぎあり。 章ごとに話を区切っている、短編シリーズとなっています。 最初から読んでいただけると、分かりやすいかと思います。 攻め:優人(ゆうと) 19歳 父親より小柄なものの、整った顔立ちをしているイケメンで周囲からの人気も高い。 だが父である和志に対して恋心と劣情を抱いているため、そんな周囲のことには興味がない。 受け:和志(かずし) 43歳 学生時代から筋トレが趣味で、ガタイがよく体毛も濃い。 元妻とは15年ほど前に離婚し、それ以来息子の優人と2人暮らし。 pixivにも投稿しています。

処理中です...