57 / 246
19-3 ギブ!!!
しおりを挟む
「涼弥」
ゆっくり息を吸った。
熱い。
サウナのこの高温の空気って、ただでさえ息苦しいのに。
脈拍上がると、酸素ほしくてハフハフしちゃうよな。
「お前にハッキリ言っときたい。俺、凱のことは友達として好きで、信頼もしてる。でも、恋愛対象として好きとか気になってるとかはない。本当に」
涼弥が目を瞠る。
否定に驚くのは、マジで俺が凱をって思ってたからか?
会ってすぐ仲良く……涼弥と俺もそうじゃん?
まぁ、4歳か5歳の時だけどさ。
気を許して打ち解けてって、自分もそうなのに。
俺の一番近くにいるのは自分なのに……そこはならないんだ?
俺が自分に惚れてる……っていうふうには。
謎だ。
「わかった」
自分を納得させるように涼弥が頷く。
「お前はノンケだし、彼女と……うまくやってるんだしな」
「それは……うん。そう」
まぁ……そうなるよね。
そう思わせたままにしてるの俺だからな。
けどさ。
そこを強調したいんじゃないんだよ!
深音がいるから、凱を好きなのはお前の思い込みだっていうんじゃなくて。
俺が好きなのはお前なの。お前!
そう言えないのが歯がゆい。
いや。言っちゃえばいいんだろうけど……今はダメ。
あと何日か……1週間後にはきっと、自信もって言える……はず。
「將梧。女って、そんなにいいか?」
は……!?
そんなにって……どんなに!?
そもそも、そんなには知らないし……何て言えばいいの?
つーか!
どこに続くのコレ!?
「いい……のかな? え……と、何と比べて? てか、いいって……何が?」
「いや、その……なんとなく」
涼弥の瞳が泳ぐ。
ちょっとおもしろい。
滅多なことで動揺しないのに……してても表に出ないのに。
もともと、涼弥は感情や意思が読めないんだよね。顔や態度に出さないから、真意がわかりにくいの。
そう思ってたんだけど、なんか今はわかる。
少なからず、焦ってる……俺みたいに。
「いいんだ。気にしないでくれ」
「彼女ほしい…のか?」
流れ的に尋ねると、涼弥が首を横に振る。
「いや。ただ、周りのヤツらみんな女の話するしな。紹介してやるってしつこいヤツもいる」
「あー……そうなるのは仕方ないよ。うちの学園のヤツらは、ほら……半分は男好きだけどさ。外ではほとんどが女好きだし。実際、お前モテるのに彼女いないから」
「街の連中に女は要らないって言うと、不思議な顔されるぞ。学校じゃ、ああそうなんだって感じだが」
え……学校でもそう言ってるの!?
「お前それ、クラスのヤツらに……ゲイだと思われないか?」
「男も要らないとは言ってある。告られても断ってるからな。そっちとは思われてないはずだ」
俺を見つめる涼弥を見つめる。
マズい。
この流れでもし、好きだとか言われたら対処出来ない。
いや。それはないか?
俺が彼女持ちのノンケなの確認したしな。
だけど。
女っていいか?が、男はダメか?の前フリの可能性もあるじゃん?
話題を変えよう。
「あ、さっきの江藤の。土曜に話あるってそのことだった?」
苦しいか。
凱が江藤のとこ行くのは週末の予定。上沢の話聞いたんなら、それ知ってるはずだもんな。土曜じゃ終わってるだろ。
「江藤の件は、水曜にでも聞くつもりだった。土曜の話があるってのは、俺がお前に……」
涼弥が視線を落とした。
さっきの俺と同じ。同じ狼狽え……って、俺の身体見て!?
え……!?
もしや、似たようなこと考えてたりなんか、する……。
ギブ!!!
もうこれ以上無理。
だって、熱くてクラクラしてきたし!
10分以上も90度の部屋にいるせいもあるけど。
とにかく限界だ。
「俺! ちょっと冷ましてくるわ。続きはあとで」
「あ、ああ……」
目線を上に戻した涼弥の怪訝そうな顔に、バツの悪さが浮かんでる気がして。さらにカッとなる俺。
「そうだ! 沙羅の様子も見に行くから。お前も、もうその友達のとこ行けよ。あんまり待たせちゃ悪いだろ」
「大丈夫だ。俺も一回風呂で冷ましたらまた来る」
あ……そう?
筋トレしに行かなくていいのか?
俺がサウナいる間ずっといるのか?
まだ何か話あるのか?
土曜の話って……そんな言いにくい内容か?
聞きたいことは数あれど。
今は脱出優先だ。
「じゃあ……またな」
涼弥を残し、そそくさとサウナルームから抜け出した。
ゆっくり息を吸った。
熱い。
サウナのこの高温の空気って、ただでさえ息苦しいのに。
脈拍上がると、酸素ほしくてハフハフしちゃうよな。
「お前にハッキリ言っときたい。俺、凱のことは友達として好きで、信頼もしてる。でも、恋愛対象として好きとか気になってるとかはない。本当に」
涼弥が目を瞠る。
否定に驚くのは、マジで俺が凱をって思ってたからか?
会ってすぐ仲良く……涼弥と俺もそうじゃん?
まぁ、4歳か5歳の時だけどさ。
気を許して打ち解けてって、自分もそうなのに。
俺の一番近くにいるのは自分なのに……そこはならないんだ?
俺が自分に惚れてる……っていうふうには。
謎だ。
「わかった」
自分を納得させるように涼弥が頷く。
「お前はノンケだし、彼女と……うまくやってるんだしな」
「それは……うん。そう」
まぁ……そうなるよね。
そう思わせたままにしてるの俺だからな。
けどさ。
そこを強調したいんじゃないんだよ!
深音がいるから、凱を好きなのはお前の思い込みだっていうんじゃなくて。
俺が好きなのはお前なの。お前!
そう言えないのが歯がゆい。
いや。言っちゃえばいいんだろうけど……今はダメ。
あと何日か……1週間後にはきっと、自信もって言える……はず。
「將梧。女って、そんなにいいか?」
は……!?
そんなにって……どんなに!?
そもそも、そんなには知らないし……何て言えばいいの?
つーか!
どこに続くのコレ!?
「いい……のかな? え……と、何と比べて? てか、いいって……何が?」
「いや、その……なんとなく」
涼弥の瞳が泳ぐ。
ちょっとおもしろい。
滅多なことで動揺しないのに……してても表に出ないのに。
もともと、涼弥は感情や意思が読めないんだよね。顔や態度に出さないから、真意がわかりにくいの。
そう思ってたんだけど、なんか今はわかる。
少なからず、焦ってる……俺みたいに。
「いいんだ。気にしないでくれ」
「彼女ほしい…のか?」
流れ的に尋ねると、涼弥が首を横に振る。
「いや。ただ、周りのヤツらみんな女の話するしな。紹介してやるってしつこいヤツもいる」
「あー……そうなるのは仕方ないよ。うちの学園のヤツらは、ほら……半分は男好きだけどさ。外ではほとんどが女好きだし。実際、お前モテるのに彼女いないから」
「街の連中に女は要らないって言うと、不思議な顔されるぞ。学校じゃ、ああそうなんだって感じだが」
え……学校でもそう言ってるの!?
「お前それ、クラスのヤツらに……ゲイだと思われないか?」
「男も要らないとは言ってある。告られても断ってるからな。そっちとは思われてないはずだ」
俺を見つめる涼弥を見つめる。
マズい。
この流れでもし、好きだとか言われたら対処出来ない。
いや。それはないか?
俺が彼女持ちのノンケなの確認したしな。
だけど。
女っていいか?が、男はダメか?の前フリの可能性もあるじゃん?
話題を変えよう。
「あ、さっきの江藤の。土曜に話あるってそのことだった?」
苦しいか。
凱が江藤のとこ行くのは週末の予定。上沢の話聞いたんなら、それ知ってるはずだもんな。土曜じゃ終わってるだろ。
「江藤の件は、水曜にでも聞くつもりだった。土曜の話があるってのは、俺がお前に……」
涼弥が視線を落とした。
さっきの俺と同じ。同じ狼狽え……って、俺の身体見て!?
え……!?
もしや、似たようなこと考えてたりなんか、する……。
ギブ!!!
もうこれ以上無理。
だって、熱くてクラクラしてきたし!
10分以上も90度の部屋にいるせいもあるけど。
とにかく限界だ。
「俺! ちょっと冷ましてくるわ。続きはあとで」
「あ、ああ……」
目線を上に戻した涼弥の怪訝そうな顔に、バツの悪さが浮かんでる気がして。さらにカッとなる俺。
「そうだ! 沙羅の様子も見に行くから。お前も、もうその友達のとこ行けよ。あんまり待たせちゃ悪いだろ」
「大丈夫だ。俺も一回風呂で冷ましたらまた来る」
あ……そう?
筋トレしに行かなくていいのか?
俺がサウナいる間ずっといるのか?
まだ何か話あるのか?
土曜の話って……そんな言いにくい内容か?
聞きたいことは数あれど。
今は脱出優先だ。
「じゃあ……またな」
涼弥を残し、そそくさとサウナルームから抜け出した。
0
お気に入りに追加
327
あなたにおすすめの小説
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件
水野七緒
BL
一見チャラそうだけど、根はマジメな男子高校生・星井夏樹。
そんな彼が、ある日、現代とよく似た「別の世界(パラレルワールド)」の夏樹と入れ替わることに。
この世界の夏樹は、浮気性な上に「妹の彼氏」とお付き合いしているようで…?
※終わり方が2種類あります。9話目から分岐します。※続編「目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件」連載中です(2022.8.14)
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる