上 下
103 / 167

103 叫んじまいそうだ:S

しおりを挟む
「興奮する……あ、きみはリラックスね」

 さっき使った温感ローションみたいな細めのパックを開け、玲史が俺のちんぽの先にドロリとしたものを垂らす。

「医療用の潤滑ゼリーだから安心して。ブジーも殺菌済みだし、手も消毒するし」

 ケースに入ってたのか、アルコールティッシュらしいもので指先を拭く玲史。

「まだ、けっこう硬いな」

「ッあ……ッ」

 最後に出したが、俺のちんぽは半勃ち強で。いくらか萎え気味だったとはいえ……触られりゃ、反応しちまう。

「イキっぱだったから、まだ敏感でしょ?」

 潤滑ゼリーってのを尿道口に塗りつけるように、玲史が指先を動かす。

「くッ……うッ!」

 ガチガチになるのも時間の問題……。

「ダメ。勃ってると、この中狭くなるし。長くなるじゃん」

 そうだ。
 痛い……んだったな。よけいに……。

「ま、いいけど」

 玲史の笑みはキラキラで、ギラギラ。

 そうだ。
 サド……だったな。コイツは……。
 

「なら、やるなら……早く」

「うん。時間なくなるし」

 玲史がブジーを構える。

 シリコンっつうなら、武器には向かない。ただの棒。
 けど。
 コレをちんぽに挿すとなりゃ……。

「怖い?」

 尋ねられれば。

「ああ。怖い……痛いんだろ?」

 想像するだけで萎える……とはいかない。何故だ。

「少しだけ。大丈夫。気持ちイイのが勝つから。それに……」

 玲史の笑みが深くなる。

 楽しげで。
 うっとりしたふうで。
 眼光鋭い、サディスティックな瞳で。
 自分で言う通り、興奮してるんだろう。

「僕がやるから」

「そうだな」

 短く息を吐く。

 何をされるんでも。
 それが気が進まないことでも。
 少しばかり苦痛でも。



 玲史がやるなら、気持ちイイコトになっちまうんだろう。



「挿れるとこ、ちゃんと見てて」

 言われて、僅かに眉が寄る。

「何で……?」

「ココに棒突っ込まれるの。こんなとこまで犯されるの。どう思う?」

 どう……って。

「背徳的じゃない? ちんぽじゃなくてオモチャでだけど」

「……すでにそうじゃないのか?」

 男同士でっつーか、アナル使って……ってのが。
 いや。今はそんな時代じゃないよな。

「野生動物にも同性愛っぽいのはあるし。オス同士でアナルセックスする種も、かなりあるし」

「そう……なのか」

「でも。コレは人間だけ」

 玲史の視線を追って、股間を見る。
 透明のゼリーでテラテラした亀頭。玲史の指で、尿道口が横に開かれる。

「じゃ、挿れるね。手出さないで。絶対」

「れ……ッぅく、いッ……ッ!!」

 痛ぇ……!

「ちょっとキツいかな。3ミリだけど」

「くッ! 玲史、コレ……大丈夫、なのか!?」



 摩擦で痛いとかじゃねぇ!
 皮膚、針でぶっ刺さされてるみたいだ……!



「大丈夫。上は輪っかになってるから、全部入って取れなくなることはないよ」

 玲史は手元から目を上げず。左手でちんぽを握って真上に立て、右手に持ったブジーを差し込んでく。
 少しずつ。

「ッ……ん、ふ……ッ!」

 声をガマンする。
 喘ぎ声よりマシだとは思うが、ガマン出来るならする。
 快感より痛みのほうが、頭がクリアだ。
 ここが寮で。廊下に聞こえるのはマズいってのを、忘れずにいられる。
 ジンジン痺れるのはちんぽだけ。快感とは程遠い痛みに、萎えてきてる。

 玲史が手を止めた。

「痛い?」

 こくこくと頷く。
 目が合った。
 俺を見つめる玲史の瞳はやさしげだ。

「あと半分」

 視線を落とした玲史が、手を動かす。

「う……ッ……ッ」

 ゴツい衝撃はない。
 痛みに慣れてきた……気がする。
 無意識に後ろ手で掴んでたベッドの柵から指を離す。

 痛いは痛いが、玲史は……俺を痛くするためにコレをやってるんじゃないのがわかる。
 もっと雑に。強引にやれば、もっと苦痛を与えられるはず。

「平気になってきた?」

「だいぶ、な……」

 呻かないように、呟いた。
 まだ、鈍い痛みは続いてる。

「もうすぐ、前立腺の中」

 ちんぽが腹側に傾けられる。

「勃ってるから、長さギリギリかな」

 20センチは余裕でありそうなブジーは、大部分がすでに埋まってる。
 あの長い棒が。俺のちんぽに刺さってる。根元まで届いてるだろう。それ以上、挿れて……本当に大丈夫……。

「ッッあ、アッ……!」

 いきなり、快感。
 いきなり、ど真ん中。



 いきなり、気持ちい……ッ!?



「きた? ココ?」

 玲史がブジーを小刻みに、左右に動かす。上下じゃなく。

「ぁアア……れい、じッ!」

「じっとしてて。手出さないで」

 ちんぽを握ったほうの玲史の腕が、俺の腰をシーツに留める。
 思わず伸ばしそうになる手で、後ろの柵を掴み直す。

 ブジーの先で、快感が奔りまくる。
 ちんぽの奥がぶるぶる震える。

「尿道って、前立腺の中通ってるから。イイトコロ……直につつけるの。どう?」

「ッア、す……イ、んッ! ん……ッく、ン……ッ」

 初っ端からイケるくらいの、つーか……なんだ? コレ……!?
 あ……イキそ……。

「くッもう、イク……ッあ……!? 」

「クる? ていうか、イッてるよね。ガツンとはイカないけど、イキっぱの感覚?」

 玲史の言う通り。
 いつイッたかわからないが、直後の感覚が……続く。
 下半身はビクビクするが、頂点がない快感の波で……。
 ドライでイクより緩い快感で……。
 けど、ハンパなくて。
 イキそうで。
 イッてないのに、イッたあとで。
 イキそうイッたあとイキそうイッたあと……。



 おかしくなんだろ!?



 すげ、気持ちイイ……けど、爆発はしねぇ。
 意識剥がれねぇから、溺れらんねぇ。

「ぁ、玲史……ッこ、れッ……」

「絶妙でしょ」

 玲史はブジーを細かく揺すり続けてる。

「痛いの忘れた? 気持ちイイ?」

「い、い……けど、もうッ抜い……て、くッ」

 痛みなんぞ、とっくに快感に取って代わられてる。
 こんな細い棒で尿道いじられて気持ちよがって。気持ちよくて。喘いで息上げて。ぶるぶる震えて。イッてんだかイッてねぇのか、わかんねぇまま。
 ずっと気持ちイイこたイイが……快感が溜まらず弾けず流れてくみたいな、先が見えないのは……叫んじまいそうだ。

「イイならいいじゃん。まだ時間あるし」

 俺を見て、玲史が笑う。

「楽しいし」

「はぁッは、玲史……挿れて、くれッ!」

 目を合わせてたら、口から出た。

「お前の、俺に……ッ」

「……じゃあ、問題」

 俺の尿道をなぶる手を休めず。唐突に、玲史が言う。

「きみが今、ちんぽにブジー突っ込まれて感じまくってるのは何故でしょう?」

「ッは……何……」

「1番。痛いのが好きだから。2番。気持ちイイのが好きだから。3番。僕が……僕に攻められるのが好きだから」

 な……んだそれ……。

「答えは何番?」

 頭はクラついちゃいないが、余裕もない。
 この中で近い、のは……。

「3ば、ん……ッ」

 玲史が俺を見つめる。
 どこか、何か……言いたげな瞳で。

「正解」

 微笑んで、視線を手元に移した玲史が。

「イッ……!」

 ブジーを抜き始めた。

「つッう……ッ」

 少しして、ちんぽが上に向けられて。ズルズルと、ちんぽの先から棒が出てくる。それを見てると、視覚からも痛い……が。
 ひっきりなしの快感でマヒしちまってるのか。
 ちょっと、ぞわぞわする快感も……。

「うあ、くッうッ……ッ! あアア……ッ!」

 ラスト半分くらい。一気に引き抜かれれ。
 同時に。ちんぽの根元を強く握られた。
 せり上がってた快感がストップ。イケそうな、出せそうだった感覚が……押し留められる。

「ッア、はぁッ……はぁ、は……ふ、うッ」

「すぐイカせてあげるよ。3分でイクから」

 身体が引っ張られ、頭がベッドについた。
 脚を上げられ開かれ。

「れっ……まッ、いッッ!!!」

 こじ開けられたアナルの痛みで、涙が出る。
 痛みに重なる刺激はすぐに快感になる。
 ナカで玲史のちんぽが擦る。抉る。穿つ。
 いつでもイケる……じゃねぇ。



 ほとんどイッてんだろ!



「アッもッと、もッう……イクッ! れいッじッ!

「んっ、いいよ……僕もッ……ッ」

 ゴツくアナルの奥を突きまくられ。
 ちんぽに開放感。

「ッッッ! ひッアアアッ……ッ!!!」

 やっと爆ぜた快感。
 カクつく腰。
 震える脚。
 アナルが気持ちい。
 腹が熱い。
 ナカが気持ちい。

 唇が熱い。
 口ん中が気持ちい。

 どこも溶けちまいそ……だ。



「ッん……はぁッはぁっ、はぁ……」

紫道しのみちは僕の、だから」

 視界いっぱいに映る玲史が微笑む。

「でしょ?」

 聞かれて。

「ああ……」

 頷いて。

「お前、は…?」

 聞き返す俺の唇に、玲史が歯を立てた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

ハッピーエンド=ハーレムエンド?!~アフターストーリー~

琴葉悠
BL
異世界アルモニアで、ゲーム的に言うとハッピーエンドを迎えたダンテ。 しかし、まだまだ人生は長く── これは、ダンテが奮闘した学生時代の後話。 アフターストーリーである。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

俺様幼馴染の溺愛包囲網

吉岡ミホ
恋愛
枚岡結衣子 (ひらおか ゆいこ) 25歳 養護教諭 世話焼きで断れない性格 無自覚癒やし系 長女 × 藤田亮平 (ふじた りょうへい) 25歳 研修医 俺様で人たらしで潔癖症 トラウマ持ち 末っ子 「お前、俺専用な!」 「結衣子、俺に食われろ」 「お前が俺のものだって、感じたい」 私たちって家が隣同士の幼馴染で…………セフレ⁇ この先、2人はどうなる? 俺様亮平と癒し系結衣子の、ほっこり・じんわり、心温まるラブコメディをお楽しみください! ※『ほっこりじんわり大賞』エントリー作品です。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

獅子帝の宦官長

ごいち
BL
皇帝ラシッドは体格も精力も人並外れているせいで、夜伽に呼ばれた側女たちが怯えて奉仕にならない。 苛立った皇帝に、宦官長のイルハリムは後宮の管理を怠った罰として閨の相手を命じられてしまう。    強面巨根で情愛深い攻×一途で大人しそうだけど隠れ淫乱な受     R18:レイプ・モブレ・SM的表現・暴力表現多少あります。 2022/12/23 エクレア文庫様より電子版・紙版の単行本発売されました 電子版 https://www.cmoa.jp/title/1101371573/ 紙版 https://comicomi-studio.com/goods/detail?goodsCd=G0100914003000140675 単行本発売記念として、12/23に番外編SS2本を投稿しております 良かったら獅子帝の世界をお楽しみください ありがとうございました!

【第1部完結】佐藤は汐見と〜7年越しの片想い拗らせリーマンラブ〜

有島
BL
◆社会人+ドシリアス+ヒューマンドラマなアラサー社会人同士のリアル現代ドラマ風BL(MensLove)  甘いハーフのような顔で社内1のナンバーワン営業の美形、佐藤甘冶(さとうかんじ/31)と、純国産和風塩顔の開発部に所属する汐見潮(しおみうしお/33)は同じ会社の異なる部署に在籍している。  ある時をきっかけに【佐藤=砂糖】と【汐見=塩】のコンビ名を頂き、仲の良い同僚として、親友として交流しているが、社内一の独身美形モテ男・佐藤は汐見に長く片想いをしていた。  しかし、その汐見が一昨年、結婚してしまう。  佐藤は断ち切れない想いを胸に秘めたまま、ただの同僚として汐見と一緒にいられる道を選んだが、その矢先、汐見の妻に絡んだとある事件が起きて…… ※諸々は『表紙+注意書き』をご覧ください<(_ _)>

或る実験の記録

フロイライン
BL
謎の誘拐事件が多発する中、新人警官の吉岡直紀は、犯人グループの車を発見したが、自身も捕まり拉致されてしまう。

処理中です...