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6話 男装令嬢を溺愛する兄がやってきました
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サイラスの婚約者に【任命】されてから二週間ほど経過した。
婚約期間中ではあるものの、ミアはバッハシュタイン公爵家に移ることになった。
通常であれば、結婚の儀をもって夫婦となり、寝食をともにする。
ミアの場合は、男所帯に置いておくわけにはいかないと、サイラスが半ば強引に同居を決めたのだ。
――まあ、騎士寮に残ると変な噂を立てられるかもしれないしね。
公爵家に身をよせるのが、現時点での最善だと判断したのだが。
「こちらが奥様のお部屋でございます」
「ええ……」
案内された居室に、ミアは目を疑った。
「ここを私、ひとりで使うんですか……?」
「左様でございます……手狭でしょうか?」
おっとり尋ねる年老いたメイド長に、ミアは全力で首を横に振った。
――広すぎるって! これが普通なら、騎士寮の部屋は物置き小屋だ……。
象牙色の壁紙や木目調が美しい調度品は、落ち着いた雰囲気を醸し出しており、居心地よく過ごせそうだが、何分広すぎて身の置き所がない。
よくよく見れば家具には細かな装飾が施され、高級品であることは疑いようがなかった。
汚してしまったらどうしようとばかり考えていたので、同居初日は明け方まで眠ることが出来ず、寝不足の目を擦りながら、訓練に参加することになった。
サイラスとは婚約中であるため、寝室は別にしている。夫婦になれば同衾することもあるだろうが、愛し合って生涯を誓うことはない。
二人は利害のみで夫婦になるのだから。
いつもと変わらない平和な街並みを見廻っていると、サイラスに結婚を申し込まれたことが夢のようである。
騎士団内ですれ違えば会釈はするものの、初々しい婚約者同士の甘い雰囲気とは無縁だ。周囲は公私を完璧に使い分けて立派だとほめたたえるが、何のことはない。
愛を囁き交わす間柄ではないのだから、甘くなるはずがないのだ。
――団長を心から慕っている方たちに申し訳ないな……。
サイラスは社交界で誰もが羨む美丈夫だ。細身で引き締まった躰、金色がかったブラウンの髪に、知的な印象の淡いモスグリーンの瞳は、令嬢たちを魅了してやまない。
王宮で開催された晩餐会の会場を警備していた折、色とりどりのドレスを身に付けた美女に囲まれるサイラスを見かけたことがある。
彼は騎士団長としてではなく、公爵家当主として参加していた。完璧なアルカイックスマイルに淑女たちは頬を染めている。
――私には縁のない世界だ。
遠い世界の住人が、まさか自分の婚約者になるとは。当時のミアが知れば腰を抜かしていただろう。
拍子抜けするほど、結婚への準備は順調に進んでいる。バッハシュタイン公爵家お抱えの使用人たちはみな優秀で、ミアは普段通りに日々を過ごすことができていた。
何事もなく婚約のお披露目ができるかと思っていた矢先。
ミアを溺愛する兄が王都にやってきた。
日課である訓練を終え、屋敷へ戻ろうとしていたミアは、表門の辺りが騒がしいのに気が付いた。回廊から前庭に出ると、騎士団員たちが訪問者を取り囲んでいる。
「ここに、ヴォルフガルト男爵の令嬢、ミア・カリーナ・ヴォルフガルトがいるはずだ‼ 隠し立てすることは許さんぞ‼」
玲瓏と響き渡るテノールに、ミアは回れ右をしたくなる。しかし運悪く人垣の間から、訪問者の視界に入ってしまい、立ち去ることはできなかった。
「ミアっ」
団員たちを押しのけ、声の主である青年が駆け寄ってくる。
グレイアッシュの長髪をゆるくひとまとめにした、端正な顔立ちの青年だ。その髪色はミアと同じである。
ミアの兄、ジョナサン・ラウネ・ヴォルフガルトは、挨拶もすッ飛ばしてミアの両肩を骨が軋みそうな膂力で掴み、揺さぶる。
「ミア‼ 俺の断りもなしに婚約するやつがあるか!」
「兄様、落ち着いて……」
「あろうことか女癖が悪いと評判のバッハシュタイン公爵とだなんて……父上がなぜ許したのか理解できん」
ここはそのバッハシュタイン公爵のお膝元――王国騎士団の本拠地だ。サイラスが王宮に招聘されているタイミングは不幸中の幸いだと言えるのか。
「……父様は行き遅れの娘に相手が出来て、喜ばれていたのではないのですか?」
ミアの問いかけに、ジョナサンは違うと首を振る。
「俺たちがお前を領地に呼び戻そうとしていたのは、何が何でも結婚させたかったからじゃない」
「え?」
呆然とするミアに、ジョナサンは頭を抱えた。
「やはり勘違いしていたんだな。……帰ってくる口実がなくては、お前が戻り辛いだろうと考えて、縁談を用意していたんだ。バッハシュタイン公爵が婚約の申し入れを寄越した時、父上を宥めるのが大変だったんだぞ」
娘の意思を優先させて見守っていたところを、公爵に攫われてしまうことになり、父はとうてい婚約を受け入れることができなかったのだという。
「それが一転して婚約を承諾したんだ。……俺は公爵がどんな手を使って父上を篭絡したのか突き止めに来た」
父の態度がどうして変わったのか。
ミアも疑問に思うが、それよりも。
「兄様、父様にはちゃんと断って領地を発たれたのですよね……」
まだまだ現役の父ではあるが、実務面の大半は次期領主のジョナサンが取り仕切っている。
北部の僻地から王都までは通常、並足の馬であれば三日程度かかる。数日とはいえ、黙って指揮官が不在になれば、いろいろと支障がでてくるはずだ。
まさかという気持ちを込めて問いかけたのだが、ジョナサンは無表情だった。
「兄様」
「……俺の話はどうでもいい。領地に戻って来るよう無理強いはしないから、公爵とは縁を切れ! 今すぐっ」
じりじりと塀際に追い込まれたミアは、強引に話題をそらすジョナサンの胸をぐっと押し返した。
「私を心配してくれているのは分かりますが、婚約を解消する気はありません」
「公爵の顔を立てているのか? そんなもの気にすることはない。俺から父上に進言す――」
「それは困りましたね」
ミアはジョナサンとともに声のする方へ振り返った。
正装姿のサイラスが悠然と二人のもとに近づいてくる。肩掛けのサッシュには、いくつもの勲章が吊るされ、陽光をうけてキラキラと輝いていた。
「団長」
ジョナサンは牙を剥く犬のようにサイラスを威嚇しつつ、社交辞令を述べる。
「貴殿がバッハシュタイン公爵か。妹が世話になったな」
「今後とも世話をさせていただくつもりですが……ミア殿、こちらは?」
ジョナサンは薄ら笑いを浮かべた。
「妻になる者の親族の顔も知らんとは。天下のバッハシュタイン公爵様は礼儀知らずなのだな?」
「ご挨拶に伺えず大変恐縮している次第です、義兄上」
優雅に頭を下げるサイラスに、ジョナサンは鼻白んだ。サイラスの方が身分は格上であるため、ミアの実家に挨拶に伺わなくても問題はない。
それを承知で喧嘩を売っているジョナサンに、騎士団員たちは好奇の目をむけていた。
「……貴殿はミアを愛しているのか?」
ジョナサンの脈絡のなさにミアは驚き、瞳を瞬かせた。珍しくサイラスも虚を突かれたようだ。
「それは義兄上に関係あることでしょうか?」
「話を逸らすな。……どうなんだ、答えろ」
サイラスは顎に指を添えて考え込むと、焦るミアへちらりと視線を寄越した。
サイラスがミアに愛情を抱いていないことは、充分理解している。本心でなくても、サイラスはすんなりと「愛している」と告げるだろう。
しかし、口先だけではジョナサンを納得させることはできないのだ。
なぜなら。
「……ええ、ミア殿をお慕いしております」
動揺も見せずにはっきりとサイラスは答えた。
「貴殿は狼少年だな……」
ジョナサンが断言すると、口許に微笑をたたえていたサイラスの表情がこわばる。
はあ、とため息をつくとジョナサンは、家紋が彫り込まれたラペルピンを襟元から毟り取ると、サイラスの胸元に投げつけた。
なり行きを見守る団員たちは息を呑んだ。ミアに至っては息が止まりそうになる。
「……バッハシュタイン王国騎士団団長、貴殿に決闘を申し込む!」
続けて腰に帯びた鞘から剣を引き抜くと、その先端をすっとサイラスに定める。
「……俺が勝てばミアを領地に連れて帰る」
「兄様、さっきは戻らなくてもいいって――」
「肝心なところで本心を見せない奴のそばに、大事な妹を置いておけるほど、俺の心は広くない」
ジョナサンは一度決めたら頑なに意思を曲げない頑固者だ。こうなっては誰にも止めることが出来ない。
サイラスは地面に転がるラペルピンを取り上げると、手のひらで弄んだ。
遠吠えをする狼が刻まれた紋章を矯めつ眇めつした後、ジョナサンに告げる。
「承知した。ミア殿を賭けての勝負、受けて立とう」
周囲が湧き立つなか、ミアは呆然と立ち竦むしかなかった。
婚約期間中ではあるものの、ミアはバッハシュタイン公爵家に移ることになった。
通常であれば、結婚の儀をもって夫婦となり、寝食をともにする。
ミアの場合は、男所帯に置いておくわけにはいかないと、サイラスが半ば強引に同居を決めたのだ。
――まあ、騎士寮に残ると変な噂を立てられるかもしれないしね。
公爵家に身をよせるのが、現時点での最善だと判断したのだが。
「こちらが奥様のお部屋でございます」
「ええ……」
案内された居室に、ミアは目を疑った。
「ここを私、ひとりで使うんですか……?」
「左様でございます……手狭でしょうか?」
おっとり尋ねる年老いたメイド長に、ミアは全力で首を横に振った。
――広すぎるって! これが普通なら、騎士寮の部屋は物置き小屋だ……。
象牙色の壁紙や木目調が美しい調度品は、落ち着いた雰囲気を醸し出しており、居心地よく過ごせそうだが、何分広すぎて身の置き所がない。
よくよく見れば家具には細かな装飾が施され、高級品であることは疑いようがなかった。
汚してしまったらどうしようとばかり考えていたので、同居初日は明け方まで眠ることが出来ず、寝不足の目を擦りながら、訓練に参加することになった。
サイラスとは婚約中であるため、寝室は別にしている。夫婦になれば同衾することもあるだろうが、愛し合って生涯を誓うことはない。
二人は利害のみで夫婦になるのだから。
いつもと変わらない平和な街並みを見廻っていると、サイラスに結婚を申し込まれたことが夢のようである。
騎士団内ですれ違えば会釈はするものの、初々しい婚約者同士の甘い雰囲気とは無縁だ。周囲は公私を完璧に使い分けて立派だとほめたたえるが、何のことはない。
愛を囁き交わす間柄ではないのだから、甘くなるはずがないのだ。
――団長を心から慕っている方たちに申し訳ないな……。
サイラスは社交界で誰もが羨む美丈夫だ。細身で引き締まった躰、金色がかったブラウンの髪に、知的な印象の淡いモスグリーンの瞳は、令嬢たちを魅了してやまない。
王宮で開催された晩餐会の会場を警備していた折、色とりどりのドレスを身に付けた美女に囲まれるサイラスを見かけたことがある。
彼は騎士団長としてではなく、公爵家当主として参加していた。完璧なアルカイックスマイルに淑女たちは頬を染めている。
――私には縁のない世界だ。
遠い世界の住人が、まさか自分の婚約者になるとは。当時のミアが知れば腰を抜かしていただろう。
拍子抜けするほど、結婚への準備は順調に進んでいる。バッハシュタイン公爵家お抱えの使用人たちはみな優秀で、ミアは普段通りに日々を過ごすことができていた。
何事もなく婚約のお披露目ができるかと思っていた矢先。
ミアを溺愛する兄が王都にやってきた。
日課である訓練を終え、屋敷へ戻ろうとしていたミアは、表門の辺りが騒がしいのに気が付いた。回廊から前庭に出ると、騎士団員たちが訪問者を取り囲んでいる。
「ここに、ヴォルフガルト男爵の令嬢、ミア・カリーナ・ヴォルフガルトがいるはずだ‼ 隠し立てすることは許さんぞ‼」
玲瓏と響き渡るテノールに、ミアは回れ右をしたくなる。しかし運悪く人垣の間から、訪問者の視界に入ってしまい、立ち去ることはできなかった。
「ミアっ」
団員たちを押しのけ、声の主である青年が駆け寄ってくる。
グレイアッシュの長髪をゆるくひとまとめにした、端正な顔立ちの青年だ。その髪色はミアと同じである。
ミアの兄、ジョナサン・ラウネ・ヴォルフガルトは、挨拶もすッ飛ばしてミアの両肩を骨が軋みそうな膂力で掴み、揺さぶる。
「ミア‼ 俺の断りもなしに婚約するやつがあるか!」
「兄様、落ち着いて……」
「あろうことか女癖が悪いと評判のバッハシュタイン公爵とだなんて……父上がなぜ許したのか理解できん」
ここはそのバッハシュタイン公爵のお膝元――王国騎士団の本拠地だ。サイラスが王宮に招聘されているタイミングは不幸中の幸いだと言えるのか。
「……父様は行き遅れの娘に相手が出来て、喜ばれていたのではないのですか?」
ミアの問いかけに、ジョナサンは違うと首を振る。
「俺たちがお前を領地に呼び戻そうとしていたのは、何が何でも結婚させたかったからじゃない」
「え?」
呆然とするミアに、ジョナサンは頭を抱えた。
「やはり勘違いしていたんだな。……帰ってくる口実がなくては、お前が戻り辛いだろうと考えて、縁談を用意していたんだ。バッハシュタイン公爵が婚約の申し入れを寄越した時、父上を宥めるのが大変だったんだぞ」
娘の意思を優先させて見守っていたところを、公爵に攫われてしまうことになり、父はとうてい婚約を受け入れることができなかったのだという。
「それが一転して婚約を承諾したんだ。……俺は公爵がどんな手を使って父上を篭絡したのか突き止めに来た」
父の態度がどうして変わったのか。
ミアも疑問に思うが、それよりも。
「兄様、父様にはちゃんと断って領地を発たれたのですよね……」
まだまだ現役の父ではあるが、実務面の大半は次期領主のジョナサンが取り仕切っている。
北部の僻地から王都までは通常、並足の馬であれば三日程度かかる。数日とはいえ、黙って指揮官が不在になれば、いろいろと支障がでてくるはずだ。
まさかという気持ちを込めて問いかけたのだが、ジョナサンは無表情だった。
「兄様」
「……俺の話はどうでもいい。領地に戻って来るよう無理強いはしないから、公爵とは縁を切れ! 今すぐっ」
じりじりと塀際に追い込まれたミアは、強引に話題をそらすジョナサンの胸をぐっと押し返した。
「私を心配してくれているのは分かりますが、婚約を解消する気はありません」
「公爵の顔を立てているのか? そんなもの気にすることはない。俺から父上に進言す――」
「それは困りましたね」
ミアはジョナサンとともに声のする方へ振り返った。
正装姿のサイラスが悠然と二人のもとに近づいてくる。肩掛けのサッシュには、いくつもの勲章が吊るされ、陽光をうけてキラキラと輝いていた。
「団長」
ジョナサンは牙を剥く犬のようにサイラスを威嚇しつつ、社交辞令を述べる。
「貴殿がバッハシュタイン公爵か。妹が世話になったな」
「今後とも世話をさせていただくつもりですが……ミア殿、こちらは?」
ジョナサンは薄ら笑いを浮かべた。
「妻になる者の親族の顔も知らんとは。天下のバッハシュタイン公爵様は礼儀知らずなのだな?」
「ご挨拶に伺えず大変恐縮している次第です、義兄上」
優雅に頭を下げるサイラスに、ジョナサンは鼻白んだ。サイラスの方が身分は格上であるため、ミアの実家に挨拶に伺わなくても問題はない。
それを承知で喧嘩を売っているジョナサンに、騎士団員たちは好奇の目をむけていた。
「……貴殿はミアを愛しているのか?」
ジョナサンの脈絡のなさにミアは驚き、瞳を瞬かせた。珍しくサイラスも虚を突かれたようだ。
「それは義兄上に関係あることでしょうか?」
「話を逸らすな。……どうなんだ、答えろ」
サイラスは顎に指を添えて考え込むと、焦るミアへちらりと視線を寄越した。
サイラスがミアに愛情を抱いていないことは、充分理解している。本心でなくても、サイラスはすんなりと「愛している」と告げるだろう。
しかし、口先だけではジョナサンを納得させることはできないのだ。
なぜなら。
「……ええ、ミア殿をお慕いしております」
動揺も見せずにはっきりとサイラスは答えた。
「貴殿は狼少年だな……」
ジョナサンが断言すると、口許に微笑をたたえていたサイラスの表情がこわばる。
はあ、とため息をつくとジョナサンは、家紋が彫り込まれたラペルピンを襟元から毟り取ると、サイラスの胸元に投げつけた。
なり行きを見守る団員たちは息を呑んだ。ミアに至っては息が止まりそうになる。
「……バッハシュタイン王国騎士団団長、貴殿に決闘を申し込む!」
続けて腰に帯びた鞘から剣を引き抜くと、その先端をすっとサイラスに定める。
「……俺が勝てばミアを領地に連れて帰る」
「兄様、さっきは戻らなくてもいいって――」
「肝心なところで本心を見せない奴のそばに、大事な妹を置いておけるほど、俺の心は広くない」
ジョナサンは一度決めたら頑なに意思を曲げない頑固者だ。こうなっては誰にも止めることが出来ない。
サイラスは地面に転がるラペルピンを取り上げると、手のひらで弄んだ。
遠吠えをする狼が刻まれた紋章を矯めつ眇めつした後、ジョナサンに告げる。
「承知した。ミア殿を賭けての勝負、受けて立とう」
周囲が湧き立つなか、ミアは呆然と立ち竦むしかなかった。
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