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ロックバンド薬指のボランティア活動・後編
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凛は十六夜や常磐と久世率いるロックバンド薬指のボランティア活動に付き合うべく、目黒区にある「モノノケ・プリンス老人ホーム」に来ていた。
ここは、十六夜の世話をしている近衛咲がバイトしてる老人ホームでもある。
咲は週3シフトでこの老人ホームの事務と雑用をしていた。
主に事務全般と備品管理と入居者の話し相手をしているので凛、十六夜、常磐のボランティア活動の監督は咲が担当することになったのである。
久世、設楽、白珠、斗真は午後からライブの予定だが凛たちは午前中のボランティア活動である。
「早速、ボランティアするに当たっての注意事項を説明する。疑問点などは最後に質問してくれ」
咲が綺麗なエントランスの奥の事務室で凛たちにボランティアするに際してのルールや禁止事項などを教えていた。
凛が少しホームを覗いた限りでは職員は優しそうで入居している高齢者も穏やかな笑顔である。
なんとなく気になるのが職員も入居者も咲を含めて見た限り、全員が男性であることだ。
あと、便宜的に高齢者と呼んでいるが、入居者は明確にヨボヨボしたご老人でなくて元気溌剌な雰囲気で失礼だが当分は死にそうにない。
とにかく、色々と突っ込みどころがありそうな気配がプンプンする場所だ。
だが、そんな凛をよそに咲は淡々とボランティア活動の段取りを述べている。
「凛君、十六夜、常磐君には入居してる高齢者の話し相手をしてもらう。十六夜は大丈夫だが、凛君、常磐君は入居者に誤って食べられる危険があるから気をつけろ。人肉好きな奴は見れば分かるから注意して話せ。あと、ここで食べられても当ホームは一切責任をとらない。あくまでも自己責任であると同意書にサインしてボランティアしてくれ。人肉好きの入居者はよだれ掛けに(人肉上等)ってプリントしてあるから食べられないように注意しながら仲良く歓談しろ。以上だ」
戦時中の体験談を拝聴するとか、高度経済成長の自慢話を笑顔で相づちうつとか生易しいものでなく命がけのボランティア活動だった。
凛は十六夜の目の前で恥ずかしいが絶対に同意書にサインしたくない。
事務室で咲さんがこんな頭イカれた冗談を言うはずないのでガチで人肉を召し上がる入居者が混ざっていることになる。
この時、凛は事務室の掲示板に「今週の献立表」というチラシがあることに気がついた。
恐る恐る確認すると本日の昼食に「メイン・とれたて中学生(数量限定)」と記載されていた。
くっ!食われる!?
聡明な凛は自分と常磐は今日のランチのメイン料理になると早々に悟った。
ここは、十六夜の前で逃げるは恥だが役に立つ!
同意書にサインしなければOKと凛は逃げる算段でいたが十六夜に優しく言われた言葉でそれも不可能になった。
「凛!ポヤンとしてるから常磐君が凛のサインも書いてくれたよ」
常磐!!お前、自分が何をしたか分かってるのかクソが!!!
咲さんが冷静に言ってただろ!?
場合によっては本日のランチにされて入居者の餌食になるんだ!
「常磐!!お前、本気でボランティアするのか!?」
青ざめる凛に常磐は早くも十六夜とボランティア用のエプロンをつけてクールに答えた。
「ここまで来て帰るなんて失礼だろ?ボランティアしたいと希望したのに」
「いや!でも、咲さんの説明を聴いてただろ!?俺ら下手すると食べられて死ぬぞ!?」
ともに逃げよう、と凛が必死に表情で訴えても常磐は怪訝そうにしているだけだ。
「加藤は何でもマイナスに考えすぎだ。普通に会話してて急に食べようとする高齢者なんていないだろ」
早く活動を始めようと促されて凛は逃げ場を失い、エプロンつけて食われる準備を開始した。
凛のエプロン姿を十六夜が「可愛い!」と喜んでいるので凛は本当は全身ガクガクブルブルと恐怖で震えているが平気なふりをして頑張った。
久世は午後のライブに向けてメンバーとボランティア先のモノノケ・プリンス老人ホームに移動していた。
このボランティアの場を決めたのは理事長でなく久世の父親である。
日頃からワガママで生意気でヤンチャな息子の教育のためにここにしたのだ。
久世の父の千早はこう言い残してピアノ演奏の為に母と海外に渡航した。
「これは試練だ。音、お前は人の友達を護れ。午前は咲と十六夜がなんとかする。午後からはお前が加わり1人も死なせるな。白珠君と設楽君、斗真君は安全だが、最近親しくなった加藤凛君と何よりも大切な常磐君を護りきれ。わかるな?」
久世は父親が言った言葉に叫んだ。
「わかんねーよ!!辰希は護るが加藤は十六夜が全力で護れよ!!なんで、人食いの化け物が大半な老いぼれ化け物ホームを選ぶんだよ!?クソが!」
モノノケ・プリンス老人ホームへの歩き道で愛らしい天使の美貌で罵詈雑言を吐き散らす久世に対して白珠があっけらかんと笑った。
「久世!怒るなよ。常磐も加藤も無事だ!佳代さんがハワイから教えてくれた。2人とも久世の御守りをしてるから結界があるって!」
白珠の守り神である佳代は現在はハワイ旅行中だが白珠の心というか魂にメッセージを送信している。
「たびちゃん!ビーチで殿方にナンパされちゃった!パワースポットの神様なのよ!お土産にマカダミアナッツチョコを買ってくるわね!」
わりとどうでも良い情報であった。
でも、仮にも神である佳代が無事だと伝えてるのだから常磐も凛も無事だと久世は安堵した。
化け物なのを隠して暮らす久世のような子供の宿命で人間の友達を持つとふとした事故で人が死ぬ場合がある。
だから、積極的に人間とは関わらずに生きる同胞がいる反面、屍食鬼である多々良和希のように、だましだまし人に溶け込む者もいるのだ。
久世の家は多々良と同じで騙して、合法化して闇で君臨している一族なのである。
久世の父の千早の両親は普通の人間だ。
だが、血統を辿ると化け物が祖先で隔世遺伝で化け物になった。
母の結は化け物では名門の姫様でいわゆる、もののけ姫である。
だから、血縁で久世家は全員が化け物なのだ。
遠縁にあたる近衛家も凪史の親が化け物であった。
なので、近衛凪史は久世家同様に化け物の末裔で長い年月を生きていた。
凪史は目黒区の大地主なので住民の記憶を操り、不老をさとられぬよう気をつけて仮染めの姿で世を渡っている。
彼は人間と関わらないタイプの化け物だったがゲームやアニメや文学の発展で自分好みの伴侶を育成したい願望が出てきて咲を買った。
咲は闇ルートでは珍しい品種の化け物で将来は美形になること確実だったので高値で凪史が購入して育てて、妻にした。
近衛家に買われた咲は化け物では珍しい他者への治癒能力がある。
そして、人が死んでも5分までなら蘇生が可能なのだ。
歩くAEDである。
久世より喧嘩も強いので咲がいれば安全だが念のために御守りを渡しておいて正解だった。
「辰希と加藤が無事ならそれでいい」
安心して久世が笑うと設楽が囁いた。
「久世家と近衛家の目が光る場所でバカをする高齢者はいないだろ」
たしかに十六夜と咲がいる段階でモノノケ・プリンス老人ホームの面々は手出しできない。
だが、老害なんて言葉があるので油断もできないのだ。
「高齢者って自分が正義だからな!咲&2人に危害を加えた時点で凪史が老害ホームを壊滅させて全員殺す約束だ。でも、老害は面倒なんだよ」
とにかに急いで老害ホームに行こうと久世が言った時に前方から爆音が轟いた。
凛は人食いの高齢者の男性と話していたがこの老害が必殺技の「無駄に建物を破壊する波動」を出したので困惑した。
「戦闘の意思はなくて自慢した!坊や、ワシは昔は庭でバーベキューしてるパリピを土砂崩れの餌食にして、人肉BBQをしたもんじゃ!」
久世の御守りをつけていた凛は無傷で相づちしていたがパリピをBBQにした老害は高らかに言った。
「坊やは可愛いが小さくて肉付き悪い!!ワシはタッパとケツのデカイ男子がタイプです!!」
固いが食べると噛み手応えあり美味らしい。
凛はタッパとケツの段階で考えるのをやめた。
自分も常磐も咲もタッパとケツはでかくないので安全だ。
常磐は他の尻尾がある高齢者と将棋をしており、十六夜は咲とランチの準備をしている。
このままうまく行けばカニバリズムの餌にされずに済むと思ったらランチタイムとなった。
咲が十六夜と配膳しながら高齢者どもに言っている。
「カニバリズムはそっちのトレー!ビーガンは真ん中、ベジタリアンはこっち!間違えるなよ!今日はカニバリズムのスペシャル献立、少年院の中学生の肉入り死チュー!早い者勝ち!!」
喜んで死チューを奪い合う高齢者の姿を見ていて凛はホッとした。
「よかった!少年院の人はともかく俺と常磐はランチじゃなかった!」
凛は安心して咲が用意した人用のランチを食べた。
美味しそうなビーフシチューでパンとサラダとコンソメスープセットだ。
緊張してボランティアしていて空腹だった凛はランチをモグモグしていたが見ていた十六夜と咲は目配せした。
「凛……これ、美味しい?」
「凄く美味しいです!肉がジューシーで!」
「それ、少年院の人肉」
十六夜の言葉に凛はパンを詰まらせたが常磐が飲み物をよこした。
その様子を見ていた十六夜がにこりと笑った。
「ごめん。冗談」
「そういう冗談はやめてください!!」
怒る凛を姿を老害……高齢者たちは笑顔で見ていた。
久世家の御守りがあるので食べられないが凛は美味しいと判断された。
そして、久世たちが到着して午後のライブとなるが咲がランチを用意していた。
「はい。刑務所の窃盗犯のオッサンの肉で作ったチャーハンだ!おあがりよ」
勿論、咲の冗談だが久世は食欲不振になった。
でも、斗真は「オッサン美味しい!!」とチャーハンをモリモリ食べており、設楽と白珠も普通に食べている。
化け物では由緒ある家系なのに1番デリケートなのって俺じゃね?
久世は平然としている凛やみんなを眺めて、早くも疲れてきた。
凛と仲良く話してたカニバリズムの老害は集まったメンツを見ていて「タッパとケツのデカイ男子がいねーよ!!クソが!」と舌打ちしていたという。
end
ここは、十六夜の世話をしている近衛咲がバイトしてる老人ホームでもある。
咲は週3シフトでこの老人ホームの事務と雑用をしていた。
主に事務全般と備品管理と入居者の話し相手をしているので凛、十六夜、常磐のボランティア活動の監督は咲が担当することになったのである。
久世、設楽、白珠、斗真は午後からライブの予定だが凛たちは午前中のボランティア活動である。
「早速、ボランティアするに当たっての注意事項を説明する。疑問点などは最後に質問してくれ」
咲が綺麗なエントランスの奥の事務室で凛たちにボランティアするに際してのルールや禁止事項などを教えていた。
凛が少しホームを覗いた限りでは職員は優しそうで入居している高齢者も穏やかな笑顔である。
なんとなく気になるのが職員も入居者も咲を含めて見た限り、全員が男性であることだ。
あと、便宜的に高齢者と呼んでいるが、入居者は明確にヨボヨボしたご老人でなくて元気溌剌な雰囲気で失礼だが当分は死にそうにない。
とにかく、色々と突っ込みどころがありそうな気配がプンプンする場所だ。
だが、そんな凛をよそに咲は淡々とボランティア活動の段取りを述べている。
「凛君、十六夜、常磐君には入居してる高齢者の話し相手をしてもらう。十六夜は大丈夫だが、凛君、常磐君は入居者に誤って食べられる危険があるから気をつけろ。人肉好きな奴は見れば分かるから注意して話せ。あと、ここで食べられても当ホームは一切責任をとらない。あくまでも自己責任であると同意書にサインしてボランティアしてくれ。人肉好きの入居者はよだれ掛けに(人肉上等)ってプリントしてあるから食べられないように注意しながら仲良く歓談しろ。以上だ」
戦時中の体験談を拝聴するとか、高度経済成長の自慢話を笑顔で相づちうつとか生易しいものでなく命がけのボランティア活動だった。
凛は十六夜の目の前で恥ずかしいが絶対に同意書にサインしたくない。
事務室で咲さんがこんな頭イカれた冗談を言うはずないのでガチで人肉を召し上がる入居者が混ざっていることになる。
この時、凛は事務室の掲示板に「今週の献立表」というチラシがあることに気がついた。
恐る恐る確認すると本日の昼食に「メイン・とれたて中学生(数量限定)」と記載されていた。
くっ!食われる!?
聡明な凛は自分と常磐は今日のランチのメイン料理になると早々に悟った。
ここは、十六夜の前で逃げるは恥だが役に立つ!
同意書にサインしなければOKと凛は逃げる算段でいたが十六夜に優しく言われた言葉でそれも不可能になった。
「凛!ポヤンとしてるから常磐君が凛のサインも書いてくれたよ」
常磐!!お前、自分が何をしたか分かってるのかクソが!!!
咲さんが冷静に言ってただろ!?
場合によっては本日のランチにされて入居者の餌食になるんだ!
「常磐!!お前、本気でボランティアするのか!?」
青ざめる凛に常磐は早くも十六夜とボランティア用のエプロンをつけてクールに答えた。
「ここまで来て帰るなんて失礼だろ?ボランティアしたいと希望したのに」
「いや!でも、咲さんの説明を聴いてただろ!?俺ら下手すると食べられて死ぬぞ!?」
ともに逃げよう、と凛が必死に表情で訴えても常磐は怪訝そうにしているだけだ。
「加藤は何でもマイナスに考えすぎだ。普通に会話してて急に食べようとする高齢者なんていないだろ」
早く活動を始めようと促されて凛は逃げ場を失い、エプロンつけて食われる準備を開始した。
凛のエプロン姿を十六夜が「可愛い!」と喜んでいるので凛は本当は全身ガクガクブルブルと恐怖で震えているが平気なふりをして頑張った。
久世は午後のライブに向けてメンバーとボランティア先のモノノケ・プリンス老人ホームに移動していた。
このボランティアの場を決めたのは理事長でなく久世の父親である。
日頃からワガママで生意気でヤンチャな息子の教育のためにここにしたのだ。
久世の父の千早はこう言い残してピアノ演奏の為に母と海外に渡航した。
「これは試練だ。音、お前は人の友達を護れ。午前は咲と十六夜がなんとかする。午後からはお前が加わり1人も死なせるな。白珠君と設楽君、斗真君は安全だが、最近親しくなった加藤凛君と何よりも大切な常磐君を護りきれ。わかるな?」
久世は父親が言った言葉に叫んだ。
「わかんねーよ!!辰希は護るが加藤は十六夜が全力で護れよ!!なんで、人食いの化け物が大半な老いぼれ化け物ホームを選ぶんだよ!?クソが!」
モノノケ・プリンス老人ホームへの歩き道で愛らしい天使の美貌で罵詈雑言を吐き散らす久世に対して白珠があっけらかんと笑った。
「久世!怒るなよ。常磐も加藤も無事だ!佳代さんがハワイから教えてくれた。2人とも久世の御守りをしてるから結界があるって!」
白珠の守り神である佳代は現在はハワイ旅行中だが白珠の心というか魂にメッセージを送信している。
「たびちゃん!ビーチで殿方にナンパされちゃった!パワースポットの神様なのよ!お土産にマカダミアナッツチョコを買ってくるわね!」
わりとどうでも良い情報であった。
でも、仮にも神である佳代が無事だと伝えてるのだから常磐も凛も無事だと久世は安堵した。
化け物なのを隠して暮らす久世のような子供の宿命で人間の友達を持つとふとした事故で人が死ぬ場合がある。
だから、積極的に人間とは関わらずに生きる同胞がいる反面、屍食鬼である多々良和希のように、だましだまし人に溶け込む者もいるのだ。
久世の家は多々良と同じで騙して、合法化して闇で君臨している一族なのである。
久世の父の千早の両親は普通の人間だ。
だが、血統を辿ると化け物が祖先で隔世遺伝で化け物になった。
母の結は化け物では名門の姫様でいわゆる、もののけ姫である。
だから、血縁で久世家は全員が化け物なのだ。
遠縁にあたる近衛家も凪史の親が化け物であった。
なので、近衛凪史は久世家同様に化け物の末裔で長い年月を生きていた。
凪史は目黒区の大地主なので住民の記憶を操り、不老をさとられぬよう気をつけて仮染めの姿で世を渡っている。
彼は人間と関わらないタイプの化け物だったがゲームやアニメや文学の発展で自分好みの伴侶を育成したい願望が出てきて咲を買った。
咲は闇ルートでは珍しい品種の化け物で将来は美形になること確実だったので高値で凪史が購入して育てて、妻にした。
近衛家に買われた咲は化け物では珍しい他者への治癒能力がある。
そして、人が死んでも5分までなら蘇生が可能なのだ。
歩くAEDである。
久世より喧嘩も強いので咲がいれば安全だが念のために御守りを渡しておいて正解だった。
「辰希と加藤が無事ならそれでいい」
安心して久世が笑うと設楽が囁いた。
「久世家と近衛家の目が光る場所でバカをする高齢者はいないだろ」
たしかに十六夜と咲がいる段階でモノノケ・プリンス老人ホームの面々は手出しできない。
だが、老害なんて言葉があるので油断もできないのだ。
「高齢者って自分が正義だからな!咲&2人に危害を加えた時点で凪史が老害ホームを壊滅させて全員殺す約束だ。でも、老害は面倒なんだよ」
とにかに急いで老害ホームに行こうと久世が言った時に前方から爆音が轟いた。
凛は人食いの高齢者の男性と話していたがこの老害が必殺技の「無駄に建物を破壊する波動」を出したので困惑した。
「戦闘の意思はなくて自慢した!坊や、ワシは昔は庭でバーベキューしてるパリピを土砂崩れの餌食にして、人肉BBQをしたもんじゃ!」
久世の御守りをつけていた凛は無傷で相づちしていたがパリピをBBQにした老害は高らかに言った。
「坊やは可愛いが小さくて肉付き悪い!!ワシはタッパとケツのデカイ男子がタイプです!!」
固いが食べると噛み手応えあり美味らしい。
凛はタッパとケツの段階で考えるのをやめた。
自分も常磐も咲もタッパとケツはでかくないので安全だ。
常磐は他の尻尾がある高齢者と将棋をしており、十六夜は咲とランチの準備をしている。
このままうまく行けばカニバリズムの餌にされずに済むと思ったらランチタイムとなった。
咲が十六夜と配膳しながら高齢者どもに言っている。
「カニバリズムはそっちのトレー!ビーガンは真ん中、ベジタリアンはこっち!間違えるなよ!今日はカニバリズムのスペシャル献立、少年院の中学生の肉入り死チュー!早い者勝ち!!」
喜んで死チューを奪い合う高齢者の姿を見ていて凛はホッとした。
「よかった!少年院の人はともかく俺と常磐はランチじゃなかった!」
凛は安心して咲が用意した人用のランチを食べた。
美味しそうなビーフシチューでパンとサラダとコンソメスープセットだ。
緊張してボランティアしていて空腹だった凛はランチをモグモグしていたが見ていた十六夜と咲は目配せした。
「凛……これ、美味しい?」
「凄く美味しいです!肉がジューシーで!」
「それ、少年院の人肉」
十六夜の言葉に凛はパンを詰まらせたが常磐が飲み物をよこした。
その様子を見ていた十六夜がにこりと笑った。
「ごめん。冗談」
「そういう冗談はやめてください!!」
怒る凛を姿を老害……高齢者たちは笑顔で見ていた。
久世家の御守りがあるので食べられないが凛は美味しいと判断された。
そして、久世たちが到着して午後のライブとなるが咲がランチを用意していた。
「はい。刑務所の窃盗犯のオッサンの肉で作ったチャーハンだ!おあがりよ」
勿論、咲の冗談だが久世は食欲不振になった。
でも、斗真は「オッサン美味しい!!」とチャーハンをモリモリ食べており、設楽と白珠も普通に食べている。
化け物では由緒ある家系なのに1番デリケートなのって俺じゃね?
久世は平然としている凛やみんなを眺めて、早くも疲れてきた。
凛と仲良く話してたカニバリズムの老害は集まったメンツを見ていて「タッパとケツのデカイ男子がいねーよ!!クソが!」と舌打ちしていたという。
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