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Chapter11(物怪編)
Chapter11-③【浅い眠り】前編
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空港の自動ドアが開くと、熱気が押し入ってきた。
「ナツキさん、こっちです!」
日に焼けた男が車から顔を出す。
「おう、随分暑いな。
流石、沖縄だ。」
助手席に座るナツキの額に汗が光る。
「この暑さは異常だよ。
この時期は20度前後が普通なんで。
ホテルに直行しますか?」
ミナトはウインカーを出すと、強引にタクシーの前に入り込む。
クラクションが後ろから追ってきた。
遮光ガラスでも照り付ける陽射しは防ぎ切れない。
「折角来たんだ、海に寄ってみるか。」
「了解!そう言うと思って、用意してきたんだ。」
ミナトが白い歯を溢した。
「で、ビデオの件だが。
顔出しで構わないんだな?」
中嶋に言われた通り念を押す。
「全然、平気。
沖縄の辺鄙なリゾート勤務だ。
見た奴に会う可能性なんてないだろうし。
逆に見た奴がモーション掛けてきたらラッキーな位さ。」
ミナトはアクセルを踏み込むと、車線を越えてトラクターを追い越した。
「こんな時期でも物好きはいるもんだ。」
見覚えのある叢に並ぶ車列を見てナツキは笑う。
「ああ、オカマにオフシーズンはないからな。
なあ、ここで一発どうだ?」
車の陰でミナトが卑猥な笑みを浮かべた。
「この車の数だけオカマがいるんだ。
大勢の前で犯してやるぜ。
それとも犯したいか?
まあ、どっちでもいい。
さあ、行くぞ。」
春先とは思えない陽射しにナツキは顔を顰めた。
ナツキの来沖の目的はミナトの性癖を探る為だ。
「ビデオを見て、一番ガッカリするのは完全に勃起してないペニスを見た時です。
だからSがフルに勃起するシナリオを書きたいのです。
その為にミナトさんがより興奮するプレイを見極めてきて下さい。
ナツキさんから動いたら駄目です。
相手のしたい事は絶対に断らない事を守って下さい。
旅費は私が持ちますから、動画を撮ってきて下さい。
カメラテストを兼ねて室内、室外でお願いします。
それから…。」
中嶋の指示を思い出そうとするが、余りに長く後半は記憶にない。
『兎に角、こいつを好きにさせて、動画を撮ればいい訳だ。』
中嶋は頭が切れるが、説明が多い。
前後に形容詞が多く、回りくどい。
「前戯の長いオカマは嫌われるぞ。」
説明を聞いた後のナツキの発言だ。
ポカンとした表情を思い出し、笑い出す。
「機嫌良さそうだな。
今日の陽射しなら、かなり焼けそうだ。」
ナツキは額の汗を拭うと、青空を見上げた。
「やはり観光客ばかりだ。」
「分かるのか?」
「レンタカーばかりだったし。
それにこっちの奴はこんな時期に海なんか来ないさ。」
ミナトは辺りを見回し、優良物件を探す。
「あの独りでいるマッチョが今日一かな。」
視線が向いてる方向を見る。
競パンを穿いた男が体育座りで沖を眺めていた。
ナツキ達の存在に気付いた男と視線が合う。
ニヤリと笑うと男は立ち上がり、海へ入っていく。
岩場に囲まれた狭い砂浜に二人分のスペースはない。
ミナトは半分に折ったシートを敷くと、大きな荷物を置いた。
(つづく)
「ナツキさん、こっちです!」
日に焼けた男が車から顔を出す。
「おう、随分暑いな。
流石、沖縄だ。」
助手席に座るナツキの額に汗が光る。
「この暑さは異常だよ。
この時期は20度前後が普通なんで。
ホテルに直行しますか?」
ミナトはウインカーを出すと、強引にタクシーの前に入り込む。
クラクションが後ろから追ってきた。
遮光ガラスでも照り付ける陽射しは防ぎ切れない。
「折角来たんだ、海に寄ってみるか。」
「了解!そう言うと思って、用意してきたんだ。」
ミナトが白い歯を溢した。
「で、ビデオの件だが。
顔出しで構わないんだな?」
中嶋に言われた通り念を押す。
「全然、平気。
沖縄の辺鄙なリゾート勤務だ。
見た奴に会う可能性なんてないだろうし。
逆に見た奴がモーション掛けてきたらラッキーな位さ。」
ミナトはアクセルを踏み込むと、車線を越えてトラクターを追い越した。
「こんな時期でも物好きはいるもんだ。」
見覚えのある叢に並ぶ車列を見てナツキは笑う。
「ああ、オカマにオフシーズンはないからな。
なあ、ここで一発どうだ?」
車の陰でミナトが卑猥な笑みを浮かべた。
「この車の数だけオカマがいるんだ。
大勢の前で犯してやるぜ。
それとも犯したいか?
まあ、どっちでもいい。
さあ、行くぞ。」
春先とは思えない陽射しにナツキは顔を顰めた。
ナツキの来沖の目的はミナトの性癖を探る為だ。
「ビデオを見て、一番ガッカリするのは完全に勃起してないペニスを見た時です。
だからSがフルに勃起するシナリオを書きたいのです。
その為にミナトさんがより興奮するプレイを見極めてきて下さい。
ナツキさんから動いたら駄目です。
相手のしたい事は絶対に断らない事を守って下さい。
旅費は私が持ちますから、動画を撮ってきて下さい。
カメラテストを兼ねて室内、室外でお願いします。
それから…。」
中嶋の指示を思い出そうとするが、余りに長く後半は記憶にない。
『兎に角、こいつを好きにさせて、動画を撮ればいい訳だ。』
中嶋は頭が切れるが、説明が多い。
前後に形容詞が多く、回りくどい。
「前戯の長いオカマは嫌われるぞ。」
説明を聞いた後のナツキの発言だ。
ポカンとした表情を思い出し、笑い出す。
「機嫌良さそうだな。
今日の陽射しなら、かなり焼けそうだ。」
ナツキは額の汗を拭うと、青空を見上げた。
「やはり観光客ばかりだ。」
「分かるのか?」
「レンタカーばかりだったし。
それにこっちの奴はこんな時期に海なんか来ないさ。」
ミナトは辺りを見回し、優良物件を探す。
「あの独りでいるマッチョが今日一かな。」
視線が向いてる方向を見る。
競パンを穿いた男が体育座りで沖を眺めていた。
ナツキ達の存在に気付いた男と視線が合う。
ニヤリと笑うと男は立ち上がり、海へ入っていく。
岩場に囲まれた狭い砂浜に二人分のスペースはない。
ミナトは半分に折ったシートを敷くと、大きな荷物を置いた。
(つづく)
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