妄想日記5<<DISPARITY>>

Chapter11(物怪編)

Chapter11-②【ガラガラヘビがやってくる】後編

妄想日記<<DISPARITY>>Chapter11-②【ガラガラヘビがやってくる】後編　
TMcollection Tback White
 
「見せ物じゃねぇんだ。
よそ行ってくれ。」
楽しい気分を壊され、突っ慳貪に言う。
「ここでやってる以上、見られたいからでしょ。
私がじっくり見てあげます。」
男が一歩歩み寄る。
「いいからどっか行ってくれ。
おっさんに構ってる暇はねぇんだよ！」
声を荒げるが、怯む気配はない。
それどころか伸ばした手でチカラの頭を撫で付けた。
「素晴らしい。
見事に剃り上げてますね。
丸で彫刻の様だ。
この血管、エロスの神の様です。」
男が溜め息交じりに指を動かす。
「うぜぇな！」
肘でその手を振り払う。
「その気の強さはＳ役にぴったりです。
私は貴方の様な凛々しいＳを探していたのです。」
一度引っ込んだ掌が再びスキンヘッドを撫で始めた。
 
『俺がＳ役？凛々しい？』
チカラはその手を払う事を止め、顔を見上げる。
「私のビデオに出てみませんか？
貴方の素晴らしいルックス、筋肉、そしてその凛々しいペニスを映像に残しません
か？
必ず満足する作品に仕上げますよ。」
頭皮から離れた手がペニスに伸びた。
亀頭をぎゅっと掴む。
「素晴らしい反発力です。
この類い稀なペニスで多くの人を魅了しませんか？」
チカラは亀頭を膨らませる事で、その答えとした。
男の大袈裟な称賛が自尊心を満たす。
一人だけ除け者にされた鬱憤が気持ちを動かしたのだ。
「話を聞かせてくれ。」
胡散臭いと警戒していた思いは跡形もなく失せていた。
『俺をビデオに出さなかったことを後悔させてやる。』
ナツキを見返したい気持ちが冷静さを深層へ追いやる。
 
「私の前作に出演したＭがことの他好評で、続編を撮る事になりまして。
ただこのＭに見合うＳ役が見付からず、奔走していたのです。
ですが貴方が全てを解決してくれました。
貴方なら彼と対等、いやそれ以上の支持を得られるでしょう。」
男のタンクトップの下からペニスが顔を出す。
細い竿に不似合いな亀頭が異常に膨らんでいる。
「貴方の素晴らしい造形美に比べたら、貧相でお恥ずかしい限りで。
その見事な男根を持つ貴方は選ばれし者なのです。」
亀頭が甘く囁く。
「立派なペニスを持つＳは意外と少ないのです。
あらゆる発展場でスカウトを試みましたが、条件に見合う人はいませんでした。
諦めかけていた時、貴方の勇姿を目撃しました。
正に雷に打たれた気分です。
私の求めていたモデルはこの人だと！」
饒舌な亀頭が目の前に迫る。
「そんな事…。」
開いた口に亀頭が侵入してきた。
男のペニスは思いの外長い。
瞬く間に口腔を塞ぐ。
「選ばれた者はその意義を万人に知らしめるべきです。
貴方のワイルドなルックスは多くのＭの垂涎の的となるでしょう。」
息苦しさの中で賛辞を聞く。
無意識に舌が動く。
苦しさから逃れる為か、賛辞に対する謝意なのか、自身でも分からない。
ただ勝手に舌先が動いていた。
 
「と言う訳で、この後綿密な打ち合わせを行います。
申し訳ないが、この方をお借りします。
これはお駄賃です。」
男は冷めた視線をヒナタへ向けると、千円札を競パンに押し込んだ。
 
 
(つづく)