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Chapter10(倒影編)
Chapter10-②【赤い鳥逃げた】前編
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「なあ、暇だったら付き合わないか?」
振り返ると、サクの皺だらけの顔が目の前にあった。
「あれっ、戻ってきたのか?」
「このまま疎遠になるのも寂しいしな。
ちょい付き合えよ。」
ワタルは頷くと、携帯をポケットに押し込む。
サクが前を歩く。
張り裂けそうなジーンズの中を想像せずにいられない。
「何処へ行くんだ?」
地下鉄のホームで聞いてみた。
「これから撮影があるんだ。
そんなに時間は掛からないから、見学してろよ。
その後、飯でも食おうぜ。
お前には…。」
入ってきた電車の騒音で、最後が聞き取れない。
ボロ以外の形容が思い付かない雑居ビルへ入って行く。
足音に驚いた虫が足下を横切る。
破れた壁紙に逃げ込んでも、先を行く歩みは緩まない。
当然エレベーターはなく、階段で四階迄登った。
磨りガラスにプラスチックのプレートが掛かっている。
『光スタジオ』そう読み取れた。
「ちわっ!」
サクが入って行くと、数人の男が振り返る。
その中の一人が立ち上がり、サクの元へ寄ってきた。
「お友達ですか?」
男が慇懃に話し掛ける。
「ああ、ゴーゴー仲間なんだ。
今日の撮影はそんな長くないだろ?
ここで待たせてくれ。」
「ええ、勿論構いませんよ。
では、早速始めましょうか。
白石君、用意して。」
男はアシスタントに指示を出すと、ガラス張りのスタジオに入っていった。
ワタルは立ったまま中を見詰める。
撮影現場に立ち会うのは初めてだ。
白石と呼ばれた青年が照明を点けた。
質素な白いベッドが浮かび上がる。
この無造作なシチュエーションはエロと程遠い。
本当にここで撮影は行われるのだろうか?
話し掛けてきた男が監督らしい。
サクともう一人のモデルにゼスチャーを交え、説明している。
監督は30代半ばだろうか。
身振り手振りが激しくなり、パーカーを脱ぎ捨てた。
紐タンクの下から筋肉が剥き出しになる。
『どっちがモデルだか分からないな。』
ワタルは笑うが、Tバック姿のサクから目が離せない。
インカムをした監督がスタジオから出てきた。
ワタルをチラッと見たが、直ぐにベッドへ視線を戻す。
「では始めて。」
その声で白石がカメラを回し始めた。
赤いライトがベッドを染める。
何気ない景色に淫らさが加わり出した。
プレイは唐突に始まった。
導入部もなく、いきなりだ。
ベッドの上でサクが四つん這いになる。
淡々とした動作は普段と変わらない。
目映い照明がサクの尻を照らす。
細いTバックでは抉れ返ったアナルは隠せない。
赤い肉襞がワタルの視界に飛び込んできた。
もう一人のモデルが鞭を持つ。
大きく振り上げた腕が一気に振り下ろされる。
「パシッ!」
破裂音がスタジオの外に迄、漏れてきた。
サクの尻に赤い筋が浮かぶ。
「右側を打ち続けなさい。
左右のコントラストが肝です。」
監督が淡々と指示を出す。
二度目の鞭がX字を描く。
ワタルは自分が打たれている錯覚を覚え、ひと鞭毎に大殿筋を引き締めた。
(つづく)
振り返ると、サクの皺だらけの顔が目の前にあった。
「あれっ、戻ってきたのか?」
「このまま疎遠になるのも寂しいしな。
ちょい付き合えよ。」
ワタルは頷くと、携帯をポケットに押し込む。
サクが前を歩く。
張り裂けそうなジーンズの中を想像せずにいられない。
「何処へ行くんだ?」
地下鉄のホームで聞いてみた。
「これから撮影があるんだ。
そんなに時間は掛からないから、見学してろよ。
その後、飯でも食おうぜ。
お前には…。」
入ってきた電車の騒音で、最後が聞き取れない。
ボロ以外の形容が思い付かない雑居ビルへ入って行く。
足音に驚いた虫が足下を横切る。
破れた壁紙に逃げ込んでも、先を行く歩みは緩まない。
当然エレベーターはなく、階段で四階迄登った。
磨りガラスにプラスチックのプレートが掛かっている。
『光スタジオ』そう読み取れた。
「ちわっ!」
サクが入って行くと、数人の男が振り返る。
その中の一人が立ち上がり、サクの元へ寄ってきた。
「お友達ですか?」
男が慇懃に話し掛ける。
「ああ、ゴーゴー仲間なんだ。
今日の撮影はそんな長くないだろ?
ここで待たせてくれ。」
「ええ、勿論構いませんよ。
では、早速始めましょうか。
白石君、用意して。」
男はアシスタントに指示を出すと、ガラス張りのスタジオに入っていった。
ワタルは立ったまま中を見詰める。
撮影現場に立ち会うのは初めてだ。
白石と呼ばれた青年が照明を点けた。
質素な白いベッドが浮かび上がる。
この無造作なシチュエーションはエロと程遠い。
本当にここで撮影は行われるのだろうか?
話し掛けてきた男が監督らしい。
サクともう一人のモデルにゼスチャーを交え、説明している。
監督は30代半ばだろうか。
身振り手振りが激しくなり、パーカーを脱ぎ捨てた。
紐タンクの下から筋肉が剥き出しになる。
『どっちがモデルだか分からないな。』
ワタルは笑うが、Tバック姿のサクから目が離せない。
インカムをした監督がスタジオから出てきた。
ワタルをチラッと見たが、直ぐにベッドへ視線を戻す。
「では始めて。」
その声で白石がカメラを回し始めた。
赤いライトがベッドを染める。
何気ない景色に淫らさが加わり出した。
プレイは唐突に始まった。
導入部もなく、いきなりだ。
ベッドの上でサクが四つん這いになる。
淡々とした動作は普段と変わらない。
目映い照明がサクの尻を照らす。
細いTバックでは抉れ返ったアナルは隠せない。
赤い肉襞がワタルの視界に飛び込んできた。
もう一人のモデルが鞭を持つ。
大きく振り上げた腕が一気に振り下ろされる。
「パシッ!」
破裂音がスタジオの外に迄、漏れてきた。
サクの尻に赤い筋が浮かぶ。
「右側を打ち続けなさい。
左右のコントラストが肝です。」
監督が淡々と指示を出す。
二度目の鞭がX字を描く。
ワタルは自分が打たれている錯覚を覚え、ひと鞭毎に大殿筋を引き締めた。
(つづく)
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