妄想日記5<<DISPARITY>>

Chapter9(手駒編)

Chapter9-⑫【サイレント・イヴ】後編

クリスマスイヴに予定が入ったのは何時以来だろうか？
冷たい北風も気にならない。
チカラは待ち合わせ場所に早めに到着する。
先に筋トレを済ます事で、性欲を高める目的だ。
生憎の空模様で、トレーニングしているのは二人だけだ。
どちらもタイプとは程遠い。
その分、トレーニングに集中力出来そうだ。
Tバック姿でベンチに寝そべり、バーを握る。
気分が高揚し、気合いが入った。
股間に血流が集まり、マラが上を向く。
二人の視線にサービスをする。
ブリッジの体勢で股間を突き出すと、バーを持ち上げた。
 
後一回上がると思ったが、腕が震え、そのまま潰れた。
「大丈夫っすか？」
スジ筋の男がサポートに入る。
補助を受けて、何とかバーをラックへ戻せた。
「悪いな、助かったよ。」
起き上がり、競パン姿の男に声を掛ける。
「いえ、こんな重い重量を上げるなんて凄いっすね。」
幼い笑顔を向けた。
チカラも釣られて、笑ってしまう。
ゲイデビューの頃は競パンに填まっていた事を思い出したのだ。
『高校生？』
チカラにはそう見える。
「学生か？」
「あっ、はいっ、いえっ、しゃ、社会人っす。」
直ぐに嘘と分かる返答をした。
「まあ、いい。
ありがとな。」
特に興味もないので、それ以上は突っ込まない。
 
その後もスジ筋はチカラを見続けた。
流石にその視線が気になる。
「おい、いい加減ジロジロ見んな。
気が散って、集中出来ねぇ。」
チカラは文句を言う。
「あっ、すいません。
邪魔するつもりはなかったんで。
あまりに格好いいんで、つい見とれちゃって。」
スジ筋が煽てる。
そう言われると悪い気はしない。
「だったらトレーニングを付き合ってやろうか？」
口が勝手に動いていた。
「マジっすか！
是非、お願いします！」
スジ筋が瞳を輝かせた。
 
「俺、ヒナタっす。
名前、聞いてもいいっすか？」
遠慮勝ちに聞いてくる。
「チカラだ。
力持ちのチカラ。」
気が付くと男のペースになっていた。
「そのTバック、光沢があって、めちゃエロいっす。
そのガタイだから、余計に映えるっすよ！」
ネットで買った安物を褒め称える。
「だったら最後にやろうか？
先走りがたっぷり付いたヤツを。」
「えっ、マジっすか！
大切にします！」
チカラは自分の発言でこんなに喜ぶヒナタに感動を覚えた。
 
携帯電話がメールの受信を知らせた。
ワタルが到着したのかと、内容を確認する。
『ナツキさんに呼び出し食らいました。
店に出るので、キャンセルです。』
浮かれた気分が台無しだ。
ナツキの勝手さが腹立たしい。
かと言って、面と向かって文句一つ言えない事は自分自身が一番分かっていた。
「おいっ、スパルタでいくぞ！
気合い入れろ！」
イヴにドタキャンを食らい、ヒナタに当たる。
「うっす！だったらこれを使うのが一番っす！
めちゃ気合い入るっすよ！」
ヒナタがゴーグルを掛けた。
「おう、いい趣味してるじゃねぇか！」
自分のフェチと合った事で、憤りは性欲に変換されていく。
ゴーグルをしたヒナタも発情している。
競パンの中で太マラが藻掻いてた。
『身体に似合わず、いいモンぶら下げているじゃねぇか。』
チカラは舌舐めずりすると、ヒナタの尻を一発張る。
あのパドルの破裂音に比べると、物足りなさは拭えなかった。
 
 
(つづく)