妄想日記5<<DISPARITY>>

YAMATO

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Chapter5(奸賊編)

Chapter5-⑩【ダイアモンドダストが消えぬまに】後編

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「うおっー、喉が乾くな。」
起き上がったナツキが伸びをした。
「こいつがさっき話したミナト。
イントラ・アカデミー時代の同期なんだ。
今はここのライフセーバーをしてる。」
チカラが紹介する。
「どうも、ミナトです。
これ良かったら。」
ポケットから出した缶コーヒーが途中で止まる。
ミナトの視線がナツキの乳首にロックオンした。
「おう、悪ぃな。」
ナツキは手を伸ばし、缶コーヒーを掻っ攫う。
鳶の様な俊敏さだ。
缶を傾けると、あっという間に飲み干した。
瞬き一つしないミナトを見て、優越感に浸る。
ナツキがタイプである事は間違いない。
その証拠に濡れた股間が隆起していた。
 
「なあ、暇だったらシュノーケルツアーに来ないか?
午前中雨だったから、予約が少ないんだ。
タダで乗せてやるよ。」
時計を見たミナトが誘ってきた。
余程、ナツキが気に入ったらしい。
今迄、タダで誘われた事はない。
「どうする?
別にシュノーケルしたくないだろ?」
チカラはそれ程乗り気ではない。
パーティーに備えて、今はのんびりしたかった。
復活した陽射しが勿体ない。
ミナトには悶々としたままでいて欲しい。
「タダか、だったら乗ってやるよ。」
ナツキが腰を浮かす。
「よっしゃ!
めちゃサービスするから。
但し、短パンは穿いてくれ。」
破顔するミナトを見て、少し疎ましく思った。
 
船がシュノーケルポイントで停泊した。
ウエットスーツを着たミナトが参加者に注意事項を説明する。
筋肉を包み込むウエットにチカラは欲望を覚えた。
「以上の注意を守って、楽しんで下さい。
決して遠くへは行かない様に。
では…。」
ミナトが言い終わる前にナツキは海へ飛び込んでいた。
海中へ消えた後、泡だけが残る。
唖然と見詰める先から顔を出す。
「おいっ、早く来いよ!
物凄い魚の数だぜ。」
子供の様にはしゃぐ姿を初めて見た。
 
ナツキは僅か30分程度で船へ上がっていく。
直ぐに飽きたのだろう。
チカラはまだ物足りない。
魚に囲まれた青白い空間が心地好い。
このまま何時までも泳いでいたかった。
強い陽射しが海中まで届く。
照された珊瑚礁が様々な色に変化する。
『あの時と同じだ。』
ヒカルと来た時を思い出す。
まだヒカルの瞳に畏れがない頃だ。
『また好きな人と、ここへ来れた。』
背筋がゾクゾクした。
海から顔半分を出す。
まだ周りの人はシュノーケルを楽しんでいる。
視線を先に向けると、船上に人影はない。
全速力で船へ戻る。
気配を消し、縁から中の様子を伺う。
戻った筈のナツキがいない。
一旦海に入り、潜って船の反対側に廻る。
そっと船内を覗く。
操舵室の陰で肉付きの良い大殿筋が揺れていた。
仰向けで寝ているのはミナトだ。
下から伸びた腕が肥大した乳首を捉えていた。
「黒いな。
上げるぜ。」
ウエットを着たインストラクターにナツキも欲情した様だ。
同じ趣味を持つミナトにナツキを会わせた事を後悔した。
さっき同士と言わずに、恋人と紹介すれば良かったと悔いる。
アカデミーの中でミナトとは直ぐに意気投合した。
浮いた二人が行動を共にするのは自然な流れだ。
チカラの奇異な性癖を見抜いたミナトは様々な情報を教えてくれた。
コンドームに填まったのもミナトの所為だ。
 
 
(つづく)
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