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Chapter4(利達編)
Chapter4-⑩【嫉妬の権利】前編
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「おかまぁ~心の~未練でしょうか~」
風呂場の電気か点き、暫くすると鼻歌が聞こえてきた。
携帯電話を見ると、0時15分だ。
児玉はニュース番組が終わると、風呂へ入る習慣なのを覚えていた。
ナツキは合鍵を使い、中へ侵入する。
風呂場といっても、会員が使う簡易シャワーだ。
アコーディオン式の扉に人影が動く。
「あなたぁ~恋しぃ~」
ナツキは扉の下の隙間をタオルで塞ぐ。
そして最後に残った隙間から大量の虫を放した。
「きたぁ~の…、ぎゃあぁ!」
鼻歌が絶叫に変わった。
「きゃあ!なっ、何なの!」
人影の手が扉に掛かる。
ナツキはそれを反対側から阻止した。
「だっ、誰かいるの?
きゃあ!足を登って…きたぁ!
こっ、来ないでぇ!」
ナツキは無言で扉を押さえる。
「だっ、誰よ!
ぎゃあぁ!
踏んじゃった…。」
騒がしかった室内が静まり返り、影が壁に凭れ掛かかるのが分かった。
ナツキは五分待つ。
デジタルが0時30分に変わるのを見て、扉を少し開けてみる。
大量のゴキブリが湯気と共に雪崩出てきた。
狭いシャワー室の中で児玉は気を失っている。
その下の潰れたゴキブリを見て、流石に気分が悪くなった。
真っ黒な裸体に競パンの後がくっきり付いている。
ナツキは持ってきた白マジックの蓋を取る。
『私はわるいクレーマーです。
もうわるいことはしません。』
裸体にそう書くと、デジカメで撮影した。
これで懲りなければ、画像をネットにばら蒔くだけだ。
ナツキはマジックを仕舞うと、両手を叩く。
簡単な仕事だった。
面倒な仕事が片付き、ナツキは晴れ晴れした気持ちで町を闊歩する。
残り九日間は自由だ。
今日はタクヤとコウスケと会う約束になっていた。
流行りの店に行くと言っていたので、気合いが入る。
思い切り空気を吸い込むと、ハーネスが大胸筋に食い込んだ。
既にコンドームは装着済みだ。
このハーネスを見て涎を垂らす変態を想像すると、股間が熱を持った。
店へ行く前に喫茶店へ寄る。
指定された場所以外で喫煙出来ない事を知ったからだ。
喫煙ルームは出勤前の客で混んでいた。
「こうじゃなくちゃな!」
換気が追い付かない、煙塗れの部屋へ入っていく。
一杯だった席がタイミングよく一つ空いた。
その席目掛けて煙草の箱を投げる。
上手い具合にテーブルの真ん中に着地した。
先に待っていた客がナツキを睨む。
開き掛けた口は人相を見て、ゆっくりと閉じた。
領収書をポケットに突っ込み、煙を吐き出す。
開きっ放し自動ドアから人が覗いている。
吐いた煙が幕となった。
視界が開ける前にその姿は消えていた。
「よっ、昨日の支払いは幾らだ?
領収書を書いてくれ。」
店に顔を出したナツキはカウンターへ声を掛ける。
だが返事はない。
ドアには『OPEN 』のボードが掛かっていた。
「便所か?
無用心だぞ。
レジに誰もいないと…。」
言い終わる前に後頭部へ衝撃が走る。
「いてぇな。」
痛む頭を押さえた手が真っ赤に染まる。
そして二度目の激痛を受けた時、膝から落ちた。
(つづく)
風呂場の電気か点き、暫くすると鼻歌が聞こえてきた。
携帯電話を見ると、0時15分だ。
児玉はニュース番組が終わると、風呂へ入る習慣なのを覚えていた。
ナツキは合鍵を使い、中へ侵入する。
風呂場といっても、会員が使う簡易シャワーだ。
アコーディオン式の扉に人影が動く。
「あなたぁ~恋しぃ~」
ナツキは扉の下の隙間をタオルで塞ぐ。
そして最後に残った隙間から大量の虫を放した。
「きたぁ~の…、ぎゃあぁ!」
鼻歌が絶叫に変わった。
「きゃあ!なっ、何なの!」
人影の手が扉に掛かる。
ナツキはそれを反対側から阻止した。
「だっ、誰かいるの?
きゃあ!足を登って…きたぁ!
こっ、来ないでぇ!」
ナツキは無言で扉を押さえる。
「だっ、誰よ!
ぎゃあぁ!
踏んじゃった…。」
騒がしかった室内が静まり返り、影が壁に凭れ掛かかるのが分かった。
ナツキは五分待つ。
デジタルが0時30分に変わるのを見て、扉を少し開けてみる。
大量のゴキブリが湯気と共に雪崩出てきた。
狭いシャワー室の中で児玉は気を失っている。
その下の潰れたゴキブリを見て、流石に気分が悪くなった。
真っ黒な裸体に競パンの後がくっきり付いている。
ナツキは持ってきた白マジックの蓋を取る。
『私はわるいクレーマーです。
もうわるいことはしません。』
裸体にそう書くと、デジカメで撮影した。
これで懲りなければ、画像をネットにばら蒔くだけだ。
ナツキはマジックを仕舞うと、両手を叩く。
簡単な仕事だった。
面倒な仕事が片付き、ナツキは晴れ晴れした気持ちで町を闊歩する。
残り九日間は自由だ。
今日はタクヤとコウスケと会う約束になっていた。
流行りの店に行くと言っていたので、気合いが入る。
思い切り空気を吸い込むと、ハーネスが大胸筋に食い込んだ。
既にコンドームは装着済みだ。
このハーネスを見て涎を垂らす変態を想像すると、股間が熱を持った。
店へ行く前に喫茶店へ寄る。
指定された場所以外で喫煙出来ない事を知ったからだ。
喫煙ルームは出勤前の客で混んでいた。
「こうじゃなくちゃな!」
換気が追い付かない、煙塗れの部屋へ入っていく。
一杯だった席がタイミングよく一つ空いた。
その席目掛けて煙草の箱を投げる。
上手い具合にテーブルの真ん中に着地した。
先に待っていた客がナツキを睨む。
開き掛けた口は人相を見て、ゆっくりと閉じた。
領収書をポケットに突っ込み、煙を吐き出す。
開きっ放し自動ドアから人が覗いている。
吐いた煙が幕となった。
視界が開ける前にその姿は消えていた。
「よっ、昨日の支払いは幾らだ?
領収書を書いてくれ。」
店に顔を出したナツキはカウンターへ声を掛ける。
だが返事はない。
ドアには『OPEN 』のボードが掛かっていた。
「便所か?
無用心だぞ。
レジに誰もいないと…。」
言い終わる前に後頭部へ衝撃が走る。
「いてぇな。」
痛む頭を押さえた手が真っ赤に染まる。
そして二度目の激痛を受けた時、膝から落ちた。
(つづく)
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