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Chapter4(利達編)
Chapter4-①【バレッタ】前編
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「午後は幹部会がある。」
今日はトレーニングのオフ日で、朝食の席で神志那が言った。
ナツキは傾けていたプロテインのグラスを止める。
『という事は待ちに待ったキャットスーツを着る日だ。』
武者震いが止まらない。
「では着替えてきます。」
ナツキは席を立つ。
「前に塚田に着せたメッシュの全タイがあったろ。
それを着ろ。」
神志那の言葉に振り返る。
「えっ、キャットスーツでなくて、いいんすか?」
ナツキは肩透かしを食わされ、細い目を目一杯開く。
「ああ、今日は別の奴が着る。」
「えっ、でも…。」
赤の間の扉が開き、言葉を失う。
中からキャットスーツを着た男が現れた。
一重の瞼を益々開く。
背格好からいって、トモヤに違いない。
だが筋量が丸で違う。
以前の緩さは微塵もない。
ラバー越しにも肥大した大胸筋が分かる。
六つに割れた腹筋はナツキにはない。
ナツキに罵倒され、かなり努力したらしい。
『くっそ!』
敵に塩を送った事になる。
『何故、トモヤが今更幹部会に?
しかも筆頭秘書の証しとなるスーツを着てるのか?
筆頭は俺の筈だ。』
疑問が次々に浮かぶ。
「しかしスーツは筆頭秘書が着るのでは?」
ナツキは簡単には諦めきれない。
「そうだ。」
「では何故、他の者が?」
「それはお前をまだ筆頭秘書と決めてないからだ。
はっきり言って、俺は決め兼ねている。
トモヤは充分に仕えてくれた。
この先もきっと同じだろう。
だからチャンスをやった。
そしてそれを見事に生かし、短期間で肉体改造に成功した。
見てみろ、監禁された筋肉を。」
神志那の言葉にキャットスーツが敬礼した。
『それに引き換え、お前は何をやってるんだ?』
神志那の発言の裏に、この言葉が隠れている気がした。
掌に汗が浮かんだ。
「で、でも…。」
「お前も勝ちレースでは詰まらないだろ。
勝負を制してこそ、意義がある。
さっさと着替えてこい。」
もう返す言葉はない。
やはり矢吹との淫行に腹を立てているとしか思えない。
ナツキは臍を噛む事になった。
キャットスーツの脇を通り、黒の間へ向かう。
「調子に乗りやがって、淫乱馬鹿が。」
擦れ違い様、キャットスーツが悪態を吐く。
『だから忠告したのに。』
カズユキがそう言って、笑った。
幹部会は赤の間で執り行われた。
四人の支配人が順番に各支店の状況を報告している。
ナツキは会社勤めの経験はないが、酷く一般的に見えた。
ただ一点を除いては。
四人共、ぴったりと身体に張り付いたボンテージ系のウェアを身に纏っていた。
「以上、中央の報告を終わります。
次、北の支配人お願いします。」
塚田がお辞儀をして、プロジェクターの光の中から退ける。
入れ替わりに北の支配人と呼ばれた男が中へ入ってきた。
小柄でジャニ系の男は体操選手を思わせる風貌だ。
既に汗をびっしょり掻いていた。
脇でパソコンを操作しているトモヤがプロジェクターの映像を切り替えた。
(つづく)
今日はトレーニングのオフ日で、朝食の席で神志那が言った。
ナツキは傾けていたプロテインのグラスを止める。
『という事は待ちに待ったキャットスーツを着る日だ。』
武者震いが止まらない。
「では着替えてきます。」
ナツキは席を立つ。
「前に塚田に着せたメッシュの全タイがあったろ。
それを着ろ。」
神志那の言葉に振り返る。
「えっ、キャットスーツでなくて、いいんすか?」
ナツキは肩透かしを食わされ、細い目を目一杯開く。
「ああ、今日は別の奴が着る。」
「えっ、でも…。」
赤の間の扉が開き、言葉を失う。
中からキャットスーツを着た男が現れた。
一重の瞼を益々開く。
背格好からいって、トモヤに違いない。
だが筋量が丸で違う。
以前の緩さは微塵もない。
ラバー越しにも肥大した大胸筋が分かる。
六つに割れた腹筋はナツキにはない。
ナツキに罵倒され、かなり努力したらしい。
『くっそ!』
敵に塩を送った事になる。
『何故、トモヤが今更幹部会に?
しかも筆頭秘書の証しとなるスーツを着てるのか?
筆頭は俺の筈だ。』
疑問が次々に浮かぶ。
「しかしスーツは筆頭秘書が着るのでは?」
ナツキは簡単には諦めきれない。
「そうだ。」
「では何故、他の者が?」
「それはお前をまだ筆頭秘書と決めてないからだ。
はっきり言って、俺は決め兼ねている。
トモヤは充分に仕えてくれた。
この先もきっと同じだろう。
だからチャンスをやった。
そしてそれを見事に生かし、短期間で肉体改造に成功した。
見てみろ、監禁された筋肉を。」
神志那の言葉にキャットスーツが敬礼した。
『それに引き換え、お前は何をやってるんだ?』
神志那の発言の裏に、この言葉が隠れている気がした。
掌に汗が浮かんだ。
「で、でも…。」
「お前も勝ちレースでは詰まらないだろ。
勝負を制してこそ、意義がある。
さっさと着替えてこい。」
もう返す言葉はない。
やはり矢吹との淫行に腹を立てているとしか思えない。
ナツキは臍を噛む事になった。
キャットスーツの脇を通り、黒の間へ向かう。
「調子に乗りやがって、淫乱馬鹿が。」
擦れ違い様、キャットスーツが悪態を吐く。
『だから忠告したのに。』
カズユキがそう言って、笑った。
幹部会は赤の間で執り行われた。
四人の支配人が順番に各支店の状況を報告している。
ナツキは会社勤めの経験はないが、酷く一般的に見えた。
ただ一点を除いては。
四人共、ぴったりと身体に張り付いたボンテージ系のウェアを身に纏っていた。
「以上、中央の報告を終わります。
次、北の支配人お願いします。」
塚田がお辞儀をして、プロジェクターの光の中から退ける。
入れ替わりに北の支配人と呼ばれた男が中へ入ってきた。
小柄でジャニ系の男は体操選手を思わせる風貌だ。
既に汗をびっしょり掻いていた。
脇でパソコンを操作しているトモヤがプロジェクターの映像を切り替えた。
(つづく)
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