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Chapter1(立志編)
Chapter1-⑥【WILD RUSH】後編
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『悪いが、風邪引いたみたいだ。
別の日に連絡する。』
ナツキはカズユキにメールを送ると、ビジネスホテルへ向かう。
神志那の言う『シゴキ』がどんな物か分からないが、期待に股間が膨れる。
初めて締め技で落ちた日を思い出す。
「ナツキ、ちょい練習に付き合ってくれ。」
コーチが帰った後、先輩が声を掛けてきた。
「コーチにさ、立ち技に拘らないで、寝技を覚えろって言われたんだ。」
理由を聞き、畳に横たわる。
『こいつは練習でなければ、一生俺に技を掛ける事は出来ない。』
練習の名を語ったシゴキだと理解した。
頸動脈に圧が掛かり、息が出来ない。
一瞬畳を叩く事を考えたが、自分より弱い相手に負けを認めたくなかった。
練習であっても、負けは負けだ。
意識が遠退く中、下半身が熱くなった。
苦しいのに気持ちがいい。
気が絶えると同時に射精した。
朝起ち時の射精にはない、快感がそこにあったのだ。
その後、試合で二度落ちた。
どちらも射精していた。
今迄生きてきて、快感と呼べるのはその三回だけだ。
だが締め技を己に掛ける事は出来ない。
『シゴキ』という単語を聞き、淫らな記憶が蘇った。
それに伴いリングの締め付けがキツくなる。
拘束感に得も言われぬ興奮を見い出したのだ。
どうせ飲みがてらに身体を触ってくる位だろうと、高を括っていた。
ホテルで出来る筋トレなど朝飯前だ。
もしかすると締め技を掛けてもらえる上に、小遣いが得られるかもしれない。
ナツキは逸る気持ちで507号室のドアをノックした。
「おう、本当に来たな。
覚悟出来てるな?」
ドアから顔を出した神志那の唇が歪んだ。
『自分から誘っておいて、本当に来たなはねぇえよな。
しかも覚悟っていうのも大袈裟だし。』
ナツキは不審がる。
シングルの部屋の小さなテーブルに飲み掛けのグラスが置いてあった。
「先ずは坂口先生に乾杯だ。」
神志那は飲み掛けのグラスにボトルを傾けると、ナツキに手渡す。
ナツキは受け取った琥珀色の液体を一気に流し込む。
喉に痛みが走り、噎せ返りそうになる。
それを堪え、何とか飲み込んだ。
「なっ、何すか、これ?
ゲッホッ!」
グラスを目の前に翳す。
「テキーラだ。
まさか初めて飲むんじゃないよな。」
からかう様な口振りだ。
「まっ、まさか!
久し振りだったんで、ちょっと噎せただけっすよ。」
慌てて、残りを飲み干す。
強い酒という知識はあるが、口にするのは初めてだった。
「頼もしいな。
男はストレートでないとな。」
神志那も呷った。
「絶対、ユズルの奴、故意にやったんすよ。」
ナツキは酔いに任せ、鬱憤をぶちまける。
「監督は引き留めてくれたっすけど、コーチ達は俺の言う事を信じてくれなくて。
くそぉ!」
次々にグラスを空にしていく。
神志那は黙って話を聞き、空いたグラスにテキーラを注ぐ。
「俺がいれば、学生柔道に出れたのに!
今更、戻ってくれといっても、無駄っすよ。
俺は絶対に戻らないっす!
小便してくるっす。」
立ち上がったナツキが一歩よろける。
「そろそろ始めるか。
おらっ、服を脱げ。」
身体を支えた神志那が低い声で言った。
(つづく)
別の日に連絡する。』
ナツキはカズユキにメールを送ると、ビジネスホテルへ向かう。
神志那の言う『シゴキ』がどんな物か分からないが、期待に股間が膨れる。
初めて締め技で落ちた日を思い出す。
「ナツキ、ちょい練習に付き合ってくれ。」
コーチが帰った後、先輩が声を掛けてきた。
「コーチにさ、立ち技に拘らないで、寝技を覚えろって言われたんだ。」
理由を聞き、畳に横たわる。
『こいつは練習でなければ、一生俺に技を掛ける事は出来ない。』
練習の名を語ったシゴキだと理解した。
頸動脈に圧が掛かり、息が出来ない。
一瞬畳を叩く事を考えたが、自分より弱い相手に負けを認めたくなかった。
練習であっても、負けは負けだ。
意識が遠退く中、下半身が熱くなった。
苦しいのに気持ちがいい。
気が絶えると同時に射精した。
朝起ち時の射精にはない、快感がそこにあったのだ。
その後、試合で二度落ちた。
どちらも射精していた。
今迄生きてきて、快感と呼べるのはその三回だけだ。
だが締め技を己に掛ける事は出来ない。
『シゴキ』という単語を聞き、淫らな記憶が蘇った。
それに伴いリングの締め付けがキツくなる。
拘束感に得も言われぬ興奮を見い出したのだ。
どうせ飲みがてらに身体を触ってくる位だろうと、高を括っていた。
ホテルで出来る筋トレなど朝飯前だ。
もしかすると締め技を掛けてもらえる上に、小遣いが得られるかもしれない。
ナツキは逸る気持ちで507号室のドアをノックした。
「おう、本当に来たな。
覚悟出来てるな?」
ドアから顔を出した神志那の唇が歪んだ。
『自分から誘っておいて、本当に来たなはねぇえよな。
しかも覚悟っていうのも大袈裟だし。』
ナツキは不審がる。
シングルの部屋の小さなテーブルに飲み掛けのグラスが置いてあった。
「先ずは坂口先生に乾杯だ。」
神志那は飲み掛けのグラスにボトルを傾けると、ナツキに手渡す。
ナツキは受け取った琥珀色の液体を一気に流し込む。
喉に痛みが走り、噎せ返りそうになる。
それを堪え、何とか飲み込んだ。
「なっ、何すか、これ?
ゲッホッ!」
グラスを目の前に翳す。
「テキーラだ。
まさか初めて飲むんじゃないよな。」
からかう様な口振りだ。
「まっ、まさか!
久し振りだったんで、ちょっと噎せただけっすよ。」
慌てて、残りを飲み干す。
強い酒という知識はあるが、口にするのは初めてだった。
「頼もしいな。
男はストレートでないとな。」
神志那も呷った。
「絶対、ユズルの奴、故意にやったんすよ。」
ナツキは酔いに任せ、鬱憤をぶちまける。
「監督は引き留めてくれたっすけど、コーチ達は俺の言う事を信じてくれなくて。
くそぉ!」
次々にグラスを空にしていく。
神志那は黙って話を聞き、空いたグラスにテキーラを注ぐ。
「俺がいれば、学生柔道に出れたのに!
今更、戻ってくれといっても、無駄っすよ。
俺は絶対に戻らないっす!
小便してくるっす。」
立ち上がったナツキが一歩よろける。
「そろそろ始めるか。
おらっ、服を脱げ。」
身体を支えた神志那が低い声で言った。
(つづく)
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