妄想日記5<<DISPARITY>>

YAMATO

文字の大きさ
上 下
12 / 236
Chapter1(立志編)

Chapter1-⑥【WILD RUSH】後編

しおりを挟む
『悪いが、風邪引いたみたいだ。
別の日に連絡する。』
ナツキはカズユキにメールを送ると、ビジネスホテルへ向かう。
神志那の言う『シゴキ』がどんな物か分からないが、期待に股間が膨れる。
初めて締め技で落ちた日を思い出す。
「ナツキ、ちょい練習に付き合ってくれ。」
コーチが帰った後、先輩が声を掛けてきた。
「コーチにさ、立ち技に拘らないで、寝技を覚えろって言われたんだ。」
理由を聞き、畳に横たわる。
『こいつは練習でなければ、一生俺に技を掛ける事は出来ない。』
練習の名を語ったシゴキだと理解した。
頸動脈に圧が掛かり、息が出来ない。
一瞬畳を叩く事を考えたが、自分より弱い相手に負けを認めたくなかった。
練習であっても、負けは負けだ。
意識が遠退く中、下半身が熱くなった。
苦しいのに気持ちがいい。
気が絶えると同時に射精した。
朝起ち時の射精にはない、快感がそこにあったのだ。
その後、試合で二度落ちた。
どちらも射精していた。
今迄生きてきて、快感と呼べるのはその三回だけだ。
だが締め技を己に掛ける事は出来ない。
『シゴキ』という単語を聞き、淫らな記憶が蘇った。
それに伴いリングの締め付けがキツくなる。
拘束感に得も言われぬ興奮を見い出したのだ。
どうせ飲みがてらに身体を触ってくる位だろうと、高を括っていた。
ホテルで出来る筋トレなど朝飯前だ。
もしかすると締め技を掛けてもらえる上に、小遣いが得られるかもしれない。
ナツキは逸る気持ちで507号室のドアをノックした。
 
「おう、本当に来たな。
覚悟出来てるな?」
ドアから顔を出した神志那の唇が歪んだ。
『自分から誘っておいて、本当に来たなはねぇえよな。
しかも覚悟っていうのも大袈裟だし。』
ナツキは不審がる。
シングルの部屋の小さなテーブルに飲み掛けのグラスが置いてあった。
「先ずは坂口先生に乾杯だ。」
神志那は飲み掛けのグラスにボトルを傾けると、ナツキに手渡す。
ナツキは受け取った琥珀色の液体を一気に流し込む。
喉に痛みが走り、噎せ返りそうになる。
それを堪え、何とか飲み込んだ。
「なっ、何すか、これ?
ゲッホッ!」
グラスを目の前に翳す。
「テキーラだ。
まさか初めて飲むんじゃないよな。」
からかう様な口振りだ。
「まっ、まさか!
久し振りだったんで、ちょっと噎せただけっすよ。」
慌てて、残りを飲み干す。
強い酒という知識はあるが、口にするのは初めてだった。
「頼もしいな。
男はストレートでないとな。」
神志那も呷った。
 
「絶対、ユズルの奴、故意にやったんすよ。」
ナツキは酔いに任せ、鬱憤をぶちまける。
「監督は引き留めてくれたっすけど、コーチ達は俺の言う事を信じてくれなくて。
くそぉ!」
次々にグラスを空にしていく。
神志那は黙って話を聞き、空いたグラスにテキーラを注ぐ。
「俺がいれば、学生柔道に出れたのに!
今更、戻ってくれといっても、無駄っすよ。
俺は絶対に戻らないっす!
小便してくるっす。」
立ち上がったナツキが一歩よろける。
「そろそろ始めるか。
おらっ、服を脱げ。」
身体を支えた神志那が低い声で言った。
 
 
(つづく)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

消防士の義兄との秘密

熊次郎
BL
翔は5歳年上の義兄の大輔と急接近する。憧れの気持ちが欲望に塗れていく。たくらみが膨れ上がる。

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

プライド

東雲 乱丸
BL
「俺は屈しない! 」男子高校生が身体とプライドを蹂躙され調教されていく… ある日突然直之は男達に拉致され、強制的に肉体を弄ばれてしまう。 監禁されレイプによる肉体的苦痛と精神的陵辱を受ける続ける直之。 「ヤメてくれー! 」そう叫びながら必死に抵抗するも、肉体と精神の自由を奪われ、徐々に快楽に身を委ねてしまう。そして遂に―― この小説はR-18です。 18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします。 エロのみのポルノ作品です。 過激な生掘り中出しシーン等を含む暴力的な性表現がありますのでご注意下さい。 詳しくはタグを確認頂き、苦手要素が含まれる方はお避け下さい。 この小説はフィクションです。 登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 また皆様に於かれましては、性感染症防止の観点からもコンドームを着用し、セーファーセックスを心掛けましょう。

泥々の川

フロイライン
恋愛
昭和四十九年大阪 中学三年の友谷袮留は、劣悪な家庭環境の中にありながら前向きに生きていた。 しかし、ろくでなしの父親誠の犠牲となり、ささやかな幸せさえも奪われてしまう。

【 よくあるバイト 】完

霜月 雄之助
BL
若い時には 色んな稼ぎ方があった。 様々な男たちの物語。

思春期のボーイズラブ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:幼馴染の二人の男の子に愛が芽生える  

処理中です...