妄想日記8<<FLOWERS>>

YAMATO

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Chapter1(リクルート編)

Chapter1-④【野蛮な再会】

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細めた目で発生源を盗み見る。
立派に開いた肉襞が存在感を示していた。
バーを下ろすと、男の腰も下がる。
肉襞は目と鼻の先だ。
腕を伸ばして追い払いたいが、力が入らない。
男の人差し指が微かにバーを支えている。
思い切り息を吸い込むと、また花の香りが雪崩れ込んできた。
麻薬の様に全身に染み込んでいく。
「うりぁ!」
強く吐き出し過ぎて、顎が上がってしまう。
『ガッシャーン!』
ラックが激しく揺れた時、蠢く襞に顔を埋めていた。
「おおっ、堪りません…。」
男の重みが増していく。
尻とベンチに挟まれながら、舌を伸ばし続けた。
「初めてお会いしたのに、少し調子に乗り過ぎました。
また機会があれば…。」
新鮮な空気が入ってくるのと同時にドアノブが回った。
自分にとっては忌まわしい出来事でも、男には発展場でのありふれた風景なのかもし
れない。
そんな事は本人以外覚えていない様だ。
その事に安堵し、去っていく背中へ目を向ける。
 
また一人現れた。
キャップを被った男だ。
入口で立ちすくんでいる。
こんな時間に筋トレする者等、いないと思って来たのだろう。
花の香りを持つ男は顔を伏せ、いそいそと出ていった。
『見られただろうか?』
キャップ男に視線を向けるが、鍔が邪魔して表情は分からなかった。
今日を最後に給料日まで来れそうもない。
ここで引き揚げる訳にはいかない。
ここは発展場だ。
アナル舐め等、それこそよくあるシーンだろう。
そう思う事で、トレーニングを続ける。
キャップを被った男はフラットベンチでダンベルを上げ始めた。
発達した大胸筋が40キロのウェイトでは物足りないと訴えている様だ。
 
順番を変えて、インクラインベンチにダンベルを運ぶ。
頬を叩き、ダンベルを太股の上に置く。
六回目で肘が震え出す。
独りならここで大声を出せば、後二回は上げられる。
しかし今はそうもいかない。
せめてもう一回。
そう思った時、肘に掌が添えられた。
「おらっ、プッシュ、プッシュ!」
震える肘を押し上げてくれる。
ダンベルが顔の上で合う。
そしてゆっくりと胸の脇に戻す。
「おらっ、もう一丁!
自力で上げろ!」
肘を支える掌はサポート体勢を持続していた。
「うりゃあ!もう一発!」
気合いが口を衝き、肘が掌から離れていく。
「おりゃあぁぁぁ!」
顎を突き出すと、鍔の下から覗く聡明な視線と搗ち合った。
 
「ありがとう…、ございます。
あれ…、もしかして…、釘崎さんですか?」
はち切れそうな大胸筋に聞く。
「まあ…、こんな所で参ったな。
君は確か…、ヒュウガ君だったね。」
「あっ、こんな場所で本名を出してすみません。」
慌てて頭を下げる。
「誰もいないから、別に構わないけど。
ただ発展場での再会がいただけないだけさ。」
膨らんだ胸筋が答えた。
恥ずかしくて視線を合わせられない。
シャツ、短パン、シューズを履いている相手の前で、裸に近い格好だ。
声を掛けず、気付かぬ振りをすれば良かった。
後悔するが、手遅れだ。
 
(つづく)
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