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akira

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真実の出逢い

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僕と彼女が出会ったのはある婚活サイト。
僕は別居10年以上してやっと別れた妻と娘がいる。
50を過ぎて新しいこれからの人生を過ごしていける彼女が欲しかった。


一人の女性が目にとまったグイグイ引っ張る男が好みらしい。自分とは正反対の男だなぁと思いつつアプローチしてみたら返事が来た。
彼女は看護師で仕事が不定期で46という年齢まで結婚できずにいるという。すぐにLINEの交換をした。

5月1日 
LINE開始
お互いの仕事の話とか興味深くてとても話が弾んだ。
それから2日もたたないうちに彼女の事が好きになった。彼女にも伝えたが彼女は当然まだわからないと言う

しかしそれから時間もかけずに二人とも好きと言えるようになった。

逢える日を決めた
6月1日

彼女は夜勤明けで来てくれるという
自分は岐阜県、彼女は愛知県、同じ地方で隣の県

しかし調べたら約三時間の道のりだと判明

それでも会いたかった。


一ヶ月やり取りを重ねてやっと約束の日

彼女の最寄りの駅で待ち合わせして彼女と逢った。
一ヶ月のやり取りの中でお互いが好きと言う気持ちが大きくなっていた僕たちはその日のうちに結ばれた。

それから三回目のデートは三重県の温泉に1泊旅行

とても楽しかった。彼女は僕の理想だった。


自分には下半身にもう5年もほっといている腫瘍がある
特にそれまで生活に支障があるわけでは無いのでずっとほっといていたが彼女から勧められて切除する事に
手術の日が10月1日決まった




「手術の時は私ついてるから!」


「いや、恥ずかしいからいいよ、それより手術後良くなったら二人で逢おう!」


そんなやり取りをしている9月28日

毎日朝、昼、夜、LINEやり取りしてる彼女から
昼に「午後もがんばるね!」ってLINEがきたまま夜連絡が来ない
電話にも出ない


どうしたんだろ

心配をして朝を迎えた


朝LINEの着信


彼女からだ

良かったと思ってたらLINEの内容が

「仕事中怪我をしてしまいました。
強く頭を打って記憶がありません
あなたのこともわからないんです。ごめんなさい」


何かの冗談なのか?
話しを聞いたらここ1年の記憶がないらしい

つまり僕のことはこれっぽっちも憶えていない

LINEが沢山来ていたので気になって開いて、心配されてるので送っておかないとと出したらしい
いてもたってもいられず次の日仕事を早退して彼女の元へ向かった
彼女は今はそっとしといて欲しいと言った。でも状況もわからないままジッとなんてしていられなかった。せめて彼女が逢いたいと思った時に近くにいられればと思った。

本音を言うとそのまま彼女の頭の中から僕が消えていく事が恐かった。


午後3:00自宅を出たがこんな時に限って道路が事故渋滞で進まない。返事があったりなかったりの彼女とのLINEをつなぎ止めておくために他愛もないLINEを送り続けた

食欲は?


痛みはない?


午後7:00彼女の病院の前に到着


息を切らせて受付に着いて彼女の病室を聞いた


「そんな方は入院してませんよ」



え?

どういう事?

いろんな思いが頭の中で渦を巻いて混乱させていく。

彼女にLINEした


「今病院着いて聞いたけど入院してないって」


連絡来るまでここにいるから連絡して、と

しばらくして返事が来た


父が迎えに来て今実家に帰ってます

彼女の実家はここから一時間程先の場所


「俺行くから渡したい物もあるから」
渡したい物とは彼女の記憶の手助けになればと二人の旅行の時の写真だった。

「今は逢えないから」
「渡す物渡してすぐに帰るから」


「何でそんな勝手なことするの?あなた明日手術でしょ」


記憶を無くしてしばらくLINEで僕が手術する事、近くにいてあげるって言ってくれたことは話してあった

「お願いだから今日は帰って」


「わかった」片道四時間かけて来た道をわずか40分の滞在で帰ることになった


帰り道二人のこれまでの出来事をLINEで送った

最初は頑なだったがだんだんと打ち解けてきた

旅行中僕が寝ぼけて丹前を素肌に来てしまって彼女がお腹を抱えて大笑いしたこと、その次の旅行で道を間違えて何回も同じ道グルグルして二人で大ウケしながら走ったこと


少しだけ彼女がLINEの向こうで微笑んでくれた気がした。


10月1日

手術当日 朝彼女にLINEした。彼女はまだ得体の知れないはずの僕に「手術頑張ってね」と言ってくれた。
朝9時に病院に着いて病室に通された。
手術は一時からですと言われた

僕は痛みに弱い
正直注射が我慢できる低度なくらい弱虫だ

脊髄注射が死ぬほど痛いとネットで観てきた僕はかなりビビっていた。


でもそれ以上に彼女が心配で仕方なかった。
緊張と恐怖と彼女の事を心配する複雑な思いで病室で待っていた
看護師の彼女からバイクリルで縫ってもらいな、そんなに痛み弱いならと朝のLINEで言ってたっけ


バイクリルとは抜糸しないでも溶けてくれる糸らしい

先生にそれをお願いしたら
なんでそんなもん知ってる?みたいな顔をされた。

病室に入って一時間程したら
彼女からLINEが来た。


「着いた」

「え?どこに?」

そう言いながらここに来てくれたんじゃないかってちょっと思った


彼女はそんな人なんだ。
なぜかそう感じていた
「病室どこ?」


昨日までの彼女とは別人か?って言うくらい強気で堂々としている感じがした。何か決心みたいなものも。

「来たら泣いちゃうよ」
「じゃあ帰る」



そんなやり取りをしながら彼女が病室に近づいてくる


何時間もかけてきてくれた彼女に胸の高鳴り
だってあれから彼女に逢うのは初めてなんだから

彼女にとっては初めて見る彼氏と名乗るおっさんなのだから
とても懐かしくて嬉しくて、でも彼女と呼んでいいのか、違うのか

涙が溢れて来た。彼氏と認識していない彼女に対して絶対にこの人を離しちゃダメなんだって確信した。


彼女も「なんだか来ないと行けない気がしたの、自分でもなにがそうさせるのかわからないけど」と言った


看護師さんが奥さんちょっと場所あけてもらえますか?と彼女に言った

彼女は返事はしなかったが否定もせず少し微笑んだように見えた。

それから僕は舞い上がって彼女とこれまでの思いを話した。

と、同時に安心したせいか、手術をこれから受けるって事を急に思い出してビビってしまった。

彼女は病院の大きい窓から外を見て、良い街だね。って言ってくれた。

彼女に手を差し出すとギュッと握り返してがんばれ!って言ってくれた。


これまで彼女と逢ってきた時と同じとても時間が短く感じて、あっという間に呼び出された

恐い

でも嬉しい

彼女がきてくれたタイミングに感謝した。



入院は一日らしい。彼女が帰った後寂しさよりも嬉しさで痛みなんてほとんど感じなかった。
彼女は手術後も残っていてくれた。麻酔が抜けず腰から下が動かない僕に世話を焼いてくれた。
そして「じゃあ帰るね!」と彼女は言った
寂しかったけどもう二人は元に戻り始めてるんだなと安心して彼女を見送った。

そしてやっと眠りに就いた。よく考えたらここ2日間ほとんど眠れていなかった。


暫くして


彼女から家に着いたよとLINEが来た。初めて来るこの土地、滅多にしない長距離運転

嬉しかった。

時間がかかるかも知れないけど彼女は僕が守る、支えていくと誓った

10月2日退院

昨日ここへ来たときは車を止めて病院の中に入るまでずっと彼女の事を考えながら歩いてたな


そう思いながら、結局また車に戻る僕も彼女の事を考えていた。


夜中3:00目が覚めた


体が勝手に何の迷いもなくさっと着替えて車に向かって行った。
彼女に逢いたい。


車に乗るとお尻の痛みが
先生に長時間座る行為はあまり良くないって言われてたっけ


もう関係なかった。彼女に逢いたい彼女の近くにいたい

もうそれだけでまだ暗い高速を車を走らせていた

だいぶ飛ばしたせいで2時間半で到着した。
朝早すぎるといけないから7時になったら彼女にLINEした


「着いた」

彼女から返事が来た

「何でそんな無茶するの?こっちも予定あるんだよ!
8時半から9時くらいまで待ってて」


彼女に逢える もうそれだけで幸せだった


彼女が着いた
少し怒っていた 二人とも最初はなにを言っていいのかわならなかった

ただその後どこへ向かうのかは二人とも同じ気持ちだった。なにも言わなくてもわかっていた。


ちょっと恐かったけど「傷を見てもらわないと」と勇気を持って言った

「そうだね」
彼女も言った

そして記憶を失ってから初めて僕等は一つになった。

ベッドの中でまだちゃんとわからないけどあなたのことを愛しますと言ってくれた。
もう大丈夫だ
そう確信していた。



11月2日から3日間もう一度僕の住む街に、僕の部屋に来てくれることになった。

それからはまた来たらどうしよう、あそこに行こうか?
お鍋しようね!と盛りあがる毎日


もう彼女の記憶なんていつ戻ってもいい、またこれから作っていけばいいんだと思っていた。


それから1週間程たったある日

急にLINEの返事の内容がよそよそしい

好きと言う言葉を避けるようにしている気もする


彼女から言われた
「やっぱりダメだ、好きかどうかわからない。毎日毎日LINEも辛い」


記憶障害の後遺症なのか戻ろうとしている現象なのか僕にはハッキリわからない。でも考えると頭痛がして苦しいらいし


別れた方が彼女は楽なのか?
でももし記憶を取り戻したら絶対に二人ともここで別れたら後悔する


僕はまた2度目の絶望感に襲われた




それから2日程冷たいLINEの返しが続いたある日
彼女から「ごめん、ちょっと混乱してた」


と言ってきた。
安心した。



彼女はおそらくまたこういう時が来る
ちゃんと支えていかないと。



しかしそれを過ぎるとまた何事も無かったかのようにこっちに来たらどこにいきたいとか普通のカップルに戻っていた。
「後1週間だね!」
「後5日だね」


あまり掃除が得意じゃない僕は一生懸命部屋を掃除して、彼女と二人で使う枕を買い、二人の3日間に備えていた。

そしてあと3日と迫って喜びの絶頂だった僕に3度目の絶望を彼女は突きつけてきた
「ただいまぁ!ご飯食べようかなぁ」


いつも通りのLINEのやり取りした1時間後


「電話できる?」と


「いいよ!」





電話をかけると彼女が言った


「あのね、落ち着いて聞いて」


「うん」
「そっちに行けなくなった」


「どうしたの?」

「もう別れて新しい人見つけて」




え?
もう彼女が何を言ってるのかわからなかった


1時間前まで普通だったのに


どうした?頭混乱したのか?

え?なに?俺何か言ったのか?

僕は発狂して大声を出してしまった
「納得できないよ、なに?何があったの?
ちゃんと話してくれないと納得できるわけないじゃん!1時間前まで普通にLINEしてたんだよ!」

彼女はこう返してきた
「そうやって発狂しないでよ!大切な人を失いたくないの!娘が死ぬって言ってるの!毎日毎日LINEしてきてほんとはもう嫌だったの」



娘?頭がもう考えるキャパを超えて手が震えた

電話を切られてすぐにかけ直したけど全部切られた

暫くして当然のごとく着信拒否された

LINEも既読にならない
おそらくもうブロックされてる


それから間もなくお揃いだったLINEのトップ画も彼女は変更した。

次の朝会社に行って会社の電話からかけた

当然すぐに切られた。

わけだけでも知りたい。それからの僕はもう何も喉を通らない。全く眠れない


僕はまた一人置いて行かれてしまった。


約束は11月2日
もしかすると何事も無かったように約束の場所に来てくれるかも知れない

1日から休みを貰っていた僕は彼女に手紙を書いた。たとえ逢えなくても誰かに託す事はできるかも、ただ彼女に迷惑かけたらいけないと思い大きめの封筒に車屋さんの名前を書いて見積書と表に書いて病院に言った。

ダメなのはわかっていた、大人のとしてもう完全にストーカー行為なのも

でももうそれしか方法がなかった。
1日夕方病院に着き中をウロウロしたナースステーションで彼女を呼び出した。

しかし誰に聞いても知らないと言う
そんな方は働いてませんよと。



俺のせいで辞めてしまったのか?それとも仕事を辞めるほどの大変な事があったのか?

ますます心配になった。

微かな期待だけを胸にその夜病院の駐車場で過ごし朝を迎えた。

病院の公衆電話からもう一度かけたが切られてしまった。

もうダメなのかな
そんなに嫌われてしまったのかな
車の中で涙が止まらなくなった。


て、言うかこんなに俺って諦め悪かったっけ?

そう思ったら彼女を思う気持ちが本物なんだってまた思ってますます諦められなくなった。

彼女との出逢いは5.1、初めての対面が6.1
俺の誕生日が1日、彼女は1月生まれ


そして今日。
また1日かよ。ちょっと1と言う数字が嫌いになった。


昼まで病院の駐車場で過ごして4日までは彼女が逢いたいと思ったときに駆けつけられる場所にいようと決めた。


そんな中友達から用事のLINEが来た


あ!その手があった。
友人に頼んでショートメールを
送ってもらった。別れるならちゃんと話をしようと

彼女から返事が来たと言ってきた。
友達を、間に挟んでだけど彼女と繋がれた気がしてなぜだかまた涙が出てきた。


直接話をできるようにLINEを繋げてくれた。

電話は声を聞くとダメになるからと断られた。


直接のやり取り


「ごめんなさい」



彼女から一言

そして彼女から真実を聞いた


娘と別居してる旦那様がいること

それを俺に言えないまま
あの日娘にLINEを読まれたこと。

娘は僕のところに行くなら死ぬと彼女に告げて泣いたという

娘は彼女にとっては旦那様の連れ子だが自分の子供として一生懸命育ててきた

そして娘も彼女を母親と認めた

しかし旦那様とは上手くいかず別居してるという
籍を抜いて欲しい彼女を無視して籍も抜いて貰えず家政婦のように彼女を思って家事や育児を押しつけて、それに耐えられなくなって別居した
彼女もまた僕と同じようにこれから先を考えた時に寂しくなって相手を探していたところに僕と出会った。


僕は彼女の気持ちを知らず1年たったら君のご両親に挨拶に行くよ、一緒にもうすこししたら住もうね、結婚しよう


と一人で舞い上がり、旦那様に籍を抜いて貰えない彼女を苦しめていたのだ。

「旦那様に気持ちはあるの?」


「ぜんぜん無い」


もう僕はそれだけで良かった。
何年経っても、結婚できなくても僕には彼女が必要だった。


その気持ちを彼女に伝えた


「結婚しててもいいの?」

「関係ないよ。君のせいじゃない」

実はこの事がきっかけで彼女の記憶がほとんど戻って来ている事を聞いた。
だから彼女は以前のように僕を心から愛しているという感情が戻るのと同時に僕に真実を知られて別れないといけないという二つの心で苦しんでいたのだ。


今になって思う。いつかは言わないといけない真実
もし記憶を無くしてすぐに今の状況なら
彼女は間違いなく僕と別れていただろう。

この真実を告げるタイミングさえ二人が別れたらいけないって言われてる気がする。


もう僕は彼女をはなさない。
まだこれからいろんな事があるだろうでも


何があっても どんな事があっても二人で乗り越えていける。


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