6 / 203
1.お見合いからの新生活
06.新居での夕食
しおりを挟む
調理のお手伝いをやめて、家から取って来てもらった荷物を二階の部屋に運び入れてもらう。マキナさんは荷物を置くと出ていき、おそらく隣の部屋へ。
荷物をベッドに広げ簡単にチェックする。うん、明後日の登校には支障ないかな?
足りないとまたマキナさんに頼むか自分で取りに行けばいい。
急いで普段着に着替えるとダイニングに取って返した。
ポークジンジャーが炒め上がって夕食が完成。テーブルに料理を並べながら赤井さんに、マキナさんを呼んで来てと頼まれる。
「マキナさん、食事ができました、ダイニングに来てください」
マキナさんを呼びに二階に上がり、部屋のドアをノックして食事ができたと伝える。
「はい。今、行きます」
返事をもらってダイニングに戻る。追っかけ、マキナさんもダイニングに入ってきた。
「「頂きます」」
マキナさんと対面に座って食べ始める。赤井さんは控え室で、一緒には食べないのだそう。
一緒に食べればいいと思うけど、それがここの流儀なら口出しできないかな。
やっぱりマキナさんはバクバク食べる。羨ましい。
食事を済ませ食器を片付けると、コーヒーを汲んで二人の間に置く。この機会に今後の予定があるのなら訊いておこうかな?
「明日とか予定はありますか?」
「う~ん、特にないな。母には言ったけど、本家にはまだ連絡してないし、来週末にでも一緒に行ってもらうかも知れないね」
「そうなんですか」
「ああ、そうそう。服を買いに行こうか。本家に行くには着物かなあ? まあドレスでもいいけど、訪問着とか持ってるかい?」
「いえ、持ってないと思います」
たぶん、持ってない。マキナさんの要求するレベルのものは。
「制服じゃあ、ダメ、ですよね……」
「ふむ……面白い。君は誠心女学院──今は誠臨学園だったね。叔母が喜ぶかもね」
「叔母……そう言えば、理事長の名前が、喜多村──」
「喜多村アオイ。私の叔母だよ」
はあ~世間は狭いなあ……。うん、果たしてそうなのだろうか?
少し懐疑的にマキナさんの顔色を窺った。
「ま、まあ、服は明日、見繕いに行こう……」
なんか誤魔化してそう、この人。かと言って何のどこら辺を誤魔化しているのかは分からないけど。
マキナさんと理事長先生が親族なのは分かった。
出来すぎてる、このお見合いには裏があると見たね、ボクは。
「分かりました」
「さ、さて私は部屋に戻る。君も部屋で片付けをした方がいいんじゃないか?」
「そうですね。食器を洗ったら上がります」
「いや、君にそんなことを求めてはいない。あ~その……婦夫のだな……」
顔を赤らめて口ごもるマキナさん。分かってますって。婚姻要件にありましたね。
「子作りを頑張れってこと、ですよね? まあ、それしか求められて無いようで少し哀しいですが」
「うん。まあそうなんだが、生々しいな」
「条件をつけた方が言いますか? 保健体育の成績は良かったので任せてください。実践はしていませんけど──」
「ブフッ!」
きちゃない、この人。いや、噴きつけられるのはご褒美?
「そ、その、お風呂が入ったら赤井さんが報せてくれるから先に入ったらいい。私は部屋に居るから」
「分かりました。一緒に入らなくていいんですか?」
再びマキナさんが噴いた。ちょっと煽りすぎたかな。まだまだ、マキナさんとの距離感が測れない。
ダイニングを出ていく姿を追って、ボクは洗い物に立った。
「ああ、洗い物はやりますので、寛いでいてください」
洗い物をしていると、ダイニングに返ってきた赤井さんに開口一番、そう言われた。
「家では、していたので構いませんよ。これって赤井さんの仕事を邪魔してるのかな?」
「邪魔ではないですよ。でも未来の奥様にさせられませんから……」
「お、奥様? ボク、そんな大層なものじゃないです」
顔が沸騰するようになって、萎れそうだよ~。
「あら、おぼこいですねえ。喜多村家の人の妻になる御方は奥様ですよ?」
そうか……まあ、そうなんだろう。今さらながら大変なところに来てしまった。
まあ、いっぱい凄いところを見たから分かりそうなものだけど。このまま婚姻が成就すると通ってる学校の理事長先生とは義叔母と義甥の関係になるんだし。
※注:奥様、妻は男の呼称。対して女性は旦那とか呼ばれます。(おっと、一夫多妻が使えなくなった……)
※注:「おぼこい」は関西地区の方言で、初々しい、世慣れしていないという意味。老若男女くべつなく使える。
参:「おぼこ」すれていない人。きむすめ。
荷物をベッドに広げ簡単にチェックする。うん、明後日の登校には支障ないかな?
足りないとまたマキナさんに頼むか自分で取りに行けばいい。
急いで普段着に着替えるとダイニングに取って返した。
ポークジンジャーが炒め上がって夕食が完成。テーブルに料理を並べながら赤井さんに、マキナさんを呼んで来てと頼まれる。
「マキナさん、食事ができました、ダイニングに来てください」
マキナさんを呼びに二階に上がり、部屋のドアをノックして食事ができたと伝える。
「はい。今、行きます」
返事をもらってダイニングに戻る。追っかけ、マキナさんもダイニングに入ってきた。
「「頂きます」」
マキナさんと対面に座って食べ始める。赤井さんは控え室で、一緒には食べないのだそう。
一緒に食べればいいと思うけど、それがここの流儀なら口出しできないかな。
やっぱりマキナさんはバクバク食べる。羨ましい。
食事を済ませ食器を片付けると、コーヒーを汲んで二人の間に置く。この機会に今後の予定があるのなら訊いておこうかな?
「明日とか予定はありますか?」
「う~ん、特にないな。母には言ったけど、本家にはまだ連絡してないし、来週末にでも一緒に行ってもらうかも知れないね」
「そうなんですか」
「ああ、そうそう。服を買いに行こうか。本家に行くには着物かなあ? まあドレスでもいいけど、訪問着とか持ってるかい?」
「いえ、持ってないと思います」
たぶん、持ってない。マキナさんの要求するレベルのものは。
「制服じゃあ、ダメ、ですよね……」
「ふむ……面白い。君は誠心女学院──今は誠臨学園だったね。叔母が喜ぶかもね」
「叔母……そう言えば、理事長の名前が、喜多村──」
「喜多村アオイ。私の叔母だよ」
はあ~世間は狭いなあ……。うん、果たしてそうなのだろうか?
少し懐疑的にマキナさんの顔色を窺った。
「ま、まあ、服は明日、見繕いに行こう……」
なんか誤魔化してそう、この人。かと言って何のどこら辺を誤魔化しているのかは分からないけど。
マキナさんと理事長先生が親族なのは分かった。
出来すぎてる、このお見合いには裏があると見たね、ボクは。
「分かりました」
「さ、さて私は部屋に戻る。君も部屋で片付けをした方がいいんじゃないか?」
「そうですね。食器を洗ったら上がります」
「いや、君にそんなことを求めてはいない。あ~その……婦夫のだな……」
顔を赤らめて口ごもるマキナさん。分かってますって。婚姻要件にありましたね。
「子作りを頑張れってこと、ですよね? まあ、それしか求められて無いようで少し哀しいですが」
「うん。まあそうなんだが、生々しいな」
「条件をつけた方が言いますか? 保健体育の成績は良かったので任せてください。実践はしていませんけど──」
「ブフッ!」
きちゃない、この人。いや、噴きつけられるのはご褒美?
「そ、その、お風呂が入ったら赤井さんが報せてくれるから先に入ったらいい。私は部屋に居るから」
「分かりました。一緒に入らなくていいんですか?」
再びマキナさんが噴いた。ちょっと煽りすぎたかな。まだまだ、マキナさんとの距離感が測れない。
ダイニングを出ていく姿を追って、ボクは洗い物に立った。
「ああ、洗い物はやりますので、寛いでいてください」
洗い物をしていると、ダイニングに返ってきた赤井さんに開口一番、そう言われた。
「家では、していたので構いませんよ。これって赤井さんの仕事を邪魔してるのかな?」
「邪魔ではないですよ。でも未来の奥様にさせられませんから……」
「お、奥様? ボク、そんな大層なものじゃないです」
顔が沸騰するようになって、萎れそうだよ~。
「あら、おぼこいですねえ。喜多村家の人の妻になる御方は奥様ですよ?」
そうか……まあ、そうなんだろう。今さらながら大変なところに来てしまった。
まあ、いっぱい凄いところを見たから分かりそうなものだけど。このまま婚姻が成就すると通ってる学校の理事長先生とは義叔母と義甥の関係になるんだし。
※注:奥様、妻は男の呼称。対して女性は旦那とか呼ばれます。(おっと、一夫多妻が使えなくなった……)
※注:「おぼこい」は関西地区の方言で、初々しい、世慣れしていないという意味。老若男女くべつなく使える。
参:「おぼこ」すれていない人。きむすめ。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる