神獣からの贈り物

秋月慶太

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オオカミの贈り物

4 君の家族

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 「ただいまー。」
 すると、玄関から声が聞こえてきた。男の人の声だ。
 「あ、お父さんだわ。風奏、お願い。」
 「はーい。お父さんおかえりねー。」
 僕もついていく。すると、
 「よお!お前、新入りか?!俺、テムってんだ!」
 声がした。
 お父さん?でもそれにしては声が高い。僕が首を傾げていると、お父さんの足の後ろからにゅっと顔が出てきた。
 「わー!!」
 僕は叫んでしまった。
 「ははっ。驚いたぜ、新入りか?!俺、テムってんだ!」
 犬だった。中型犬だ。
 「君には僕が見えるの?」
 僕は、不思議に思って尋ねた。
 「ああ。…んでもお前はパパ達からは見えてないのか?」
 「うん。僕、普通のオオカミじゃないからね。」
 そして、二又の尻尾を見せる。
 「ふーん、ま、いいや。一緒の家に住むんだ、仲良くしようぜ!」
 この犬…テムか…は、細かいことは気にしない質らしい。でも嫌なやつではないと、直感的に思った。

 「お父さん、ご飯もうすぐ出来るから着替えてきてー」
 「はーい。じゃあ、風奏、カバン持ってきてな」
 「うん!」

 しばらく経って、3人がリビングの机に集まった。
 それからは、穏やかな時間が過ぎた。風奏は一人っ子で、お母さんとお父さんの3人で暮らしている。あとテム。
 テムの夜ご飯はツナがのっているドッグフードだ。すごく美味しそうに食べているテムの横で、僕はお座りして4人を眺めていた。
 僕は、ご飯を食べる必要はない。神獣だから、栄養を取り入れなくても生きていけるのだ。でも、こんなに隣で美味しそうに食べられると、さすがに気になるものだ。
 「……」
 「なっ、なんだよ、あげないぞ」
 テムが焦ってお皿を僕から遠ざけた。
 「それ、そんなにおいしいの?」
 僕はついつい聞いた。
 「おうよ、世界で1番美味しいぜ!」
 「ふーーーーーん。」

 いつか、こっそり味見してみよう。

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