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大将は言ってみれば赤の他人だ。
血は繋がっていない。
それなのに今まで文句1つ言うことなく育ててくれたことには感謝しかない。
だからその分、私の提案を否定する言葉は痛かった。
就職した後もずっと、夏はここを手伝うことを考えていたのだ。
戸惑う私に大将は微笑んだ。
「なっちゃんの気持ちは嬉しいよ、ありがとう。でも家を出たら外に向かわなきゃダメだ」
「外?」
「今までは内にこもって安全圏にいたけど、卒業したら自由だ。外に羽ばたいて可能性を見つけに行くんだ」
「可能性って?」
「なっちゃんは将来どうなりたいか、何か夢はある?」
将来・・・は、大将に恩返しがしたい。
だけどそれは夢とは違う。
夢・・・は大将みたいになりたい。
海の家で好きな調理をして、常連のみんなと仲良く過ごしている大将みたいになりたい。
だけどそんなの、夢と言うには少し恥ずかしい。
「今はなくてもいつかこうしたいって思った時に、その道に向かってまっすぐ突き進むんだ。卒業したらそれができるようになるんだよ。後ろに戻っちゃいけない」
「戻っちゃいけないの?」
「過ぎたことをくよくよ悩んでも仕方がない。時は進んでいるんだから。できなかったことを悔やむなら、できることを見つける方がよっぽど良い」
「・・・なんか難しいね」
「そりゃ1人でやるのは難しいさ。だから仲間をいっぱい作るんだ。タイプが異なる人ほど新たな考えも出てくるし、新たな感情も生まれる」
確かに大将には仲間がいっぱいいる。
その仲間のおかげで子育ては問題なかった。
実際はどうだったかわからないけど、私に対して手を上げたり声を荒らげたりしたことはないから、順調だったのだろう。
血は繋がっていない。
それなのに今まで文句1つ言うことなく育ててくれたことには感謝しかない。
だからその分、私の提案を否定する言葉は痛かった。
就職した後もずっと、夏はここを手伝うことを考えていたのだ。
戸惑う私に大将は微笑んだ。
「なっちゃんの気持ちは嬉しいよ、ありがとう。でも家を出たら外に向かわなきゃダメだ」
「外?」
「今までは内にこもって安全圏にいたけど、卒業したら自由だ。外に羽ばたいて可能性を見つけに行くんだ」
「可能性って?」
「なっちゃんは将来どうなりたいか、何か夢はある?」
将来・・・は、大将に恩返しがしたい。
だけどそれは夢とは違う。
夢・・・は大将みたいになりたい。
海の家で好きな調理をして、常連のみんなと仲良く過ごしている大将みたいになりたい。
だけどそんなの、夢と言うには少し恥ずかしい。
「今はなくてもいつかこうしたいって思った時に、その道に向かってまっすぐ突き進むんだ。卒業したらそれができるようになるんだよ。後ろに戻っちゃいけない」
「戻っちゃいけないの?」
「過ぎたことをくよくよ悩んでも仕方がない。時は進んでいるんだから。できなかったことを悔やむなら、できることを見つける方がよっぽど良い」
「・・・なんか難しいね」
「そりゃ1人でやるのは難しいさ。だから仲間をいっぱい作るんだ。タイプが異なる人ほど新たな考えも出てくるし、新たな感情も生まれる」
確かに大将には仲間がいっぱいいる。
その仲間のおかげで子育ては問題なかった。
実際はどうだったかわからないけど、私に対して手を上げたり声を荒らげたりしたことはないから、順調だったのだろう。
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