22 / 73
2.メリーバースデー
19
しおりを挟む
前の日に食べた物を忘れていることもあるのに、数ヶ月前に店で食べた時の皿を思い出せだって!?
皿・・・皿・・・確かえぬたまで出される皿は3つ並んだ卵イラストが縁の上下にプリントされているんだった。
その辺りにMの文字・・・。
記憶をたどりながら、おぼろげではあるがオムライスが運ばれてきた時の情景を思い出すことができた。
皿が置かれて、食べようとスプーンを取って、オムライスを一口分すくって、その時皿には・・・。
赤・・・赤い何か・・・。
赤い何かが皿の縁にあったような気がする。
Mかどうかまでは思い出せないが、皿に何か付いていたのは思い出せた。
「何か付いていたような気もするけど、Mだったかどうかまでは覚えてないな」
「ケチャップだったでしょ?」
「うーん、多分」
オムライスの上にはえぬたまのイラスト。
卵が真ん中でヒビ割れているものがケチャップで描かれている。
だからそのケチャップの出し方を失敗して皿の縁に付けてしまったのか、なんて思ったことがあるから、ケチャップだったと認識していたことは確かだ。
「だったらそれは私が作ったやつよ。他はオムライスの上以外にケチャップ付けないもの」
「・・・・・・・・・」
と、いうことはオレは夏休みにわざわざ店に行って茉が作ったオムライスを食べに行っていたということか。
「金返せ」
「嫌よ。おいしくいただいたなら誰が作っても一緒でしょ?」
「一緒なわけないだろ。オレは素人が作った飯に500円も払うつもりはない」
っていうか、このセリフさっき言った!!
この時は、あれだ。
えぬたまという店にいるという店フィルターがかかっている上に、お腹が空いているから何を食べてもおいしく感じてしまうという錯覚が混ざって、普段食べているオムライスがどうかの判断が鈍ってしまったんだ。
きっとそうだ。
「じゃあ今からもう1回作ってあげるわよ。タダで作ってあげる。それで今までの分はチャラ。どう?」
「どう?って・・・」
なんという強引なまとめ方なんだ。
人を騙しておいて自分は何も悪くないといった感じの開き直りよう。
怒りを通り越して呆れたところにオレのお腹がぐうと鳴った。
好物のオムライス話にお腹は既に限界だ。
こんなしょうもない話でエネルギーを費やしている場合ではない。
エネルギーを補給せねば。
「わかったよ。もう何でもいいからオムライス作ってくれ」
半ば投げやりに事を任せてオレはドアを開けた。
よく考えたら鍵を持っているからすぐに入れたんだった。
なのに外で話し込んでいたからすっかり体が冷えてしまった。
家の中から暖かい空気が出迎えてくれる。
と、同時に兄キの叫び声も飛び込んできた。
「ギャーやられるー」
その途端、茉の表情が歪んだ。
茉は兄キ達があの後、ゲームをしていることを知らないのだ。
「うおー」
止まらない兄キの叫び声。
きっと中ボスに手こずっているのだろう。
「何?あれ」
怪訝な表情のまま、茉が尋ねる。
「中で何が・・・」
「クスミっちー!もっとそっち攻めてー!もっともっとー!!」
茉の質問も兄キの叫び声に消されてしまう。
ゲームだと知らなければ何かいかがわしいことでもしているんじゃないかと疑うような内容だ。
茉もそう思っているのか、表情はますます険しくなる。
皿・・・皿・・・確かえぬたまで出される皿は3つ並んだ卵イラストが縁の上下にプリントされているんだった。
その辺りにMの文字・・・。
記憶をたどりながら、おぼろげではあるがオムライスが運ばれてきた時の情景を思い出すことができた。
皿が置かれて、食べようとスプーンを取って、オムライスを一口分すくって、その時皿には・・・。
赤・・・赤い何か・・・。
赤い何かが皿の縁にあったような気がする。
Mかどうかまでは思い出せないが、皿に何か付いていたのは思い出せた。
「何か付いていたような気もするけど、Mだったかどうかまでは覚えてないな」
「ケチャップだったでしょ?」
「うーん、多分」
オムライスの上にはえぬたまのイラスト。
卵が真ん中でヒビ割れているものがケチャップで描かれている。
だからそのケチャップの出し方を失敗して皿の縁に付けてしまったのか、なんて思ったことがあるから、ケチャップだったと認識していたことは確かだ。
「だったらそれは私が作ったやつよ。他はオムライスの上以外にケチャップ付けないもの」
「・・・・・・・・・」
と、いうことはオレは夏休みにわざわざ店に行って茉が作ったオムライスを食べに行っていたということか。
「金返せ」
「嫌よ。おいしくいただいたなら誰が作っても一緒でしょ?」
「一緒なわけないだろ。オレは素人が作った飯に500円も払うつもりはない」
っていうか、このセリフさっき言った!!
この時は、あれだ。
えぬたまという店にいるという店フィルターがかかっている上に、お腹が空いているから何を食べてもおいしく感じてしまうという錯覚が混ざって、普段食べているオムライスがどうかの判断が鈍ってしまったんだ。
きっとそうだ。
「じゃあ今からもう1回作ってあげるわよ。タダで作ってあげる。それで今までの分はチャラ。どう?」
「どう?って・・・」
なんという強引なまとめ方なんだ。
人を騙しておいて自分は何も悪くないといった感じの開き直りよう。
怒りを通り越して呆れたところにオレのお腹がぐうと鳴った。
好物のオムライス話にお腹は既に限界だ。
こんなしょうもない話でエネルギーを費やしている場合ではない。
エネルギーを補給せねば。
「わかったよ。もう何でもいいからオムライス作ってくれ」
半ば投げやりに事を任せてオレはドアを開けた。
よく考えたら鍵を持っているからすぐに入れたんだった。
なのに外で話し込んでいたからすっかり体が冷えてしまった。
家の中から暖かい空気が出迎えてくれる。
と、同時に兄キの叫び声も飛び込んできた。
「ギャーやられるー」
その途端、茉の表情が歪んだ。
茉は兄キ達があの後、ゲームをしていることを知らないのだ。
「うおー」
止まらない兄キの叫び声。
きっと中ボスに手こずっているのだろう。
「何?あれ」
怪訝な表情のまま、茉が尋ねる。
「中で何が・・・」
「クスミっちー!もっとそっち攻めてー!もっともっとー!!」
茉の質問も兄キの叫び声に消されてしまう。
ゲームだと知らなければ何かいかがわしいことでもしているんじゃないかと疑うような内容だ。
茉もそう思っているのか、表情はますます険しくなる。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
私たち、博麗学園おしがまクラブ(非公認)です! 〜特大膀胱JKたちのおしがま記録〜
赤髪命
青春
街のはずれ、最寄り駅からも少し離れたところにある私立高校、博麗学園。そのある新入生のクラスのお嬢様・高橋玲菜、清楚で真面目・内海栞、人懐っこいギャル・宮内愛海の3人には、膀胱が同年代の女子に比べて非常に大きいという特徴があった。
これは、そんな学校で普段はトイレにほとんど行かない彼女たちの爆尿おしがまの記録。
友情あり、恋愛あり、おしがまあり、そしておもらしもあり!? そんなおしがまクラブのドタバタ青春小説!
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる