twice dice

N&N

文字の大きさ
上 下
35 / 56
6.復活

しおりを挟む
「お、兄キ。風邪は治ったのか?」

教室に着くや否や兄キの顔を見たクラスメイトが騒ぎ立てた。

「おぅ、オレはタフマン」

無意味に力こぶを見せるようなポーズで兄キは返した。

「何だよ、タフマンって。栄養ドリンクか?」

「違う!タフな男、タフマンだ!」

そのまんまじゃないか。

「元々がタフだからな。風邪なんか五秒で治してやったわ」

「じゃあ学校に来いよ」

「いや念の為に一応休暇を…」

「念の為にって何だ、念の為にって」

兄キとクラスメイトがそんなやりとりをしていると、不意にドアが開いた。

視線はみんな自然と開いたドアに向く。

が、ドアを開けた人物の正体がわかると、みんな視線を元に戻した。

ただ一人、兄キを除いて…。

「クスミっち、オッス!」

「あ、おはようございます」

ドアを開けた正体はクスミだった。

みんなはクスミと親しくない為、視線を避けたのだが兄キは違った。

っていうか、クスミっちって何だよ。

それに動じないクスミも一体どうなんだ。

「あの、風邪治ったんですね」

兄キがわざわざクスミの前に出てきたものだから、クスミも話を続けようとする。

「おぅ、もうすっかり元気だぞ」

「もしかしてNキャラで元気出ました?」

「え?Nキャラって前に取ってくれたやつ?」

「いえ、それではなく昨日の…」

「!?」

クスミが言いかけているのを聞いて、オレは嫌な予感が頭をよぎった。

昨日くれたNキャラは兄キに渡していない。

でもクスミは兄キに渡ったと思っている。

クスミが話を続けると、二人は確実に頭がこんがらがる。

オレは慌ててクスミに駆け寄った。

「あ~~~、クスミ!ちょっといいかな?」

「え?」

突然オレが話に割り込んだため、クスミはキョトンとしている。

しかし構わずオレはクスミの腕をつかんだ。

「いいからちょっと!!」

そしてオレはクスミの手を取ったまま教室を飛び出した。

オレのクラスは三階にあって、そこから一番近い人気のない場所と言えば屋上だ。

屋上へはドアに鍵がかかっていて外に出ることはできないが、オレたちは屋上に出るドアの手前までやってきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

エロ・ファンタジー

フルーツパフェ
大衆娯楽
 物事は上手くいかない。  それは異世界でも同じこと。  夢と好奇心に溢れる異世界の少女達は、恥辱に塗れた現実を味わうことになる。

バッサリ〜由紀子の決意

S.H.L
青春
バレー部に入部した由紀子が自慢のロングヘアをバッサリ刈り上げる物語

処理中です...