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4.愛情表現
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「あ~、オレのNキャラ~」
放課後になり、約束通りNキャラ二匹を返してもらった兄キは、生徒指導室を出るとすぐにぬいぐるみを抱きしめた。
「良かったな、返してもらって」
オレは兄キのその様子を冷めた目で見ながら言った。
「まぁ返してくれなかったら横領罪で訴えるけどな」
「ぬいぐるみ二匹で裁判沙汰にするのはちょっと大げさじゃないか?」
どれだけNキャラに命かけているんだって話だ。
「それより兄キ!約束守れよな。クスミには何も言わないって約束だっただろ?」
「何も言ってないじゃん」
「言いかけてただろうが」
「あ、忘れてた」
「忘れるな!」
時が経ってうっかり忘れるレベルならわかるけど、あれは言ってすぐだぞ。
それで忘れるならもう頭がボケているとしか…。
「もう明日から持ってくるなよ。家で寝転がしとけ」
「寝転がすって言うなよ。留守番って言え」
「どっちも同じ意味だろ」
と、そんな口ゲンカをしながらオレたちは家に着いた。
家に着いてからの行動はいつも決まっている。
まず兄キの部屋で一休み、がパターンだ。
そこからそれぞれ別行動を始めるが、とりあえずは兄キの部屋で一休みだ。
今日もいつものごとく、兄キの部屋へ直行した。
「よし、やっぱりお前たちはここが似合う」
兄キはNキャラ二匹をベッドに置くなり、うんうん頷きながら満足げな表情を見せた。
ベッドかよ。
朝、普通にここにいたじゃないか。
「今日も一緒に寝ような」
まったく、小さい子じゃあるまいし。
そういうのは小学校に入学する前に卒業しておいてくれよ。
「兄キ、今日はNキャラ下敷きにして寝てただろ。朝見たぞ」
そうそう、朝説教しようと思っていたのに忘れていた。
今頃だが、ちょっと説教タイムだ。
兄キは寝相が悪いから、枕元に置いたぬいぐるみもいつの間にやら兄キの下敷きになってしまうのだ。
「違う!Nキャラがオレの下にもぐりこんできたんだ」
「…自分の寝相の悪さを素直に認めようとはしないのか」
第一、Nキャラが勝手にもぐりこむことなどあるはずがない。
ま、兄キの夢を壊さないように、あえてそれは言わないでおくが…。
「兄キ、一応それがゲーセン内で最後の二匹だったんだから、丁寧に扱えよ」
「オレのどこに問題があるんだ」
「問題ありまくりで怒りたいくらいだ」
「何だとー」
自覚がないのか、仕方ない。
じゃあ一つずつ挙げていってやるか。
「普通大事にしてるなら外に出さないし、下敷きにしないと思うぞ。黒板写しのリラックスにNキャラ握りもどうかと…」
「むむっ」
いつも言われたら言い返す兄キがなぜか反論してこない。
意味不明な言い訳を聞くのがちょっと楽しみでもあるのに。
「そこまで言われたら言い返せないな」
「何だよ。自信満々に言ってるんだから、ここは意味不明な言い訳を返して欲しかったぞ」
「意味不明とは何だ!日々一生懸命生きているオレに失礼じゃないか」
そうは言うものの兄キの言い訳はいつも意味不明だ。
放課後になり、約束通りNキャラ二匹を返してもらった兄キは、生徒指導室を出るとすぐにぬいぐるみを抱きしめた。
「良かったな、返してもらって」
オレは兄キのその様子を冷めた目で見ながら言った。
「まぁ返してくれなかったら横領罪で訴えるけどな」
「ぬいぐるみ二匹で裁判沙汰にするのはちょっと大げさじゃないか?」
どれだけNキャラに命かけているんだって話だ。
「それより兄キ!約束守れよな。クスミには何も言わないって約束だっただろ?」
「何も言ってないじゃん」
「言いかけてただろうが」
「あ、忘れてた」
「忘れるな!」
時が経ってうっかり忘れるレベルならわかるけど、あれは言ってすぐだぞ。
それで忘れるならもう頭がボケているとしか…。
「もう明日から持ってくるなよ。家で寝転がしとけ」
「寝転がすって言うなよ。留守番って言え」
「どっちも同じ意味だろ」
と、そんな口ゲンカをしながらオレたちは家に着いた。
家に着いてからの行動はいつも決まっている。
まず兄キの部屋で一休み、がパターンだ。
そこからそれぞれ別行動を始めるが、とりあえずは兄キの部屋で一休みだ。
今日もいつものごとく、兄キの部屋へ直行した。
「よし、やっぱりお前たちはここが似合う」
兄キはNキャラ二匹をベッドに置くなり、うんうん頷きながら満足げな表情を見せた。
ベッドかよ。
朝、普通にここにいたじゃないか。
「今日も一緒に寝ような」
まったく、小さい子じゃあるまいし。
そういうのは小学校に入学する前に卒業しておいてくれよ。
「兄キ、今日はNキャラ下敷きにして寝てただろ。朝見たぞ」
そうそう、朝説教しようと思っていたのに忘れていた。
今頃だが、ちょっと説教タイムだ。
兄キは寝相が悪いから、枕元に置いたぬいぐるみもいつの間にやら兄キの下敷きになってしまうのだ。
「違う!Nキャラがオレの下にもぐりこんできたんだ」
「…自分の寝相の悪さを素直に認めようとはしないのか」
第一、Nキャラが勝手にもぐりこむことなどあるはずがない。
ま、兄キの夢を壊さないように、あえてそれは言わないでおくが…。
「兄キ、一応それがゲーセン内で最後の二匹だったんだから、丁寧に扱えよ」
「オレのどこに問題があるんだ」
「問題ありまくりで怒りたいくらいだ」
「何だとー」
自覚がないのか、仕方ない。
じゃあ一つずつ挙げていってやるか。
「普通大事にしてるなら外に出さないし、下敷きにしないと思うぞ。黒板写しのリラックスにNキャラ握りもどうかと…」
「むむっ」
いつも言われたら言い返す兄キがなぜか反論してこない。
意味不明な言い訳を聞くのがちょっと楽しみでもあるのに。
「そこまで言われたら言い返せないな」
「何だよ。自信満々に言ってるんだから、ここは意味不明な言い訳を返して欲しかったぞ」
「意味不明とは何だ!日々一生懸命生きているオレに失礼じゃないか」
そうは言うものの兄キの言い訳はいつも意味不明だ。
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