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2.意外な共通点
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それにしてもなかなかの腕だ。
二百円三プレイで四つも取るとは。
ミスがないし、狙った物は必ず取る。
すげーな、プロと自分で言うのも過言じゃない。
「店員さんに言って置き場所を変えてもらうのもいいですけど、私はそのままでいらないものを取るのも好きです」
クスミはいらないものとして取ったエヌタローとやらを手にしながら言う。
どうやらあれはクスミが持って帰るようだな。
「いらないのを取ることで取るコツをつかめるので、練習になります」
「そっか」
「それに飾る時、いらないキャラも一緒だとNキャラの良さが目立ちます」
「あー、それわかる、わかる。さっきまであのUFOキャッチャーの中でこのNキャラ、輝くほど目立ってたもん」
そうだったか?
オレには異質なキャラが紛れ込んでいるようにしか感じなかったが。
ま、何はともあれ無事目的を果たせたから良かったとするか。
兄キも大いに喜んでるし。
用が済んだオレたちは外に出た。
中で盛り上がっていたからか、外はすっかり夕暮れの空に変わっていた。
「あー、本当助かったよ。UFOキャッチャー得意な人がいて良かった」
「はい、得意です」
また自分で言ってるし。
「あ、そうだ。お金渡さなきゃ。二百円使ったから二百円でいいの?」
「あ、お金はいらないです」
「何でだよ!」
‘お金はいらない’発言に兄キが怒り出した。
それほど怒りをむき出しにしなくてもいいと思うが、お金を払うことにはオレも賛成だ。
「二百円がなければこれは手に入らなかったんだぞ」
そう言って兄キは二匹のNキャラをバーンとクスミの目の前に突き出した。
そこまで見せなくてもクスミはわかるだろうよ。
「そうですけど、私自身久々に誰かと一緒に過ごせて楽しい思いさせてもらいましたから」
久々に誰かと…?
そっか、クスミはいつも一人でいるもんな。
本当は一人じゃなくて誰かと一緒に過ごしたいのかな?
「そっか、じゃあそういうことで頼むわ」
兄キー!!
相変わらず軽いなー!
ちょっとは今のクスミのセリフを深く考えたりしろよ。
兄弟じゃなく、イトコで良かったと思ったぞ。
「また欲しいキャラクターがいたら呼んで下さい。取ります」
別れ際にクスミが言った。
何でも取れるような言い方だ。
UFOキャッチャーの腕にかなりの自信があるんだな。
どれだけやりこんでいるんだか。
「あ、当分いいや。もうあそこにNキャラなかったし」
「………」
兄キ、そういうことは口に出して言うなよ。
クスミ、せっかく自信を持って言える特技を拒否されてシュンとなっちゃっただろ!
「あ、とにかく今日はありがとうな。また学校で」
これ以上ここにいると兄キが失礼なことを言い続けてしまう気がして、オレは強引にその場を切り上げた。
二百円三プレイで四つも取るとは。
ミスがないし、狙った物は必ず取る。
すげーな、プロと自分で言うのも過言じゃない。
「店員さんに言って置き場所を変えてもらうのもいいですけど、私はそのままでいらないものを取るのも好きです」
クスミはいらないものとして取ったエヌタローとやらを手にしながら言う。
どうやらあれはクスミが持って帰るようだな。
「いらないのを取ることで取るコツをつかめるので、練習になります」
「そっか」
「それに飾る時、いらないキャラも一緒だとNキャラの良さが目立ちます」
「あー、それわかる、わかる。さっきまであのUFOキャッチャーの中でこのNキャラ、輝くほど目立ってたもん」
そうだったか?
オレには異質なキャラが紛れ込んでいるようにしか感じなかったが。
ま、何はともあれ無事目的を果たせたから良かったとするか。
兄キも大いに喜んでるし。
用が済んだオレたちは外に出た。
中で盛り上がっていたからか、外はすっかり夕暮れの空に変わっていた。
「あー、本当助かったよ。UFOキャッチャー得意な人がいて良かった」
「はい、得意です」
また自分で言ってるし。
「あ、そうだ。お金渡さなきゃ。二百円使ったから二百円でいいの?」
「あ、お金はいらないです」
「何でだよ!」
‘お金はいらない’発言に兄キが怒り出した。
それほど怒りをむき出しにしなくてもいいと思うが、お金を払うことにはオレも賛成だ。
「二百円がなければこれは手に入らなかったんだぞ」
そう言って兄キは二匹のNキャラをバーンとクスミの目の前に突き出した。
そこまで見せなくてもクスミはわかるだろうよ。
「そうですけど、私自身久々に誰かと一緒に過ごせて楽しい思いさせてもらいましたから」
久々に誰かと…?
そっか、クスミはいつも一人でいるもんな。
本当は一人じゃなくて誰かと一緒に過ごしたいのかな?
「そっか、じゃあそういうことで頼むわ」
兄キー!!
相変わらず軽いなー!
ちょっとは今のクスミのセリフを深く考えたりしろよ。
兄弟じゃなく、イトコで良かったと思ったぞ。
「また欲しいキャラクターがいたら呼んで下さい。取ります」
別れ際にクスミが言った。
何でも取れるような言い方だ。
UFOキャッチャーの腕にかなりの自信があるんだな。
どれだけやりこんでいるんだか。
「あ、当分いいや。もうあそこにNキャラなかったし」
「………」
兄キ、そういうことは口に出して言うなよ。
クスミ、せっかく自信を持って言える特技を拒否されてシュンとなっちゃっただろ!
「あ、とにかく今日はありがとうな。また学校で」
これ以上ここにいると兄キが失礼なことを言い続けてしまう気がして、オレは強引にその場を切り上げた。
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