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1.噂のクラスメイト
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Nキャラに夢中の兄キは夢中になりすぎて意味不明な言葉を口にする。
さらに自分自身をコントロールすることすらできなくなる。
「ち、ちょっとオレ挑戦してみる」
兄キは興奮しながら財布に手を伸ばし、小銭を手に取った。
「やめろよ。兄キ、コントロール悪いんだから」
「バカやろう。Nキャラが中でオレを待ってるだろ」
「えー」
オレにはそうは見えないんだが。
それにNキャラはメインキャラの下に埋もれているような感じで、先にメインキャラを取らないとつかめそうにない。
メインキャラがいなくなったところで兄キのコントロールを考えるに、取るのは難しいように思う。
「待ってろよ、今取ってやるからな」
兄キはつぶやきながら小銭を入れた。
ボタンを押そうとしている兄キの手は何だか震えているように見える。
「おいおい、手震えてるよ。大丈夫かよ?」
「これはビビって震えてるんじゃない。ただの武者震いだ」
「震えてることに違いはないだろ」
兄キは今一度興奮と緊張を抑えようと一回深呼吸をした。
やれやれ、見ているこっちにも手に力が入ってしまう。
「よし、どこを狙えばいいか超的確に指示してくれ」
「ムチャ言うなよ。オレはこんなのやらないからどこ狙えばいいかなんて知らないよ」
「何だ、役立たずだな」
超気に入らないセリフが返ってきたが、UFOキャッチャーにおいてはその通りなので言い返せない。
こんなの、金の無駄遣いに思ってしまうんだよな。
だって中の景品は買った方が安いものもあるし。
まぁ、プロ並の実力があって、何でも一発取りできるなら面白いんだろうけど。
「仕方ない。自分の勘を信じるか」
「勘って何だよ。そんなに手震えてるのに大丈夫かよ」
「しっ、静かに!」
オレが少し口出しし過ぎたか、兄キは突然オレに静かにするようジェスチャーした。
口元に指一本立てて'しー'のポーズだ。
小学生の時によくやったな、懐かしい。
断っておくが、決して'おしっこ、しー'の方ではない。
「あまり大声上げるな。精神が乱れるだろ」
「…オレはもう乱れてるように見えるんだが」
しかしそんな小言に反応する気が失せたのか、兄キはさっとボタンを押す構えを見せた。
「よし、行くぞ。てやっ」
変な掛け声とともに兄キはボタンを押した。
しかしアームが止まった所はNキャラがいる所とはかなり離れている。
コントロールが悪いとここまで下手になるものか。
「ギャー、かすりもしない!!」
ただのエネルギーの無駄のように動いたアームは、兄キをあざ笑うかのように戻っていった。
「兄キ」
オレは失敗に終わった兄キを慰めようと、肩に手を置いた。
さらに自分自身をコントロールすることすらできなくなる。
「ち、ちょっとオレ挑戦してみる」
兄キは興奮しながら財布に手を伸ばし、小銭を手に取った。
「やめろよ。兄キ、コントロール悪いんだから」
「バカやろう。Nキャラが中でオレを待ってるだろ」
「えー」
オレにはそうは見えないんだが。
それにNキャラはメインキャラの下に埋もれているような感じで、先にメインキャラを取らないとつかめそうにない。
メインキャラがいなくなったところで兄キのコントロールを考えるに、取るのは難しいように思う。
「待ってろよ、今取ってやるからな」
兄キはつぶやきながら小銭を入れた。
ボタンを押そうとしている兄キの手は何だか震えているように見える。
「おいおい、手震えてるよ。大丈夫かよ?」
「これはビビって震えてるんじゃない。ただの武者震いだ」
「震えてることに違いはないだろ」
兄キは今一度興奮と緊張を抑えようと一回深呼吸をした。
やれやれ、見ているこっちにも手に力が入ってしまう。
「よし、どこを狙えばいいか超的確に指示してくれ」
「ムチャ言うなよ。オレはこんなのやらないからどこ狙えばいいかなんて知らないよ」
「何だ、役立たずだな」
超気に入らないセリフが返ってきたが、UFOキャッチャーにおいてはその通りなので言い返せない。
こんなの、金の無駄遣いに思ってしまうんだよな。
だって中の景品は買った方が安いものもあるし。
まぁ、プロ並の実力があって、何でも一発取りできるなら面白いんだろうけど。
「仕方ない。自分の勘を信じるか」
「勘って何だよ。そんなに手震えてるのに大丈夫かよ」
「しっ、静かに!」
オレが少し口出しし過ぎたか、兄キは突然オレに静かにするようジェスチャーした。
口元に指一本立てて'しー'のポーズだ。
小学生の時によくやったな、懐かしい。
断っておくが、決して'おしっこ、しー'の方ではない。
「あまり大声上げるな。精神が乱れるだろ」
「…オレはもう乱れてるように見えるんだが」
しかしそんな小言に反応する気が失せたのか、兄キはさっとボタンを押す構えを見せた。
「よし、行くぞ。てやっ」
変な掛け声とともに兄キはボタンを押した。
しかしアームが止まった所はNキャラがいる所とはかなり離れている。
コントロールが悪いとここまで下手になるものか。
「ギャー、かすりもしない!!」
ただのエネルギーの無駄のように動いたアームは、兄キをあざ笑うかのように戻っていった。
「兄キ」
オレは失敗に終わった兄キを慰めようと、肩に手を置いた。
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