*いにしえのコトノハ*5 匿名ごっこ

N&N

文字の大きさ
上 下
38 / 40

37

しおりを挟む
「うみちゃんからは特に何もないよ」

それはうみちゃんへふせんを送った時もそうだし、なっちゃんへふせんを送った時も、だった。

うみちゃんからのアクションは特にない。

「ほら、名前書かなくて良かったでしょ?全く反応がないってことは、うみちゃんじゃない可能性もあるってことだから」

「えー、姉ちゃん絶対うみちゃんだって言ったじゃん」

姉ちゃんが意外なことを言うから、つい手に力が入ってシャーペンの芯をポキッと折ってしまった。

折れた芯を捨てつつ、鞄からペンケースを取り出す。

「私、絶対なんて言ってないわよ。うみちゃんだと思う、しか言ってないもの」

言葉的にはそうかもしれないけど、意味合い的にはうみちゃんだと断定していた。

「じゃあうみちゃん以外だったら誰だって言うんだよー」

「それは知らないわよ。私こうたと違って誰とも接してないんだからわからないわ」

確かにそうだけど。

ムーッと顔をしかめながらペンケースのチャックを開けると、取り出したシャーペンの芯と共に何かが出てきた。

小さく折り畳まれた、紙。

何だろう?

何か紙くずを入れていたっけ?

授業中、手持ち無沙汰で何かを書いて、捨てそびれた物でも入れたかな?

記憶にないけど。

でもごみならグシャッとしてそうだし、こんなに綺麗に折り畳まないと思うんだけど。

怪訝に思いながら四つ折にされた紙を開いて驚いた。

何か書いてあったのだ。

僕じゃない字で。

「何だこれ」

思わず声を上げると姉ちゃんも紙を覗き込んできた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

*いにしえのコトノハ*2 レインドロップス

N&N
青春
私、後悔まではしてないから

*いにしえのコトノハ*3 too late to do

N&N
青春
判断は何でも早いに限る

*いにしえのコトノハ*7 欠けコトバ

N&N
現代文学
本当は・・・ 知ってたんだ。

*いにしえのコトノハ*6 おばあちゃんの勘違い

N&N
現代文学
あなた、もう少しだけ そちらで待っていてくださいな

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

*いにしえのコトノハ*4 1/2

N&N
青春
Loveじゃなくて、Likeじゃなくて、

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

*いにしえのコトノハ*9 苦くて、甘くて、時々しょっぱい

N&N
青春
困った時はお互い様 先輩も後輩も 身内も他人も 細かいことなんて 気にすんなよ

処理中です...