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しおりを挟むっはーー昼過ぎと言ってもなぁ、まだ夕方にもなってない。今頃みんな3限の講義受けてんのかぁ。
…4限出ようかな?いやいやいや、倒れたしな、しかも腹も痛いし。うん、大人しくしてよう。
翔太は貰ってきた薬をテーブルの上に出した。
シンプルな容器に入ったちょっと黄色いクリームに、白い錠剤。翔太の家に包帯なんてものは無い。クリームを塗ったあとはそのままでいいのかななんて考えながら、無くさないように小さいカゴにまとめて入れた。
風呂トイレ別、一口コンロに6畳1R。お世辞にも広いとは言えない部屋なのに、今日は何故か広く感じる。
寂しいのだろうか。
暇すぎて頭が麻痺したのかもしれない。何せ今日はバイトも休みなんだ。
こう思うといつも忙しかった。朝から夕方にかけて大学の講義があり、その後2~3時間のバイト。そして彼に呼び出され性欲処理。
それが今日は全部ないのだ。翔太にとってそれは暇すぎて苦痛でしかない。
--はぁー仕方ない。ママに連絡してバーでも開けてもらおうかな。
ゲイバーのママとは連絡を取り合う仲。彼と付き合ってからはよくメッセージで愚痴や悩みを聞いてもらっていた。
『ママ、お店の開店準備手伝うから今から行ってもいい?』
さすがに無理かなと思ったらすぐに既読がつき
『まーたなんかあったんでしょ、いいわ、おいで』
と返事が返ってきた。さすがママ。
ぼーっとしてても仕方がない。俺は急いで服を着替え直した。
白のロンTに黒の長めのカーディガンを羽織る。シルバーのシンプルなブレスレットに、同じくシルバーで薔薇モチーフの小さいピアスをつけた。俺にとってアクセサリーは武器と一緒だ。つけると大人になったような気がして安心する。
財布とスマホはジーンズのポケットに突っ込むのが俺の癖。バーでリュックを持ち歩くのは邪魔でしかない。
腹は少しマシにはなったがまだ痛い。病院から貰ってきた薬を水で飲んでみる。
--うん。これで耐えれるだろ。
いつもバーに履いていく、黒のシンプルなエナメルの靴を履く。そして、靴箱に置いてある小さい鏡を見てふと思う。
--髪…邪魔だなぁ。結ぶか。
翔太はそこら辺に雑に置いてあったヘアゴムを手にすると、肩くらいまで伸びた襟足をちょこんと結んだ。
今度こそバーへ行ける。
ガチャ
翔太は少し寒い秋空の下、バーへ向かうために最寄り駅へ向かって歩いた。
━━━━━━━━━━━━━━━
1日に何個も出してしまって申し訳ないです(><)書くの楽しすぎて止まりませんでした!
1話1500~2000文字を目安に書いていますが、この回に関してはちょうどよく終われそうにないので、短いですがここで区切ることにしました!
お気に入り登録にエールまでありがとうございます(><)♡
長編予定のため話数や文字数が多くなる予定ですが、最後まで付き合ってくれると嬉しいです!
(感想やコメントなどもしてくれるとモチベになります!ぜひしてくれると叫びます!!)
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