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 俺はつくづくついてないなと思う。

 初めて好きになったのは中学2年生のとき。担任の男。バレンタインにチロルチョコを渡したら、それを見ていた友達にホモだと噂された。

 高校1年生の夏。同じ部活の一個上の先輩を好きになった。中学の時の経験から俺は何もしなかった。噂されたくなかったから。しかしあろうことかバレてしまった。何故かって?俺が先輩のことを見る目があまりにも乙女だったから。
 その結果、部活に居ずらくなった俺は逃げるように辞めた。先輩からも気まづそうにされたしな。

 それからの高校生活は最悪。ちょっと目が合っただけで「犯される~」だの「こっち見んなよ、ホモ」だの色々言われた。

 そんな俺が誰にもセクシャリティをバカにされずに生活するのを、夢見るのは当然のことだと思わないか?

 そんなわけで俺こと、稲場いなば翔太しょうたは田舎から東京へ上京した。

 そしてちょろい俺は、大学進学と共にまんまと都会の色に染められた。
 黒く短かった髪は明るくなり、耳やへそには穴を開けた。

 ゲイバーに入り浸るようになったのは、耳に穴が開いた時。大学1年生の秋、ちょうど1年くらい前だ。

 そこで出会った男に恋をした。
 元々ゲイな俺は、そのど真ん中を射抜くような容姿にどハマりした。色素薄めの流した前髪に、少しガタイのいい体。

 男は俺がゲイバー初心者だと知ると、暗黙のルールを丁寧に1つずつ教えてくれた。

 俺はそんな彼に惹かれていき、コミュ障なりに話しかけ仲良くなろうと努力した。そして次第に仲良くなり、2年生の夏に付き合うことが出来た。

 俺は、初めて出来た彼氏に浮かれていた。

 家に来いと言われたら行き、金を貸してと言われたら貸した。股を開けと言われたら、戸惑いながらも開いた。なんたって俺は童貞処女。
 初めての体験は痛くて、苦しくて、泣いた。
感じなかった訳では無い。ただ戸惑いが勝ってしまっただけ。

 それでも俺を求めてくる彼に、愛おしいと思ってしまった。そしてそんな彼を受け入れ続けた。

 彼の浮気を知ったのは、付き合ってから2ヶ月後。人づてに知った。

『処女は面倒臭い。喘ぎ声も汚ぇし。』

 そう言っていたらしい。
 まぁそうだろうなと思った。
 彼はモテる。経験も豊富だ。俺の喘ぎ声が汚いかは比較対象がいないから分からないが、色んな男女を抱いてきた彼が言うならそうなのだろう。

 初めての彼氏。キスもセックスも、俺の初めてを全て捧げた人。
 …どうやら俺は重いらしい。全てを捧げたと思ったら、どうも彼を手放すことはできなかった。

「別れよう。」

「嫌だ。」

 浮気相手に夢中らしい彼は、俺に何度も別れを切り出してきた。その度に俺は拒否した。絶対に別れないと。

 最初はウザがっていた彼も、次第に俺を受け入れるようになり、俺の気持ちを利用した。
 彼のオナホになったのは、浮気発覚から1ヶ月後。この1ヶ月間、毎日のように別れ話をされたが、ことごとく拒否した俺は彼の不貞を許すことにより、恋人関係続行ということに落ち着いた。

 直接〝オナホ〟と言われた訳では無いが、性欲の捌け口になっているのは言うまでもない。

 自分といる時は常に冷たい目。スマホをいじる時だけ微笑む顔。恋愛経験の浅い俺でも理解した。

 彼にはもう愛されていないのだと。

 それでも女々しい俺は、離れられなかった。
 見てくれなくていい、性欲の捌け口でいい、俺を通して違う人を抱いてていい。

 俺はまだ彼を愛していた。



「ねぇ、翔ちゃん。もう別れなさいよ。大学生でしょ?大学生らしい楽しくて輝いてるキャンパスライフを送りなさいよ。」

 俺にそんな言葉をかけたのは、ゲイバーのママ。ママは気さくで良い人。
 そして、彼との今の関係を知ってる唯一の人。
 彼の浮気が発覚してから、付き合ってから通わなくなったゲイバーにちょくちょく顔を出すようになった。

「…あはは」

 下手な相槌しか出来なかった。

 ゲイバーを出るとスマホに通知が届いていた。
『夜、行く。』
 俺は急いでアパートに帰った。彼の言う夜は夜22時。今は20時。

 アパートに着くと急いで部屋を片し、風呂に入った。

 はぁはぁと切れる息を整えながら体を洗った。
 彼が来るということは使われるということだ。

 自分の孔を広げるのはいくら経験を積んでも慣れなかった。
 1人で準備していても羞恥心は消えない。

 んふぅ、はぁはぁと声を漏らしながら、彼のペニスが入るように慣らしていく。
 風呂で洗浄が終わり、ある程度指でならした後、もう一度シャワーを浴び風呂を出た。
 時計を見ると21時30分を示していた。
 カチッカチッと時計の音に包まれながら、ベッドの上で仕上げる。

 彼のペニスは大きかった。とても俺の慣れてない孔には入り切らない。
 それでも彼の全てを受け入れようと、ディルトに手を伸ばした。

「ん、…ッッッッはぁ」

 無理やりにでも広げていく。
 ぐぽぐぽと音を立てて出し入れする黒いディルト。

「ッはぁ、、、ん…」

 異物感が否めないディルトで慣らしたあと、俺は自分の孔にローションを仕込み彼が来るのを待った。








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