74 / 85
第三章
第二十部分
しおりを挟む
「やっぱりこうなったにゃ。じゃあ、ネコの手を貸すにゃ。刀を買うお金のない人は、特進クラス棟の一階に来るにゃ。融資する窓口を開設したにゃ。金利はわりと安くしておくにゃ。」
「救いの神だぁ!」「ヤマンバ教徒に救世主が現れると信じてたしぃ!」
溺れるヤマンバは藁を掴んで溺れてしまうものである。
借りたモノは返さないといけない。高金利で、返済する生徒の小遣い水準をはるかに超えていた。それでも借りるヤマンバ生徒は続出した。いい流れはすぐに切れてしまうが、悪い潮流は簡単には止まらないものである。
御簾の間では、宗春が満足そうに、怪気炎を上げていた。綱吉が買ってきた扇子はバンバン叩かれて、腰の湾曲した老婆のように破れている。
「ヤマンバ生徒たちの無限地獄の門が大きな口を開きましたわ。さあ、鬼たちを解放しますわ。鬼と言ってもファンタジーじゃありませんことよ。あくまで合法的なものですから。綱吉さん。計画通りに、進めていってくださいね。」
「わかったにゃ。貸したカネは回収して初めて生きるから。でもカネは生きて、代わりに生徒が死ぬにゃ。」
「人聞きの悪い言い方は止めて下さるかしら。資金回収は正当な権利ですのよ。」
綱吉はそのまま御簾の間を退出していった。わずかに振り返って、宗春に見えないように舌を出していた。
綱吉は借りているヤマンバたちへ一斉にスマホでメールを送信した。ボタンの押し方が強過ぎて、画面が凹んだままになった。
『期限までに借りたお金を返すにゃ。返せない生徒は休学処分にするにゃ。親から借りるなり、バイトするなりでもお金を用意するにゃ。バイトだと、フツーなバイトでは到底足りないような気もするけどにゃ。』
「えええっ!」「そんなの、聞いてないしぃ!」
ヤマンバたちは一斉に反発したものの、借りた方には義務だけがあることは変わりない。それから学校には黒い服にサングラスという怪しげで、しかも屈強そうな男女が姿を見せるようになった。言うまでもなく、借金取り立てのために、雇われた輩である。校内の空気はドス黒く染まっていった。
プロの取り立ては厳しく、休学どころか、不登校になる生徒が続出した。
生徒たちは分断されていたので、厳しい取り立てに助け舟を出す者はいなかった。少数派の倹約派は返済に苦しむヤマンバたちをあざ笑うだけだった。
「救いの神だぁ!」「ヤマンバ教徒に救世主が現れると信じてたしぃ!」
溺れるヤマンバは藁を掴んで溺れてしまうものである。
借りたモノは返さないといけない。高金利で、返済する生徒の小遣い水準をはるかに超えていた。それでも借りるヤマンバ生徒は続出した。いい流れはすぐに切れてしまうが、悪い潮流は簡単には止まらないものである。
御簾の間では、宗春が満足そうに、怪気炎を上げていた。綱吉が買ってきた扇子はバンバン叩かれて、腰の湾曲した老婆のように破れている。
「ヤマンバ生徒たちの無限地獄の門が大きな口を開きましたわ。さあ、鬼たちを解放しますわ。鬼と言ってもファンタジーじゃありませんことよ。あくまで合法的なものですから。綱吉さん。計画通りに、進めていってくださいね。」
「わかったにゃ。貸したカネは回収して初めて生きるから。でもカネは生きて、代わりに生徒が死ぬにゃ。」
「人聞きの悪い言い方は止めて下さるかしら。資金回収は正当な権利ですのよ。」
綱吉はそのまま御簾の間を退出していった。わずかに振り返って、宗春に見えないように舌を出していた。
綱吉は借りているヤマンバたちへ一斉にスマホでメールを送信した。ボタンの押し方が強過ぎて、画面が凹んだままになった。
『期限までに借りたお金を返すにゃ。返せない生徒は休学処分にするにゃ。親から借りるなり、バイトするなりでもお金を用意するにゃ。バイトだと、フツーなバイトでは到底足りないような気もするけどにゃ。』
「えええっ!」「そんなの、聞いてないしぃ!」
ヤマンバたちは一斉に反発したものの、借りた方には義務だけがあることは変わりない。それから学校には黒い服にサングラスという怪しげで、しかも屈強そうな男女が姿を見せるようになった。言うまでもなく、借金取り立てのために、雇われた輩である。校内の空気はドス黒く染まっていった。
プロの取り立ては厳しく、休学どころか、不登校になる生徒が続出した。
生徒たちは分断されていたので、厳しい取り立てに助け舟を出す者はいなかった。少数派の倹約派は返済に苦しむヤマンバたちをあざ笑うだけだった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる