46 / 85
第二章
第四十二部分
しおりを挟む
別に吉宗の言葉上はなんら問題ない。タイミングとは難しいものである。
御台は帰宅後、市香の部屋で、ベッドに伏せっている妹を見ながら、悩んでいた。
「お兄ちゃん、お市を特進クラスに入れてくれるなんて、きっと裏に大きな何かがあるよ。」
市香は起きていたが、横になったままで、御台に話しかけた。
「お市、どうして特進クラスのことを知ってるんだ。」
「さっき、幕附高特進クラスの尾張さんという人からメールが来たよ。お市のアドレスをどうやって調べたのか、わからないけど。まあ幕附高特進クラスならそれぐらいの情報入手できるのかな。お兄ちゃん、お市は別に進学できなくてもいいよ。留年して病気を治すから。ほら、こんなに元気、・・ゴホン、ゴホン。」
体を起こそうとした市香は咳き込んでしまい、話ができなくなった。
「お市、大丈夫か?」
「お兄ちゃん、お市のことはほうっておいて。お市のために、お兄ちゃんが自分の生き方を曲げるのはいやだよ。ゴホン、ゴホン。」
市香はそのまま眠についてしまった。青白い顔が痛々しい。強がりを言われると、反対側を向いてしまうのが、人間というものである。
「お市のためには仕方ないな。ボクは覚悟を決めるしかなさそうだ。」
こうして沈痛な面持ちの御台は再び御簾の部屋を訪れた。
「渡心御台さん。その顔ならば、ワタクシ引いたレールを進むことを決めたようですわね。その先には四つ葉のクローバーが幸運をもたらしてくれますわ。」
「尾張さんの言う通りにするよ。いったい何をすればいいんだ?」
「カンタンなことですわ。学校の経済成長を促進させるだけですわ。」
「経済成長?学校と経済は関係ないだろう。」
「オオアリですわ。今の学校は倹約令で縛り付けられて派手や華美どころか、巷でフツーの女子高生ができることすら叶わぬ状況です。」
「つまり、いろいろ出されている倹約令に反対する行動を起こせと?」
「いえ、そんな物騒なことはワタクシの流儀に反しますわ。渡心御台さんはタダの広告塔をやっていただければそれだけで結構ですわ。」
「具体的にはどんなことをやればいいのかな?」
「そ、それは、く、口にするのは、恥ずかしいですわ。」
ちょっと言葉に詰まった宗春。
「この期に及んで、何を逡巡してるんだね?ハッキリ言ってくれるかな。」
「そ、そこまで言うなら、言語化して差し上げますわ。渡心御台さんに、やって頂きたいのは、あ、あ、あ、朝立ちですわ!」
「アサダチ?朝出会う友達のことか?」
「違いますわ!朝に校門に立つから朝立ちです。れっきとした選挙用語ですわ!」
御台は帰宅後、市香の部屋で、ベッドに伏せっている妹を見ながら、悩んでいた。
「お兄ちゃん、お市を特進クラスに入れてくれるなんて、きっと裏に大きな何かがあるよ。」
市香は起きていたが、横になったままで、御台に話しかけた。
「お市、どうして特進クラスのことを知ってるんだ。」
「さっき、幕附高特進クラスの尾張さんという人からメールが来たよ。お市のアドレスをどうやって調べたのか、わからないけど。まあ幕附高特進クラスならそれぐらいの情報入手できるのかな。お兄ちゃん、お市は別に進学できなくてもいいよ。留年して病気を治すから。ほら、こんなに元気、・・ゴホン、ゴホン。」
体を起こそうとした市香は咳き込んでしまい、話ができなくなった。
「お市、大丈夫か?」
「お兄ちゃん、お市のことはほうっておいて。お市のために、お兄ちゃんが自分の生き方を曲げるのはいやだよ。ゴホン、ゴホン。」
市香はそのまま眠についてしまった。青白い顔が痛々しい。強がりを言われると、反対側を向いてしまうのが、人間というものである。
「お市のためには仕方ないな。ボクは覚悟を決めるしかなさそうだ。」
こうして沈痛な面持ちの御台は再び御簾の部屋を訪れた。
「渡心御台さん。その顔ならば、ワタクシ引いたレールを進むことを決めたようですわね。その先には四つ葉のクローバーが幸運をもたらしてくれますわ。」
「尾張さんの言う通りにするよ。いったい何をすればいいんだ?」
「カンタンなことですわ。学校の経済成長を促進させるだけですわ。」
「経済成長?学校と経済は関係ないだろう。」
「オオアリですわ。今の学校は倹約令で縛り付けられて派手や華美どころか、巷でフツーの女子高生ができることすら叶わぬ状況です。」
「つまり、いろいろ出されている倹約令に反対する行動を起こせと?」
「いえ、そんな物騒なことはワタクシの流儀に反しますわ。渡心御台さんはタダの広告塔をやっていただければそれだけで結構ですわ。」
「具体的にはどんなことをやればいいのかな?」
「そ、それは、く、口にするのは、恥ずかしいですわ。」
ちょっと言葉に詰まった宗春。
「この期に及んで、何を逡巡してるんだね?ハッキリ言ってくれるかな。」
「そ、そこまで言うなら、言語化して差し上げますわ。渡心御台さんに、やって頂きたいのは、あ、あ、あ、朝立ちですわ!」
「アサダチ?朝出会う友達のことか?」
「違いますわ!朝に校門に立つから朝立ちです。れっきとした選挙用語ですわ!」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる