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第一章
第五十四部分
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「お兄ちゃん!うりの何がいけないのだ?お兄ちゃんはうりのことが嫌いなのか?」
「いけないといいとか、好きとか嫌いとか、そういう問題じゃない。兄妹という厳然たる事実を冷静に受け止めてほしいというだけだ。」
ふたりのせめぎ合戦中に、鳴志司が入ってきた。後ろから緋景が声をかけて振り返った時に足を滑らせた。
「わあ。」「うわ。」
鳴志司とつかさは超絶密接に超絶密着した。それは顔の下にある赤く上下に分かれた部位の、こう合を意味した。
「「きゃあ!どヘンタイ!」」
緋景と楼里の悲鳴がシンクロした。
「「ち、違うんだ!」」
つかさと鳴志司の反論も見事に重なった。
言い訳すると、大抵はウソだと思われてしまうのが世の常である。
「あたしを」、「うりを」
「「ないがしろにしてたのは、ふたりが深い海溝で、ディープな関係にあったからなんだ!?うわ~ん!」」
緋景と楼里は、泣き喚きながら、生徒会室を飛び出していった。
翌日、楼里はひとり、生徒会室で魔法を使っていた。授業をエスケープして、早めに生徒会室に来たのである。
「お兄ちゃんにと生徒会長が付き合ってるなんて、ウソなのだ、非現実的なのだ。お兄ちゃんの本当の気持ちを知るのだ。うりの魔法なら、きっとそれができるのだ。やるのだ、デジタル魔法。携帯電話の電波を使って、お兄ちゃんの心にアクセスするのだ!」
楼里は何度も呪文を唱えて、魔力を消費する。魔力の源泉は無限大なので、いくらでも魔法は使用できる。
1時間経過した。汗だくの楼里は、かいた汗よりも涙の量の方が多かった。
デジタル魔法では人の心は読めるものではない。心を読む魔法は高度なもので、アナログ魔法でも、上級者が相手のからだに触れていないとできないものである。
「お兄ちゃんの気持ちが読めない、わからないのだ~。」
頭を抱えて自分の首を地球儀のように回転させる楼里。無論、デジタル魔法を使っているわけではない。
『ギイ、ガチャ。』
生徒会室のドアが、耳障りな音を立てて開いた。
「おや、今日は楼里だけなのか。」
つかさがやってきた。授業が教師の都合で早めに終わったのである。
「いけないといいとか、好きとか嫌いとか、そういう問題じゃない。兄妹という厳然たる事実を冷静に受け止めてほしいというだけだ。」
ふたりのせめぎ合戦中に、鳴志司が入ってきた。後ろから緋景が声をかけて振り返った時に足を滑らせた。
「わあ。」「うわ。」
鳴志司とつかさは超絶密接に超絶密着した。それは顔の下にある赤く上下に分かれた部位の、こう合を意味した。
「「きゃあ!どヘンタイ!」」
緋景と楼里の悲鳴がシンクロした。
「「ち、違うんだ!」」
つかさと鳴志司の反論も見事に重なった。
言い訳すると、大抵はウソだと思われてしまうのが世の常である。
「あたしを」、「うりを」
「「ないがしろにしてたのは、ふたりが深い海溝で、ディープな関係にあったからなんだ!?うわ~ん!」」
緋景と楼里は、泣き喚きながら、生徒会室を飛び出していった。
翌日、楼里はひとり、生徒会室で魔法を使っていた。授業をエスケープして、早めに生徒会室に来たのである。
「お兄ちゃんにと生徒会長が付き合ってるなんて、ウソなのだ、非現実的なのだ。お兄ちゃんの本当の気持ちを知るのだ。うりの魔法なら、きっとそれができるのだ。やるのだ、デジタル魔法。携帯電話の電波を使って、お兄ちゃんの心にアクセスするのだ!」
楼里は何度も呪文を唱えて、魔力を消費する。魔力の源泉は無限大なので、いくらでも魔法は使用できる。
1時間経過した。汗だくの楼里は、かいた汗よりも涙の量の方が多かった。
デジタル魔法では人の心は読めるものではない。心を読む魔法は高度なもので、アナログ魔法でも、上級者が相手のからだに触れていないとできないものである。
「お兄ちゃんの気持ちが読めない、わからないのだ~。」
頭を抱えて自分の首を地球儀のように回転させる楼里。無論、デジタル魔法を使っているわけではない。
『ギイ、ガチャ。』
生徒会室のドアが、耳障りな音を立てて開いた。
「おや、今日は楼里だけなのか。」
つかさがやってきた。授業が教師の都合で早めに終わったのである。
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