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第一章

第三十八部分

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翌日の生徒会室の空気はドブ水のように澱んでいた。現時点で確認される住民は、ゆめ、緋景に加えて初登場のつかさである。お手伝いさん戦隊である。なぜか、つかさまで緑色のヨンリオキャラメイド服にズボンという、なかなかアバンギャルドな出で立ちである。
生徒会室で、メイド服を着せたのは、10分前の緋景である。
「滝登さん。この奇妙な服は何?」
「奇妙なんかではありません。お手伝いさん見習いお手伝いさんの制服ですわ。」
緑のヘッドドレスとエプロンドレスのメイド服。スカート部分は膝下に達している。ズボンとの組合せで、この長さになったのである。
ゆめはひたすら壁だけを睨み付けている。日頃から緋景のヨンリオキャラメイド服を見たくないということで、目を明後日の方角に向けていた。しかし、視線回避ターゲットが、ふたつになったことで、目線のもって行き場を失い、ひたすら壁や床をガン見するしかなくなっていた。
ゆめはイラついていたが、急に気分が変わってきた。ふわふわと浮いているような感覚で恍惚としてきた。
ゆめの脳内では、『あ~ん』とスイーツを賞味していたのである。実際はアイスクリーム柄のヨンリオカップを見つめているだけである。これは緋景の魔法の力であった。緋景は軽く魔法を使っていた。生徒会室の気流を風魔法でわずかに動かして、ゆめを眩惑していた。魔力を微量しか使ってないので、ゆめは気づかなかったのである。
緋景は、ゆめが夢の中で泳がされているのを見て、してやったりと、ほくそえんでいた。
しかし、しばし、ゆめのことをよくよく考えると、ムカついてきた。
『あ~ん。おいちいわ、ギリギリのお兄様~。よろしければ、あたしの義理のお兄様になってくだちゃいな~。』
ゆめは夢の中で、鳴志司にアイスクリームを食べさせてもらっていたのである。
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