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第三章

第十三部分

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同じ時刻の、信永の部屋。
「卵丸さぁん。その歌、素敵だよん。回りに聴こえないように、布団の中で練習するのは正解だよん。なかなか上手だよん。じゃあ、もうちょっと練習だよん。」
「あんあんあん、とっても大スケベ、ホラエモン♪」
卵丸の布団内でのアニソン練習は深夜まで続いた。

「「「「もうこうなったら、やるしかない!」」」」
4人は心の中で、腹を決めた。
「さあ、おねいさんは寝るよ。あはは。」
「そうですわね。明日も早いですから。うふふ。」
「そうや。ウチらは日中の修学旅行を楽しまんとな。なはは。」
「あたしもそう思うよ。外でいい思い出を作らないとね。えへへ。」
『『『『グーグーグー。』』』』
全員が寝息を口に出していた。つまり誰も眠ることなく、裏切り信永にどう制裁を食らわせるか、策略を練っていた。
「「「「う~ん。あ~しよう、こうしよう。いやそうすべきかな。」」」」
4人とも、ぐるぐるで考えがまとまらない。それがスゴイストレスになっていた。
『あんあんあん、あんあんあん。』
さらにどこからともなく喘ぎ声が聞こえてきた。いくらなんでも布団の中の声が離れた女子部屋に聞こえるはずがない。
「「「「まさか、ここまで聞こえるまでの、超絶激しいプレイをやってる?」」」」
4人がそう思っても不思議はない。スピーカーが女子部屋の前に設置されてあった。暗くて見えないが、誰かが操作しているのはわかる。録音したものをリピートしているようである。
『ぐるぐるぐる、あんあんあん、』というのがエンドレスで、4人の脳内で回っていた。これでは正常な精神状態を維持することなど、できるはずがなかった。
『『『『ぐあああ~!』』』』
4人の目は著しく血走り、頭を抱えた。
かつえは、「おねいさんは豊島区、23区を全部吸収合併して超大豊島区!」と喚いている。
危蝶は「ぶりがいますわ!」「『ぶり?』寒ぶりか?うまそうやで。」「Kぶりではありませんわ。Gブリですわ~!」と騒いでいる。
日吉は、「ギャグがアイススケート場や、それも氷面が融けかかった滑り台みたいやな!」と苦悶している。
光秀奈は「あたしは今、たい焼きを焼くバイト中だよ、たい焼きの洪水に流されてるんだよ~!」と呻いている。
しばらくして、妄想中の四人に異変が起こった。
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