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第二章
第十三部分
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(わたしたちは、人間界に戻らないといけない。その手立てはあるのか?)
光葉が神棚に飾っていた質問を取り出した。
「すごく難しいねぇ。でも方法はあるよぉ。」
「パンツのため、死力尽くす!」
言葉以外に、副会長たちには別の思いがあった。
(しかしパンツのことだけじゃない。人間界には自由がある。使い魔たちの気持ちは悪魔合体している今はとてもよくわかる。この自由こそ、光と線。使い魔たちは、パンツをエサにしていたけど、あたしたちがパンツを含めた自由を求めていることをわかってたんだろう。パンツよりもあたしたちの気持ちを理解していたことに共感したんだ。)
(でも人間界に戻る方法とは何ですの?)
「命懸けのレースだよぉ。」
(命懸け!?それはこわいけど、やるしかないよ!)
「いや、本当に命懸けなんだよねぇ。」
(ずいぶんともったい付けてますわね。)
「うん。人間界転送レース、100年に1回しか、開かれない。」
((えええ?))
副会長たちが何歳とか、疑問を持つ以前の問題だった。
その頃、女王府庁地下室では、大きな円筒型カプセル水槽に、鰯司が浸けられていた。カプセルにベルトコンベアが接続され、次々と何かが生産されている。生産物は段ボール箱に溜まっている。
「わははは。どんどんできてるぞ。どれ、ちょっと試してみるかのう。」
トリス会長は短いスカートの裾をちょいとつまむと、恥ずかしそうに、ちょうちんブルマを下ろした。そして、段ボールの中に手を突っ込んで、白い布切れを取り出して、目の前で広げてみた。
「こ、これが、魔界初のパンツじゃ。真ん中に小さなリボンがついておる。生産は大成功じゃ!よし、魔界でいちばんに試着するぞ。」
トリス会長はスルスルとパンツを臀部に押し上げた。ちょうちんブルマの時は膨張気味だったスカートは太ももにピッタリとフィットしたタイトスカートに変貌した。
「く~ぅ。このフィット感、人間界にいた時のことを思い出したぞ。品質的にどうかと不安だったが、これなら大丈夫そうじゃ。次は、感触と伸縮性を確認すべきじゃな。」
トリス会長はそろりそろりと10メートルほど歩いてみた。
「いいぞ、いいぞ、この感じ。ちょうちんブルマのようなゴワゴワ感が排除されておる。歩く度にわずかにオシリが擦れるが、これがまさにパンツというモノじゃ。ああ、妾は、幸せをこの手にしたぞ!」
トリス会長は短い両腕を高く上げて、バンザイのポーズを堪能した。
「鰯司の光線能力の実験は、このパンツが始まりじゃ。これからいろんな分野でのテストを重ねていくぞ。むっ。少し動いたせいか、ちょっと催してきたぞ。お花を摘みに行ってくるかのぅ。」
トリス会長はてくてくとトイレに向かっていった。戻ってくると、股間にかすかに違和感があった。
光葉が神棚に飾っていた質問を取り出した。
「すごく難しいねぇ。でも方法はあるよぉ。」
「パンツのため、死力尽くす!」
言葉以外に、副会長たちには別の思いがあった。
(しかしパンツのことだけじゃない。人間界には自由がある。使い魔たちの気持ちは悪魔合体している今はとてもよくわかる。この自由こそ、光と線。使い魔たちは、パンツをエサにしていたけど、あたしたちがパンツを含めた自由を求めていることをわかってたんだろう。パンツよりもあたしたちの気持ちを理解していたことに共感したんだ。)
(でも人間界に戻る方法とは何ですの?)
「命懸けのレースだよぉ。」
(命懸け!?それはこわいけど、やるしかないよ!)
「いや、本当に命懸けなんだよねぇ。」
(ずいぶんともったい付けてますわね。)
「うん。人間界転送レース、100年に1回しか、開かれない。」
((えええ?))
副会長たちが何歳とか、疑問を持つ以前の問題だった。
その頃、女王府庁地下室では、大きな円筒型カプセル水槽に、鰯司が浸けられていた。カプセルにベルトコンベアが接続され、次々と何かが生産されている。生産物は段ボール箱に溜まっている。
「わははは。どんどんできてるぞ。どれ、ちょっと試してみるかのう。」
トリス会長は短いスカートの裾をちょいとつまむと、恥ずかしそうに、ちょうちんブルマを下ろした。そして、段ボールの中に手を突っ込んで、白い布切れを取り出して、目の前で広げてみた。
「こ、これが、魔界初のパンツじゃ。真ん中に小さなリボンがついておる。生産は大成功じゃ!よし、魔界でいちばんに試着するぞ。」
トリス会長はスルスルとパンツを臀部に押し上げた。ちょうちんブルマの時は膨張気味だったスカートは太ももにピッタリとフィットしたタイトスカートに変貌した。
「く~ぅ。このフィット感、人間界にいた時のことを思い出したぞ。品質的にどうかと不安だったが、これなら大丈夫そうじゃ。次は、感触と伸縮性を確認すべきじゃな。」
トリス会長はそろりそろりと10メートルほど歩いてみた。
「いいぞ、いいぞ、この感じ。ちょうちんブルマのようなゴワゴワ感が排除されておる。歩く度にわずかにオシリが擦れるが、これがまさにパンツというモノじゃ。ああ、妾は、幸せをこの手にしたぞ!」
トリス会長は短い両腕を高く上げて、バンザイのポーズを堪能した。
「鰯司の光線能力の実験は、このパンツが始まりじゃ。これからいろんな分野でのテストを重ねていくぞ。むっ。少し動いたせいか、ちょっと催してきたぞ。お花を摘みに行ってくるかのぅ。」
トリス会長はてくてくとトイレに向かっていった。戻ってくると、股間にかすかに違和感があった。
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