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第一章

第四十八部分

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全員がフロアに設置された体育館内に移動した。そこには、高さ十メートルほどの、アクリル製のキューブがあり、ほぼ満タンに水が張ってある。
「次、水中、ジェスチャーゲーム、いっぺん死んでミルフィーユ、パチパチ。」
珍しくテンションの高そうな明日萌たが、表情を形成していないのは従来型通り。
3人は、すでにスクール水着に着替えている。
「選手、水中に潜る、ジェスチャー以外のやり方で、鰯司の心、折ること。」
「「「それって、ジェスチャーゲームって呼べないんじゃ?」」」
3人のツッコミはスルーされた。
「水中で、選手吐いた空気量と、鰯司心の壊れ方、採点基準。水、満タン。つまり、空気量は、こぼれた水量、測る。このゲーム、息が苦しくなる方、得点高い。そして、心の壊れ方、見ればわかる。ダメダメ鰯司に、トドメ刺す言葉。」
明日萌のわかりにくい言葉での説明はカンタンに終わり、ゲームはマカから始まった。
アクリルキューブには梯子が架けられており、選手たちはそこを上ってから水中にダイブする。キューブの前には鰯司が立っており、水中での選手のパフォーマンスを見て、何を言いたいのかを判断し、回答するのである。
マカは肺が破裂しそうになるぐらい、空気を送り込んで、アクリルキューブに頭から勢いよく、飛び込んだ。なぜか腕には黒板を抱えていた。空気を過剰に吸い込んだのか、ほっぺたがタコのように膨らんでいる。
マカは、床面に近くに立つと、顔の前に黒板を掲げた。すると、黒板に対して、左から右にかけて、続けざまに息を吹き掛けた。当然ながら吐息は泡となって上昇・消滅するが、黒板にはダイイングメッセージのように、白い七つの文字が残されていた。マカはチョークの粉を口の中に入れていたのである。
「これを僕に読め、って言うのかな。」
白く書かれた言葉を見て、鰯司は顔から血の気が退いていくのをハッキリと感じた。
紅麗は興味津々で、文字を声に出して読んだ。
「どれどれ。あ・か・て・ん・ま・つ・り。赤点祭り!?いいじゃん、いいじゃん。成績クソ悪いって意味だけど、いいじゃん!ガハハハ!」
下品に笑う紅麗であった。
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