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誰もいない公園 が舞台で『眼鏡』が出てくるトキメク話 (500字以内)
放浪とした心
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視界を狭める癖に役に立たない眼鏡。それを地面へ叩きつけ、しゃがみこむ。
昼間、ここで賑やかにしていた子どもたちは、家で眠っている頃か。
もう、自分には何もない。
帰る場所も、心の拠り所も、全て。
明日、僅かに残る金で遠くに行く。
最期に景色を眺めて、死のうと思う。
しかし、本当に死ねるのだろうか。今でさえ涙が止まらない。なぜ、この心は生きようとするのだろう。
この顔の惨状すらどうしようもできない。服で拭うしかなかった。同時に嫌な記憶も蘇る。泣くことで何度も笑われた、あの記憶。
「いやだいやだいやだいやだ」
蹲り、声で思考を遮ろうにも無意味。頭がそれでいっぱいになる。もう叫ぶしかない。自分が何を発しているかも分からなくなった時、不意に頭へ何かが触れた。
途端に思考は停止した。
恐る恐る顔を上げると、犬を連れた女性がいた。
「どうしたんですか」
今にも泣き出しそうな、震えた声。
先程叩きつけた眼鏡を差し出していた。
何か言葉を発しなければ、そう考えているうちに、犬がフラッと歩き出す。
気がつけば、手は犬のリードを握っていた。
そこには、彼女の手も重なっていた。
昼間、ここで賑やかにしていた子どもたちは、家で眠っている頃か。
もう、自分には何もない。
帰る場所も、心の拠り所も、全て。
明日、僅かに残る金で遠くに行く。
最期に景色を眺めて、死のうと思う。
しかし、本当に死ねるのだろうか。今でさえ涙が止まらない。なぜ、この心は生きようとするのだろう。
この顔の惨状すらどうしようもできない。服で拭うしかなかった。同時に嫌な記憶も蘇る。泣くことで何度も笑われた、あの記憶。
「いやだいやだいやだいやだ」
蹲り、声で思考を遮ろうにも無意味。頭がそれでいっぱいになる。もう叫ぶしかない。自分が何を発しているかも分からなくなった時、不意に頭へ何かが触れた。
途端に思考は停止した。
恐る恐る顔を上げると、犬を連れた女性がいた。
「どうしたんですか」
今にも泣き出しそうな、震えた声。
先程叩きつけた眼鏡を差し出していた。
何か言葉を発しなければ、そう考えているうちに、犬がフラッと歩き出す。
気がつけば、手は犬のリードを握っていた。
そこには、彼女の手も重なっていた。
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