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「あーあ。全然だめだあ」
 仕方なく水着に着替える。
 苺の水着は黒のセパレートだった。子供体型はどうしても隠しきれない。
 しかし、いつまでもここに隠れているわけにもいかず、苺はため息と共に更衣室を出た。 真琴らの場所まで帰ると、皆、海から出てそれぞれにくつろいでいた。
「あら、苺、着替えたの?」
「うん……やっぱ、海は水着で泳がないとね」
 大和がくすくすと笑っている。
 真琴は不思議顔で首をかしげた。
 大和と武がブイまで競争だと言いながら走っていくのを見送りながら、真琴が苺にささやいた。
「ね、苺。今日の部屋割りなんだけど…… あんた大和君と一緒でいいでしょ?」
 缶ビールを口にしていた苺がぶーっとビールを吐き出した。
「なん、なんで?」
「あら、あたしと武を引き離すって言うの?」
「だって、そんなの困る」
「どうしてよ?」
「どうしてって……」
 真琴はぐいっと身を乗り出すと、
「チャンスじゃないの! ここで一気に大和君に告白すんのよ! 開放的な夏の夜! 男と女が一緒の部屋となれば、やらないでどうすんの?」
 と言った。
「やるって言うな!」
「とにかく、あたしは武と一緒の部屋だから。あんた、嫌なら野宿でもするのね」
「うっそお……まじですか?」
「まじ!」
「とほほ」
 真琴はにやっと笑った。
「ね、これあげるからさ」
 真琴は苺に何かを手渡した。
「何よ、これ……げっ、コ、コンドームじゃんか!」
「そーよん。備えあれば何とかってね。いい? 大和君が使うの嫌がっても甘い顔したら駄目よ! 後で泣きを見るのは女なんだからね!」
「……真琴ぉ」
 苺はコンドームを握りしめて、海をみつめた。そこへ、
「ね、彼女達、二人? 俺らと遊ばない?」
 ロン毛の男が二人に声をかけてきた。
「うっせーよ! 殺すぞ! 消えやがれ!」
 苺が睨みつけて、何とも酷い言葉を吐いた。
「やっだ、苺ちゃんたら、怖-い。苺ったら、今から何を緊張してんのよ! 大丈夫! 痛いのは最初だけよ。そのうちによくなるから……大和君って上手そうだし」
 ふざけて言う真琴に、苺はため息でもって答えた。
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