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怒れる石
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キースはほっとしたした。そしてそんな自分に驚いた。今まで何百人となく手にかけ、地獄の猛火へと引導を渡してきた彼が、たった一人の女を救えた事に喜びを感じたのだ。
「この女がお前が前から言っていた恋人か。お前みたいな男にはもったいない美人だし、けなげだな。お前に会いにはるばるやってきたのか」
医者はさらに顔を赤くさせてまた酒壜を口にやった。ごくりと喉を鳴らしてうまそうに酒を飲む。
「さあ、次はお前だ。背中を見せろ」
医者はデニスの傷の手当もしてくれた。もうデニスは自分の傷の事など忘れているようだった。
「そうだ。おれなんかの為にビサスの島からたった一人でやってきたんだ。レイラ。こいつはビサスの島一番の踊り子で歌い手なんだよ。誰よりも奇麗で生き生きとしていて、誰もがこいつの事を好きになるんだ。みんなの人気者でさ。それなのに、……」
デニスはじっとレイラの顔を覗きこんでつぶやくように言った。
その時、レイラがかすかに瞳を開いた。力のない瞳がデニスをとらえた。それは急に輝きを取り戻し、体中の機能がフル回転して瞳に生気を灯した。
「レイラ、おれだ、デニスだよ。分かるか」
力一杯彼女の手を握りしめてデニスは叫んだ。
レイラはゆっくりとうなずくとかすかにほほ笑んだ。
「デニス、帰りましょう。ビサスの島へ。お願いよ。あたしは金なんかいらない。あんたがいればいいの。悪い事に手をださないで」
「ああ。分かったよ。レイラ。一緒に帰ろう。お前が元気になったらな」
デニスは目に涙を一杯ためて言った。
「本当よ。あたしは財宝なんかいらない。あんたが悪の手先になってるなんて」
「どうしてそれを知っている」
キースはレイラの枕元に詰め寄った。
「こらこら、病人に無理をさせるな」
医者がキースを止めた。キースは兜を取り、デニスへ向かって言った。
「この女は何故財宝の話を知っている」
「あんたは伯爵様じゃないか。あっしを助けたのはあんただったんですか」
「そうだ。答えろ」
「さあ、あっしにはなんの事だか」
デニスは首をひねり、レイラはキースの方へい力ない視線を移した。
「旅の途中で知り合った娘に聞きました。あなたがたがレ-トの砂漠でした事や、七色の石を探している事も」
「それはミラルカという娘ではないか」
「そうです」
キースは気がかりであったミラルカの行方が分かってほっとした。
「彼女はどうしている。記憶は戻ったか?」
「ええ」
「そうか……よかった」
「彼女はあたしの命の恩人なの。デニス、彼女達に手を出さないで。石は彼女達の物。彼女達は石を悪い事に使ったりしない」
「彼女達とは? ミラルカは一人ではないのか。誰と一緒なのだ」
「カ-タという魔法人とシドという魔鳥」
「カ-タという魔法人はナス宮廷魔道師が呼び寄せた者に違いない。何故、ミラルカと一緒にいるのか。石が彼女達の物というのはどういう理由だ」
矢継ぎ早に問うキースを医者が止めた。
「そうたくさん病人にしゃべらせるんじゃない。この女は疲れている。今夜はこのへんにしろ」
「しかし」
「うるさい。医者の言う事がきけんのか。今日は帰ってもらおうか」
与太者で酔っ払いの医者はいばって言い、キースを追い出した。小屋の外に出されたキースは考えこみ、重い足取りで帰っていった。
それからデニスは献身的にレイラの看病をした。朝も夜もずっとそばにいて、食事の世話や体の具合に気をつかっていた。寒さのつのる晩には自分の体でレイラの足を暖めてやり酒をやめて精のつく食べ物をかってやった。そのかいあって日増しにレイラは元気を取り戻した。レイラはデニスにいいようのないほど感謝し、このうえなく幸せであった。やはりこの人がいなくては生きてはゆけないと感じ、旅の苦労も忘れてしまっていた。
「本当にあんたを探しにきてよかった。あんたはあたしを忘れていなかったんだね」
「当たり前だろ。お前を忘れた日なんぞ一日もなかったさ。はやくお前のいるビサスへ帰る事ばかり考えてたぜ」
頭をかきながら答えるデニスがレイラにはいじらしく愛しく映った。
「元気になったらすぐ帰ろうね」
「ああ、なあレイラ」
「なんだい」
デニスは少々口ごもりながら言った。
「お前、石のありかを知ってるのかい。」
「どうしてそんな事を聞くのさ。あんたまさか……もう悪い事はやらないって」
「か、勘違いするな。おれはもうずっとお前と一緒にいるさ。だがな伯爵様には命を助けてもらったし、いろいろと恩があるんだ。あの人の役にたってからここを出たいと思ってるんだ。お前だってこの間助けてもらったろう」
「そうだね。でも、あの人は悪い奴の味方なんだろう。七色の石が集まれば恐ろしい事がおこるんだろう。あたしはそんなのにかかわりたくないよ」
レイラは言いたくなさそうに言った。
「あの人がどんな事を考えているかなんて知らないけどよ、恩は恩だ。すっぱりと返してから帰ろうや」
「……」
「なんだよ。おれの言うことがきけないっていうんだな。おれはお前の為を思って言ってるんだぞ。おれはお前に盛大な結婚式をあげてやりたいんだ」
今はもう懇願というより脅迫に近く、言っている事も筋が通っているのかいないのか。 しかし女はやはり結婚という言葉に弱いのか。
「分かった。石はあたしも持ってる」
デニスはかなりの衝撃を受けた。
目は茫然と見開かれ、口はパクパクと言葉が出なかった。
「な、なんだって。お前が石を持ってる? 本当なのか」
「そうだよ。ミラルカもカ-タもシドも持ってるのさ。石はお互いに呼び合うって言っていたよ。あたしらは旅の途中で石に導かれて知り合ったのさ」
「その石を見せろ」
「……これさ。あんたに貰ったこの指輪がそうなのさ」
レイラは大事そうに指輪を撫でながら、デニスの前に手を出した。濃紺の石は今は光る事もなく冷たい輝きを発していた。
「おれのやった指輪に七色の石の一つがついてたって言うのか」
「信じられないだろう。あたしだって信じられなかったさ。だけど確かにこいつは光るんだよ。それは奇麗なんだよ」
デニスの目にずるそうな影が宿った。またこの男にはよくない性根が芽生えてきたらしい。「それをちっと貸してくれ」
デニスは手を伸ばした。レイラは急いで背中に腕を回し、指輪を隠した。
「いやだよ。これはあたしにとっては大事なもんさ。どうせこれを持ってキース伯爵のとこに行き、金でもせびるつもりなんだろ」
「なあ、レイラ」
デニスは優しいねこなで声になった。
「こいつをもっていきゃあ金が手に入る。こんなちんけな指輪よりもっと高価な宝石だって買えるんだぜ」
「言っただろう。あたしは金なんか欲しくない。あんたがいればそれで幸せなのさ。これはあんたが初めてくれた物じゃないか。その思い出のほうがあたしには大事さ。それにあんた、一杯財宝の分け前を貰ったんだろ」
「何言ってやがる。思い出なんかで腹がふくれるかよ。それに金はいくらあっても邪魔にはならんよ」
ふてぶてしく笑うデニスをレイラは悲しい瞳で見た。結局、力でかなうはずもなく、強引にデニスは指輪をひったくった。
その途端、石はもの凄い光りを発した。濃紺の石から七色の光りが出て、それは焼け付くようにデニスの目を射した。
「うわあ、目が」
一言叫んでデニスは床に倒れ、気を失った。
「デニス!……石が怒っているんだね」
つぶやいたレイラの瞳から、涙が一粒こぼれ落ちた。
「この女がお前が前から言っていた恋人か。お前みたいな男にはもったいない美人だし、けなげだな。お前に会いにはるばるやってきたのか」
医者はさらに顔を赤くさせてまた酒壜を口にやった。ごくりと喉を鳴らしてうまそうに酒を飲む。
「さあ、次はお前だ。背中を見せろ」
医者はデニスの傷の手当もしてくれた。もうデニスは自分の傷の事など忘れているようだった。
「そうだ。おれなんかの為にビサスの島からたった一人でやってきたんだ。レイラ。こいつはビサスの島一番の踊り子で歌い手なんだよ。誰よりも奇麗で生き生きとしていて、誰もがこいつの事を好きになるんだ。みんなの人気者でさ。それなのに、……」
デニスはじっとレイラの顔を覗きこんでつぶやくように言った。
その時、レイラがかすかに瞳を開いた。力のない瞳がデニスをとらえた。それは急に輝きを取り戻し、体中の機能がフル回転して瞳に生気を灯した。
「レイラ、おれだ、デニスだよ。分かるか」
力一杯彼女の手を握りしめてデニスは叫んだ。
レイラはゆっくりとうなずくとかすかにほほ笑んだ。
「デニス、帰りましょう。ビサスの島へ。お願いよ。あたしは金なんかいらない。あんたがいればいいの。悪い事に手をださないで」
「ああ。分かったよ。レイラ。一緒に帰ろう。お前が元気になったらな」
デニスは目に涙を一杯ためて言った。
「本当よ。あたしは財宝なんかいらない。あんたが悪の手先になってるなんて」
「どうしてそれを知っている」
キースはレイラの枕元に詰め寄った。
「こらこら、病人に無理をさせるな」
医者がキースを止めた。キースは兜を取り、デニスへ向かって言った。
「この女は何故財宝の話を知っている」
「あんたは伯爵様じゃないか。あっしを助けたのはあんただったんですか」
「そうだ。答えろ」
「さあ、あっしにはなんの事だか」
デニスは首をひねり、レイラはキースの方へい力ない視線を移した。
「旅の途中で知り合った娘に聞きました。あなたがたがレ-トの砂漠でした事や、七色の石を探している事も」
「それはミラルカという娘ではないか」
「そうです」
キースは気がかりであったミラルカの行方が分かってほっとした。
「彼女はどうしている。記憶は戻ったか?」
「ええ」
「そうか……よかった」
「彼女はあたしの命の恩人なの。デニス、彼女達に手を出さないで。石は彼女達の物。彼女達は石を悪い事に使ったりしない」
「彼女達とは? ミラルカは一人ではないのか。誰と一緒なのだ」
「カ-タという魔法人とシドという魔鳥」
「カ-タという魔法人はナス宮廷魔道師が呼び寄せた者に違いない。何故、ミラルカと一緒にいるのか。石が彼女達の物というのはどういう理由だ」
矢継ぎ早に問うキースを医者が止めた。
「そうたくさん病人にしゃべらせるんじゃない。この女は疲れている。今夜はこのへんにしろ」
「しかし」
「うるさい。医者の言う事がきけんのか。今日は帰ってもらおうか」
与太者で酔っ払いの医者はいばって言い、キースを追い出した。小屋の外に出されたキースは考えこみ、重い足取りで帰っていった。
それからデニスは献身的にレイラの看病をした。朝も夜もずっとそばにいて、食事の世話や体の具合に気をつかっていた。寒さのつのる晩には自分の体でレイラの足を暖めてやり酒をやめて精のつく食べ物をかってやった。そのかいあって日増しにレイラは元気を取り戻した。レイラはデニスにいいようのないほど感謝し、このうえなく幸せであった。やはりこの人がいなくては生きてはゆけないと感じ、旅の苦労も忘れてしまっていた。
「本当にあんたを探しにきてよかった。あんたはあたしを忘れていなかったんだね」
「当たり前だろ。お前を忘れた日なんぞ一日もなかったさ。はやくお前のいるビサスへ帰る事ばかり考えてたぜ」
頭をかきながら答えるデニスがレイラにはいじらしく愛しく映った。
「元気になったらすぐ帰ろうね」
「ああ、なあレイラ」
「なんだい」
デニスは少々口ごもりながら言った。
「お前、石のありかを知ってるのかい。」
「どうしてそんな事を聞くのさ。あんたまさか……もう悪い事はやらないって」
「か、勘違いするな。おれはもうずっとお前と一緒にいるさ。だがな伯爵様には命を助けてもらったし、いろいろと恩があるんだ。あの人の役にたってからここを出たいと思ってるんだ。お前だってこの間助けてもらったろう」
「そうだね。でも、あの人は悪い奴の味方なんだろう。七色の石が集まれば恐ろしい事がおこるんだろう。あたしはそんなのにかかわりたくないよ」
レイラは言いたくなさそうに言った。
「あの人がどんな事を考えているかなんて知らないけどよ、恩は恩だ。すっぱりと返してから帰ろうや」
「……」
「なんだよ。おれの言うことがきけないっていうんだな。おれはお前の為を思って言ってるんだぞ。おれはお前に盛大な結婚式をあげてやりたいんだ」
今はもう懇願というより脅迫に近く、言っている事も筋が通っているのかいないのか。 しかし女はやはり結婚という言葉に弱いのか。
「分かった。石はあたしも持ってる」
デニスはかなりの衝撃を受けた。
目は茫然と見開かれ、口はパクパクと言葉が出なかった。
「な、なんだって。お前が石を持ってる? 本当なのか」
「そうだよ。ミラルカもカ-タもシドも持ってるのさ。石はお互いに呼び合うって言っていたよ。あたしらは旅の途中で石に導かれて知り合ったのさ」
「その石を見せろ」
「……これさ。あんたに貰ったこの指輪がそうなのさ」
レイラは大事そうに指輪を撫でながら、デニスの前に手を出した。濃紺の石は今は光る事もなく冷たい輝きを発していた。
「おれのやった指輪に七色の石の一つがついてたって言うのか」
「信じられないだろう。あたしだって信じられなかったさ。だけど確かにこいつは光るんだよ。それは奇麗なんだよ」
デニスの目にずるそうな影が宿った。またこの男にはよくない性根が芽生えてきたらしい。「それをちっと貸してくれ」
デニスは手を伸ばした。レイラは急いで背中に腕を回し、指輪を隠した。
「いやだよ。これはあたしにとっては大事なもんさ。どうせこれを持ってキース伯爵のとこに行き、金でもせびるつもりなんだろ」
「なあ、レイラ」
デニスは優しいねこなで声になった。
「こいつをもっていきゃあ金が手に入る。こんなちんけな指輪よりもっと高価な宝石だって買えるんだぜ」
「言っただろう。あたしは金なんか欲しくない。あんたがいればそれで幸せなのさ。これはあんたが初めてくれた物じゃないか。その思い出のほうがあたしには大事さ。それにあんた、一杯財宝の分け前を貰ったんだろ」
「何言ってやがる。思い出なんかで腹がふくれるかよ。それに金はいくらあっても邪魔にはならんよ」
ふてぶてしく笑うデニスをレイラは悲しい瞳で見た。結局、力でかなうはずもなく、強引にデニスは指輪をひったくった。
その途端、石はもの凄い光りを発した。濃紺の石から七色の光りが出て、それは焼け付くようにデニスの目を射した。
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