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男を虜にする薬毒3
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三枝は世の中は金で買えない物はないという思想の持ち主だったので、結婚を機に騒ぎ立てる過去の女達も全て金で解決できるつもりでいた。
それまでも金で贅沢をさせてあるので感謝こそすれ、自分を恨む女がいるなどと思ってもいなかった。
女子大生、キャリアウーマン、モデル、女優、あらゆる職業の女と付き合ってみたが、最後は資産家で良家の娘、学歴もあり職業は女子アナという女を選んだ。
留美子というキャバ嬢の事はあまり覚えてもいなかった。
恋人にしたという気もなく、何度が遊んだだけの女という認識しかなかった。
覚えてないが自宅にも連れてきたことがあったらしく、留美子がマンションへ来たのは面倒くさいとしか感じなかった。
留美子は他の住人に紛れて入り込んだらしく、ピンポンと直接玄関のドアフォンが鳴った。恋人の穂乃香が来たのだと思い、うかつにドアを開けたのが間違いだった。
ドアを開けた先で留美子は笑顔で立っていた。
「三枝さん、御結婚するんですってね。おめでとうございます」
と留美子が満面の笑顔で言ったので、三枝は面食らいながらも、
「留美子ちゃん、ありがとう」
と答えた。
「お祝いをさせていただいても?」
と留美子は手に持っていたワインを見せた。
真っ赤なリボンが巻かれてあり、一目で高級なワインだと分かる銘柄だった。
「あ、ああ、ありがとう。どうぞ」
ワインだけ受け取って帰すわけにもいかず、三枝は留美子を部屋の中に招き入れた。
「お邪魔します。お忙しいだろうに突然、ごめんなさい。すぐ帰りますから。一杯だけワインで乾杯だけしてもいい?」
と留美子は言いながらソファに腰をかけた。
真っ白い革張りのソファだ。
この部屋の中も物、全てが洗練されて素晴らしく高価な物ばかりだった。
いくらキャバクラで稼いでも、一生手に入れることのできないような物ばかりだった。
「もちろんだよ」
三枝は棚からワイングラスを二つ選んで取り上げた。
引き出しからオープナーを出して、ワインの栓を抜いた。
留美子は三枝がワインを二つのグラスに注ぐのを見ていた。
手には黒い薬包を握りしめていた。
三枝がグラスにワインを注ぎ終えるのを待ってから、留美子は少し咳き込んでみせた。
「ご、ごめんなさい……あの、お水を一杯もらえますか?」
「ああ、いいよ」
三枝は何を疑うでもなく、留美子に背を向けキッチンの方へと行った。
留美子はその隙に三枝の方のグラスに薬毒を混入した。
黒い薬包の中身はさっとワイングラスの中に落下して、すっと溶けた。
中身を混ぜる必要もなくすっと消えて溶け何の痕跡も残さなかったので、留美子は安堵した。
戻ってきた三枝と乾杯と言って、グラスを合わせる。
チンとグラスの音がした。
グラスのワインを飲み干したのを見届けてから留美子は、三枝の方へ身を寄せた。
「最後に一度でいいの、抱いてくれませんか? 三枝さんが結婚しても。これを思い出に生きていけるからぁ」
と留美子はしおらしく言った。目にはうっすら涙すら浮かべている。
もちろん三枝は結婚が決まったからといって、婚約者に貞操を誓うような男ではなかった。この先も言い寄ってくる女はごまんというだろうし、遊びを控えるつもりもなかった。
面倒くさい事を言う女は金でどうとでもなるからだ。
どうせ、どの女も金が目当てなのだから。
それまでも金で贅沢をさせてあるので感謝こそすれ、自分を恨む女がいるなどと思ってもいなかった。
女子大生、キャリアウーマン、モデル、女優、あらゆる職業の女と付き合ってみたが、最後は資産家で良家の娘、学歴もあり職業は女子アナという女を選んだ。
留美子というキャバ嬢の事はあまり覚えてもいなかった。
恋人にしたという気もなく、何度が遊んだだけの女という認識しかなかった。
覚えてないが自宅にも連れてきたことがあったらしく、留美子がマンションへ来たのは面倒くさいとしか感じなかった。
留美子は他の住人に紛れて入り込んだらしく、ピンポンと直接玄関のドアフォンが鳴った。恋人の穂乃香が来たのだと思い、うかつにドアを開けたのが間違いだった。
ドアを開けた先で留美子は笑顔で立っていた。
「三枝さん、御結婚するんですってね。おめでとうございます」
と留美子が満面の笑顔で言ったので、三枝は面食らいながらも、
「留美子ちゃん、ありがとう」
と答えた。
「お祝いをさせていただいても?」
と留美子は手に持っていたワインを見せた。
真っ赤なリボンが巻かれてあり、一目で高級なワインだと分かる銘柄だった。
「あ、ああ、ありがとう。どうぞ」
ワインだけ受け取って帰すわけにもいかず、三枝は留美子を部屋の中に招き入れた。
「お邪魔します。お忙しいだろうに突然、ごめんなさい。すぐ帰りますから。一杯だけワインで乾杯だけしてもいい?」
と留美子は言いながらソファに腰をかけた。
真っ白い革張りのソファだ。
この部屋の中も物、全てが洗練されて素晴らしく高価な物ばかりだった。
いくらキャバクラで稼いでも、一生手に入れることのできないような物ばかりだった。
「もちろんだよ」
三枝は棚からワイングラスを二つ選んで取り上げた。
引き出しからオープナーを出して、ワインの栓を抜いた。
留美子は三枝がワインを二つのグラスに注ぐのを見ていた。
手には黒い薬包を握りしめていた。
三枝がグラスにワインを注ぎ終えるのを待ってから、留美子は少し咳き込んでみせた。
「ご、ごめんなさい……あの、お水を一杯もらえますか?」
「ああ、いいよ」
三枝は何を疑うでもなく、留美子に背を向けキッチンの方へと行った。
留美子はその隙に三枝の方のグラスに薬毒を混入した。
黒い薬包の中身はさっとワイングラスの中に落下して、すっと溶けた。
中身を混ぜる必要もなくすっと消えて溶け何の痕跡も残さなかったので、留美子は安堵した。
戻ってきた三枝と乾杯と言って、グラスを合わせる。
チンとグラスの音がした。
グラスのワインを飲み干したのを見届けてから留美子は、三枝の方へ身を寄せた。
「最後に一度でいいの、抱いてくれませんか? 三枝さんが結婚しても。これを思い出に生きていけるからぁ」
と留美子はしおらしく言った。目にはうっすら涙すら浮かべている。
もちろん三枝は結婚が決まったからといって、婚約者に貞操を誓うような男ではなかった。この先も言い寄ってくる女はごまんというだろうし、遊びを控えるつもりもなかった。
面倒くさい事を言う女は金でどうとでもなるからだ。
どうせ、どの女も金が目当てなのだから。
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