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六章 探求の魔女アンタレス
135.孤独の魔女と日常の一転
しおりを挟む冬の長期休暇が明け 、本格的に雪が降りしきるシーズンが過ぎた頃、エリス達の学業も再開される、されど冬が明けたわけではないので寒い事に変わりはないのでエリス達は学生服の上から厚着をして家を出る事になる
今回の長期休暇は何事もなく過ごすことができた、まぁ色々あったにはあったが、大事件と言えるほどの何かは何もなかった
…精々あったと言えばエリス達の下着が盗まれた事か、辛うじてメルクさんのだけ取り返すことが出来たが、エリス達のは既にドルトンという男に売り払われていたという
一応そのあとメルクさんの部下であるシオさんに捜索してもらいドルトンに詰め寄ったところ既に別の人間の手元に渡っていたらしく、その人間もまた別の人間へ…とキリがないほどあちこちに渡っていたので捜索は打ち切りとなった
というかしてもらった、シオさんは別にエリスのパンツを追いかけ回すためにこの国にいるわけじゃない、エリスの下着よりも彼にはアルカナの捜索をしてもらった方が良いからだ
その後メルクさん達と服を買いに行ったからエリスはいいんだ、でもこの国に来てエリス 衣服を奪われてばかりだ、エリスが何したって言うんですか
「あうぅー!、寒いぃ~凍っちゃうよー!」
「流石にまだ寒いですね、早く春になると良いのですが」
「しかし四季とは面白いものだな…、アジメク組は四季などに感度はしないかもしれないが、いつも気候が安定しているデルセクトから見れば 雪が降ってるだけで感動モノだ」
「俺も俺も、まぁ俺は寒いの苦手だからとっとと暖かくなってくれる事越したことはないけどな」
冷える空気に身を震わせながらエリス達は四人揃って登校する、冬初見勢のメルクさん達からすれば雪や寒波は面白いものかもしれないが、それも今年までだ 来年からは普通に寒さに凍える事になろう
ああ、寒い寒いとエリスはラグナから贈ってもらった赤い毛糸の手袋に包まれたで両手を握る、これのおかげで幾分寒さは防がれる…
というか、寒い寒いと言いつつこうやってラグナからの贈り物を大義名分の元身につけられるこの状況を少し楽しんでいるのは内緒だ
「……じーーーっ」
「ん?、どうした?デティ」
「どうしました?デティ、そんなジッと見て」
ふと気がつくとデティがエリス…、いやエリスと手袋とラグナのマフラーをジッと見ていた、何やら…こう 勘繰るようなジト目だ、な なんだろう
「そんな防寒具前まで持ってなかったよね、しかもお揃いの色…いいなー」
「へっ!?あ いや…お揃いというか、何というが」
お揃い と言われると照れてしまうが、その通りだ ラグナがエリスの贈ったマフラーに合わせた色の手袋を贈ってくれたんだ、でも何故かそれを問い詰められると照れてしまう
「いいなぁ、温かそうだなぁ …エリスちゃん!後で私にも貸して!」
「え…その、…ダメです」
「えぇ!?」
ガガーンとショックを受けるデティには悪いが、これはエリスがラグナに贈ってもらったモノだから 、もうちょっとエリスだけの物にしておきたい、意地汚いかもしれないが これはちょっと特別なんだ
デティは親友だが、だとしてもだ
「そっかぁ…ふふふ、寒いなぁ」
「す すみませんデティ!、あ あの…その…」
「…えへへ、ごめんね?実は貸して貰えないのはなんとなくわかってたんだぁ?、エリスちゃんがその手袋身につけるといつもポカポカした顔してたからちょっと揶揄っただけぇ、ラグナから贈ってもらった物だもんねぇ~?」
にししぃとエリスを揶揄うように笑うデティ、なんだ 揶揄っただけか、全くもう デティに落ち込まれたり悲しまれたりすると冗談でもすごく辛いんですからね、ラグナは大切だが 当然のことながらデティだって物凄く大切な存在なんだから
「…学園が終わったら一緒に買いに行きましょう?デティの防寒具を」
「うん!、えへへ 」
覚えていなさいデティ、エリスを揶揄った罪は重いですよ?、マフラーと手袋とニット帽とジャンバーで全身モコモコにしてあげますからね、きっと可愛いことでしょう
デティが嫌がってももう死ぬほど可愛がってあげますから
「仲がいいなぁ二人は」
「仕方ないさ、二人とも同じ歳だからな、年寄りは寒風に吹かれようじゃないかラグナ」
「そうだなー」
「もう!、二人もエリスを揶揄おうとしてますね!、二人とも歳はそんなに変わらないじゃないですか!」
もう、二人とも年寄りって そんな変わる歳でもあるまいに…、エリスの怒った顔を見て笑うメルクさんとラグナ そんなにエリスを揶揄うと楽しいですか?、もう…
「ははは……歳か、そういや他の魔女の弟子の年齢はいくつくらいなんだ?」
ふと、ラグナが問うてくる エリス達以外の弟子の年齢を…年齢か、今のところ出会った弟子は年齢はまちまちと言えどみんな基本的には同年代だ
エリスとデティは同じ13歳 ラグナは15歳 メルクさんは18歳、メルクさんだけ頭一つ飛び抜けているから偶に姉妹に間違えられる、デティに至っては親子に間違えられるくらいだ
「確かアマルトはラグナの一個上だったはずですよ」
「えっ!?アイツ俺と一個違いなの!?、てっきりメルクさんくらいあると思ってたよ、背も高かったし、大人びてたし」
どっかで聞いた話だがアマルトの年齢は16、あの大人びた雰囲気と捻くれた態度 そしてラグナさえ上回る高背からは想像出来ない年齢だが、彼もまだ立派な若人なのだ、最初エリスもびっくりしたよ
「で、夢見の魔女リゲル様の弟子 ネレイドさんも確か…エリスの三個上だから大体16くらいだと思いますよ、詳しい年齢は会ったことないので分かりませんが」
確かエリスが7歳の時に10歳だったから、年齢的にはそのくらいだろう、エリス達の中で誰よりも早く魔女に弟子入りした 謂わば最初の魔女の弟子…聞こえてくる噂はチラホラとしたものだが その何れもが化け物のようなものばかりだ
曰く、魔術を使わず山賊のアジトを一人で壊滅したとか
曰く、その膂力は大理石の大柱を一人で持ち上げ一人で叩き割る程だとか
曰く、槍の一振りで大館を倒壊させたとか
曰く、齢を15過ぎた辺りで既に天井に頭をぶつけるほどの巨体を持つとか
その二つ名は闘神将、既に強さは教国オライオン最強クラス…つまり魔女大国最高戦力に名を連ねているほどだと、何故か魔術を使った逸話は聞こえてこないが それでも強いことに変わりはない、まだ見ぬライバルだ
「何!?ということはあれか…ネレイドもアマルトも年下ということは、私が魔女の弟子で最年長ということか!?」
「そういうことになりますね、メルクさん」
「そうか…私が一番お姉さんか、しっかりしないとな」
メルクさんが何やらブツブツ呟いているが、そんなこと言ったらエリスはこの中で一番年下だ、一応デティと同じ歳で 生まれはデティの方が後なので彼女が末っ子ということになるが
「ネレイドにアマルト…そしてまだ見ぬ二人の弟子か、全員揃う日はいつになることやら」
なんてラグナが頭の後ろで手を組むと、…ふと 何かに気がつく 遅れてエリスも
何か来る、正面からこちらに向かって走ってくる影がある、フォームは崩れていてもうスタミナが切れていることがわかる、かなり無理して それでも進まねばとバテバテになりながら走る女…
女だ…それもかなりの美人、いや というか、あの顔見たこと…ああ!
「ら ラグナ!あの人!」
「おう、…そう警戒しなくてもいいだろ」
「なんでですか!?だってあの人…」
そう、なんたって走ってきたのは…、エリス達の敵にしてエリスもメルクさんも酷い目を見せられた怨敵…、一応話は付け足し彼女を庇いもしたが苦手なものは苦手で…って、話が逸れた
そう、走ってきたのは
「デティフローア様~~!!」
「カリストぉ!?なんで様付けぇ!?」
「カリストだと!?」
走ってくる、途中滑って転がりながらもそのまま回転しデティの足元に縋り付く 、カリストだ あのカリスト・ケプラーが恍惚の笑みを浮かべながらデティに引っ付いている
カリストと言えば自らの魔術で作ったハーレムを引き連れる学園の女主人、それが今日は一人のハーレムも連れず いつものような派手な格好もせず、慎ましやかな制服姿をしている
…いつもと違う、でも エリスとメルクさんにとっては苦手な相手であることに変わりはない
「何をしに来たカリスト…!」
「あら親衛隊長、そんな怖い顔しないで 私はもうあなたの敵ではないわ」
「ぶっ飛ばすぞ貴様っ!…、何?敵ではないだと?」
「ええ、聞いてない?私ノーブルズの中でも結構権限剥奪されちゃって、今じゃ木っ端なノーブルズと変わらないくらいの権力しかないの、だからもう学園じゃ好き勝手できないのよ」
戦う権利も戦う気もないと カリストはあっけらかんと言いながらデティに擦り寄る、そう言えばガニメデと同じでカリストもまた アマルトによりその権限の大部分を剥奪されたと聞いた
剥奪理由は、いわゆる謀反を企てた事…カリストはエリス達を使いこの国を支配しようとしていたらしい、危うくエリス達は彼女の野望に付き合わされるところだったのだ
「それにね、もう例の魅了の呪いも使えないから 女の子を振り向かせる事も出来ない…、今じゃ私についてくる子なんて一人もいないから安心して、私はもうあなた達の敵になり得ないし ならないから」
「…じゃあ何をしに来たんですか?」
「決まってるでしょ、私のデティフローア様のお荷物を持ちに来たのよ!ささ!デティフローア様 お鞄お持ちしますわ!!」
「そこでなんで私なのー!?」
カリストはデティの前に跪くと鞄を持ちははぁと頭を下げる、まるでカリストの親衛隊のようだ、…何があったんだ
「デティ…何したんですか?カリストに」
「知らないよぉ!こっちが聞きたいよぉ!」
「デティフローア様は私の命を救い 真なる私を目覚めさせてくださったのです、私は人を従えるより誰かに従う方が性に合ってたんですよ!」
「じゃあイオかアマルトに従ってよぉ!!」
「いやですアイツら、イオはアマルトの事しか見てないし、アマルトは何も見てないし、私は従う私を見て欲しいんです、承認欲求ですはい」
「タチ悪いよぉ!」
デティフローア様ぁ!と擦り寄る彼女を見てると、なんか毒気が抜かれる…警戒してる自分がバカバカしくなる、…なんでこうなったかはよくわかんないけど カリストはどうやらデティに惚れ込んだようだ
…すると困り果てるデティを放って、エリスとラグナとメルクさんは三人で顔を寄せ合い 声を潜める
「…おいラグナ、どう思う?カリストはデティに取り入って我々に鞍替えしようとしてるんじゃないか?」
「ノーブルズに捨てられたから今度はエリス達にって事ですかね、放っておいてもいいんでしょうか、今すぐ引き剥がした方が?」
「いやいいよ、鞍替えするつもりならそうさせておけよ、ここで無理に引き剥がしてまたノーブルズ側の戦力になられても困る、こっちにつきたいならつかせておけばいいさ」
「デティも嫌がってません?」
「アイツも本気で嫌なら全力で拒絶してるだろ、その辺のことはデティに任せよう」
そうは言いますけど…、いや 確かにデティは嫌がっているというより困惑しているよう
だ
彼女が本気でカリストを拒絶するならそもそも近づかせてもいないはずだし、…まぁ カリストもまたデティに懐いているならそれでいいか
「デティフローア様 私の背中にお乗りください」
「嫌だよぉ!、鞄持たせてあげるからそれで我慢して!」
「ははぁ、畏まりました」
…それに、これはエリスの思い込みかもしれないが、カリストはエリス達に取り入ってまた返り咲こうとか、そう言うことは考えてない気がする
それは彼女の態度があまりにも真摯…ではないが、邪な何かを感じないからだ、もし邪なそれが感じられればエリスも分かるし 何よりデティには筒抜けだ、放っておいてもいいだろう…デティに悪いが
「おい、カリスト」
「ん?、何かしら?ラグナ…私男は嫌いだけど貴方には庇ってもらった恩があるものね、一応貴方にも従ってあげる」
「サンキュー、…でさ 聞きたいことがあるんだけど、ちょっといいか?」
「ノーブルズの事かしら?、まぁ 私も元は敵側…私の知り得る物でよければなんでも話すわ」
デティの鞄を持ちながらカリストはラグナの質問に答える、カリストはノーブルズ しかもその中核にいた人間、ならばその内部事情にも詳しいだろう、その話は聞いておかねばならない
せっかくデティに懐いているんならそこも利用する、彼女の真摯さを使うようで悪いが…
「そうか、じゃあ聞かせてくれ ノーブルズの内情をさ?」
「……そうね、もう隠してやるほどの義理もないしね」
すると、カリストはやや考えてからノーブルズの現状を分かる限り話してくれた
まずカリストが先導していたノーブルズの木っ端なメンバー達はカリストの敗北後かなり萎縮したらしい、ガニメデもカリストもエリス達に手を出し敗れ その結果権限を剥奪された
もし自分達も半端に手を出してエリス達に敗れた結果 この権限を剥奪されるのはまずいと思ったのだろう、皆エリス達への抵抗姿勢は保ったままだが 前のように全力で命を狙うことはないだろうとのこと
ノーブルズの力を司るガニメデと権威を司るカリストが陥落したのはかなり大きい、ノーブルズは大人しくなり エリス達の学園生活には平和が約束されたと言ってもいいとカリストは言う
…はっきり言えば、ここで引いてもいい エリス達はノーブルズを木っ端微塵に粉砕したいわけじゃない、学園生活を平和にするだけなら ここで手を引くべきだが…、エリス達の狙いはもうアマルトにある
彼が動かねばエリス達は引き切ることは出来ない…
「アマルトは動かないのか?」
「動かないでしょうね、何を考えているか分からないから…でも今のままじゃ動かないのは確かよ、寧ろ 今のノーブルズの尻を叩いて動きを活発化させ、この対立を激化させる可能性もある、完全に戦いが終わったと思わないことね」
「どこまでも俺達を狙うか、まぁ その方がこっちにも都合がいい…で?次の一手はどう動く?」
「知らないわよそんなの、…でも順当に行けば次はエウロパが動くんじゃないないかしら」
「エウロパ…」
キュッとラグナが眉を尖らせる、一見真面目な顔に見えるがあれは物事を思い出してる時の顔だ、さては覚えてないな…
なんて思ってるうちにラグナの視線がこちらを向く、お前は覚えてるか?と問うように、勿論ながら覚えてますよ
「エウロパ・ガリレイ この国の法務を司るガリレイ家の御息女で、いつも可愛い女の子の人形を抱きしめてる子ですよね」
「ああ、あの陰気臭…じゃなくて ちょっと怪しげな女の子か」
ガニメデ カリスト イオに並ぶノーブルズの中核を成すメンバーの一人、入学式の際話しかけたら牢に打ち込むとまで言っていた恐ろしい子だが…
はっきり言おう、それくらいしか知らない と言うのもあの子、ガニメデやカリストと違い学園内をうろついていないのだ、普段どこで何をしているどんな人なのか、エリスは全く知らないし 噂の一つも聞こえてこない
そんな子が積極的にエリス達に攻撃を仕掛けてくると言われても、いまいち現実味がないな
「ま、エウロパが相手ならあんまり心配することはないんじゃないかしら?、あの子私達ノーブルズの中でも一番弱い子だもの、実力的にも権力的にも 人間的にもね」
「はあ?、順当に行けばカリストより強いんじゃないのか?」
「なんで弱い順にあんた達に挑まなきゃならないのよ、エウロパはね 弱いからこの期に及んであんた達に手を出してなかったの、エウロパは魔術が得意じゃないし 腕っ節もてんでないわ、オマケに下部組織も持たないし はっきり言えば相手するまでもないわ」
酷い言い様だな、本当に同じノーブルズだったのかこの人達…、いや ノーブルズという括りに入れられていただけで、友達ってわけじゃないのかもな、…だとするとちょっと悲しい関係な気もするが
カリストはエウロパが如何に弱いかを連呼する、授業の成績も悪いし 要領も良くない 人当たりは悪いし 髪はガサガサ とかとか、…しかし
「エウロパは弱いわ、でもね…」
「…?、でも?」
「アマルトは、私達ノーブルズの中で最も呪術の才能があるのはエウロパだとも語っていた、結局エウロパがどんな呪術を使うかは分からないけれど…、気をつけなさい? 奴の影響力は私以上と見ていいわ」
魔術の才能はないが 古式呪術の才能はピカイチ、その違いは分からないが 少なくともエウロパはカリストの魅了以上の何かを使うと見ていい、…厳しいな あの魅了にはエリスも逆らえなかった、あれ以上のものを使われるとエリス達はまた窮地に追い込まれるかもしれない
…やはり厳しい戦いに変わりはない、そうエリスも メルクさんもデティも戦慄している、ただ一人を除いて
「ははは、やっぱ強いんじゃねぇか…面白い、今度はどんな呪術を見せてくれるんだろうな、楽しみだよ」
笑ってる、相変わらず彼は笑ってる さぁて次の相手はどんな奴だ?と、ガニメデやカリストとの戦いもそこそこやばかったはずなんだけどなぁ、頼もしい反面 こういう所はエリスにはあんまり理解できない
「だいぶやばい奴ねこいつ、なんでみんなこんな戦闘狂に従ってるの??」
「頼りになるからだ、それに尽きるさ」
「ふーん、あ…そうだ、親衛隊長」
「その名で呼ぶなと言っているだろう!」
カリストの物言いにキレるメルクさん、まさかこの人まだエリス達のこと親衛隊長と副隊長として見てるんじゃないだろうな、飽くまで従うのは助けてくれたラグナとデティだけと?…釈然としない
「わかったわ、…ねぇ?メルクリウス 貴方一つ聞きたいことがあるんだけど」
「私にか?」
「ええ、貴方…『ミノス』という名に覚えは?」
「何?…」
ミノス これは聞いたことがないぞ、メルクさんに態々聞く ということは彼女に縁深い人間のようだが、…とチラリとメルクさんの顔を見ると 難しい顔だ、多分聞き覚えがあるような 無いような、そんな顔をしている
…あ、メルクさんと目があった 、え?エリスに覚えがないか聞きたいの?、いやいや知りませんよそんな名前、流石に会ったこともない人間のことは何も知りません
そう首を振ると、メルクさんも軽く息を吐き
「いやすまん、聞いたことがあるかないかも…よく分からん」
「そう、いや 聞いただけだから気にしないで」
「そう言われると気になるぞ、なんだ?何故それを今聞いた?」
「さぁ?、私にも分かんないわ」
なんじゃそれ、そうエリスと同じタイミングでメルクさんも顔を歪める、じゃあなんで聞いたんだよ
なんて話をしている間に、エリス達の足は学園の校門へとたどり着く、収穫があったような無いような、他愛もないと言えば何もない会話は終わりを告げる
「じゃ、私はここで…デティフローア様!また後でぇ~!チュッ!」
「投げキッスをするなぁー!」
シャシャシャッ!と立ち去るカリストの置いていった投げキッスを手で振り払う、相変わらず身動き一つとっても綺麗な人だ、もう呪いは使えないといっていたが それ抜きにしてもあの人は美しい
また親衛隊になってしまいそうだ、メルクさんに言ったらど突かれそうだけど
「……ミノス?…」
対するメルクさんは何やら訝しげな顔をしていた、エリスはその名前を知らないから こればかりはメルクさんの記憶に任せるしかないな
…まぁいいや、エリスに出来ることが無いなら 気にするだけ疲れるだけだ、助けを求められたら力になろう、エリスに出来るのはそれくらいだ
……………………………………………………………………
冬が明け 年が明け、始まる授業 どれだけ時が経とうとも、季節が変わり年が変わろうとも、授業はいつも変わらない
授業を受け始めた頃は新鮮なことも多かったが、授業が進み専門的になる程にその新鮮味は失せていく
何故か?、今授業で習っている事はエリスが師匠から随分前に習っていた事だからだ、それも基礎として最初の方に習った事だ
師匠は何気なしにエリスに教えていたみたいだけど、その教育はこの世界における常識的とも言える基礎を飛ばしての物だったらしい、エリスも識の才能がなければついていけなかっただろうな…
「であるからして、魔術はその持ち得る属性によって多く区分化されており、その属性の数は既に百を超えており 今もなお新たな属性が発見されているのです」
今は魔術の属性の話だ、ちなみに今壇上に立って授業をしているのはデティだ、この魔術属性学を教えるはずのタラント先生は何故かデティの席に座ってデティの講義を聞いている
何故こうなったかは分からない、いつの間にかこうなっていた…確かデティが先生の間違いを訂正して 訂正しているうちにデティが先生の立場を奪い 先生がデティの…生徒の椅子に押し込められたのだ
それでいいのかタラント先生…
「地水火風の基本属性、重力 斥力 引力などの力学属性、精神に作用する心学属性 肉体に作用する人体属性、属性一つ一つあげればキリがありませんし 今なお新たな属性が発見されています」
魔術において属性とは切っても切れない程密接なものだ、どんな魔術にも属性がある 一見すればなんの属性も持たないものにも無理矢理属性が付与されてるんだ
例えばエリスの使う火や風は基本属性、四大元素に関係しない光や雷は副基本属性、または自然界に存在するものを操るものは『自然属性』なんて呼ばれ方もするらしい
ヘッドの使う磁気魔術は、磁力を操るので力学属性メルカバの使う魔術は肉体に作用するので人体属性
ヨッドの使った透明魔術も肉体に作用するので人体属性だが、本当に人体に作用してるのか?、と思うものでも 魔術導皇が『人体属性です!』と発表すれば人体属性になる
属性なんてのは言ってしまえばただのラベリングだ、区分されたからと言って意味はあまり無い
因みにラグナの付与魔術は少し面白い区分のされ方をしており、例えば『粉砕属性付与』を武器に対して付与した場合『物質強化属性』 肉体に付与したら『人体属性』になる、同じ魔術でも使い方で属性が変わってしまうのだ、そのくらい曖昧なものなんだ
たとえ曖昧でも 別ける という事は大切な事なんだろう
「人間にはそれぞれ得意とする属性があります、才能とでも言いましょうか 火属性が得意な人間は火炎魔術の扱いに長けるのです、得意属性を多く持つ人間を俗に天才と言います」
「先生ー!質問でーす!」
すると一人の生徒がデティの話を遮って手をあげる、いや先生って…タラント先生も最早なんの反応もしないし
「はい、先生ではありませんが質問は受け付けます、どうぞ」
「得意な属性を持たない人間とかっているんですか?」
「いい質問ですね、得意な属性を持たない人間ですか…、稀に どんな属性を使っても人並みに出来ない人がいることがあります、世間では得意属性を持たない 魔術の才能がない、なんて呼ばれることもありますね」
当然のことながら 得意な人間もいれば不得意な人間がいるのが世界だ、才能なんて曖昧なものだが デリケートな問題でもある
自分は目指す分野について才能があるのか 無いのか、誰だって恐れる事だ、事実デティの話を聞いて何人かの人間が慄く
「じゃあ、魔術師を目指していても 得意属性がなければ…」
「そんなの悲惨じゃ無いか…」
「もしかしたら私 どの属性も得意じゃ無いかも」
「まだ私の話は終わってませんよ、確かにどの属性も上手く出来ない人はいます、ですけどそれは『今発見されている属性の中で』得意なものがないだけ、もしかしたらまだ発見されてない属性に得意なものがあるかもしれない 、属性は今あるものが全てじゃない、だから 才能がないということもまたないんです 人には無限の可能性と才能がありますから!」
バンッ!と壇を叩き ババンッ!と両手を広げ バーンッ!とドヤ顔を晒せばバーッ!と拍手喝采、感動しましたデティ先生と 僕達諦めず魔の道を邁進しますと感動のままスタンディングオベーション
エリスの隣でタラント先生も立ち上がり手を叩いている、…いうほど感動的か?みんな雰囲気に騙されてない?
…しかし、得意な属性か エリスの得意な属性ってなんなんだろう
識は…まぁ、一応除外するとして 多分エリスが得意とする属性は風と雷だ、使う分には他の属性も不自由なく使えるが、風と雷だけ使った時の感触が違う
なんというか…こう、『そうそうこれこれ!』って感じで体がざわつき、いつもよりも勢いが乗るんだ だから咄嗟の場面では風や雷を多用してしまう、対する火や水はそういう感覚はない
ああ…そういえば土や岩、土属性の魔術は多分苦手なんだろうな …色々土属性の魔術は会得しているけど、なんか使おうって発想が湧かないし 使ってもしっくりこない
「ほぇー、デティって本当に凄いやつなんだな」
「凄い子だよデティは、見た目に騙されてはいかんさ」
壇上で拍手の雨を浴びるデティを見てラグナやメルクさんがボヤく
ラグナの得意属性はなんだろう、多分肉体強化の人体属性か?よく分からん、彼は魔術に頼らずとも普通に強いから
メルクさんは…分からない、錬金術でもいろんな属性を満遍なく使ってるし、何が得意なのかよく分からないな
「どうどう、みんな静粛に 私は先生ではアリマセーン!」
なんて鼻高々に語るデティ、多分 あの子の得意属性は全てだ…あらゆる属性を満遍なく得意として扱える、まさしく万能の天才といえる
凄い子なんだな…ほんとに
「…ん?」
ふと、教室の隅の方 生徒の群れの最後方の列に座る生徒に目が行く
「………………」
その生徒は、机に足を乗せ デティの話を聞く素振りも見せず退屈そうに天井を眺めている、いや 退屈なのではなく 『真面目に受ける気はありません』というポーズを態とらしく取っているとも見える、しかも一人ではない そんな不真面目な生徒が二、三人もいる
「おい、エリス…あんな生徒いたか?」
するとラグナがエリスに顔を寄せ聞いてくる、あんな生徒がいたか?と?…まぁエリスは魔術科の人間全員把握しているからな、当然ながらこの授業に参加している人間のことも知り得ている
…結論から言えば
「前からいましたよ」
「え?、いたか?あんなの」
「居るには居ました、けど…前はあんなことする人じゃなかったんですけどね」
居るには居た、居たには居たけど感じが違う…昔はもっと周りの目を気にしてオドオドしたような生徒で、罷り間違っても机に足を乗せてペンを鼻と口の間に乗せるような人間じゃなかったはずだけど
もしかして生徒であるデティが授業をしてるから?まぁそれなら反発する気持ちもわからないでもないが、あれはあれで一応授業の一部だ その授業の一部を全く聞かないってのもまぁ…
「では皆さん次のページを開いてください、次はそれぞれの属性が発見された経緯と万物四大元素構成説についてお話しします…そこ!真面目に聞く!」
「ひゃひ!?」
「え!?俺!?」
すると、デティから注意が飛んでくる エリス達にだ、どうやらデティからでは後ろの生徒の様子が見えないようだが、でも…でもまぁエリス達も真面目に授業聞いてなかったけどさ
デティ、あなたもう完全に先生スイッチ入ってしまってるんですね…友達に怒られると、なんだとても恥ずかしい、真面目に聞こう
「…ふぁ~」
「…………」
チラリと先程の不真面目な生徒を見ると、相変わらず不真面目に欠伸をしている…なんだあの態度は
ただ 失礼な態度だからというだけじゃない、なんだかとてもショックで…胸に突き刺さるような、そんな光景だ
なんなんだよ ほんと、もう……
……………………………………………………
太陽が動き 傾き、空が赫らむ 一日勉強という研鑽を積み エリス達はまた明日の授業に備えて家に帰るのだ、毎日がこれの繰り返し 退屈に思うかもしれないが、学園とはそういうものだ 積み重ねるとは得てしてそういうものなんだ
「ふぅ…」
赫らむ空を教室の窓から眺めて エリスは今日もまた帰りの支度を始める
「はぁー!疲れたー!、椅子に座ってるだけでも疲れるねぇー!」
「頭使ってるからな、そういうときは甘いもん食って脳みそ労うのが一番だよ」
「では帰りに何か甘いものでも買って帰るか?、何 少しくらいならば間食もよかろう」
夕焼けで赤くなった教室の中エリス達は四人で話し込む、いつもはみんな授業が終わると一旦別れて適当にぶらついてから帰るのだが、今日は珍しく四人揃っている
たまには四人で帰るのもいいだろうな、…ふふふ やっぱり四人でいるのは楽しいなぁ
「んじゃ、そうと決まればとっとと帰るか……ん?」
そう ラグナがエリス達を仕切るように立ち上がった瞬間、彼の顔つきが変わる 眉間にしわを寄せ…、はたと教室の入り口の方を見る
「どうしました?ラグナ」
「…何かくる、鎧を着た奴らが」
「え?…」
ラグナの言葉を受けエリスも直ぐに教室の入り口へ目を向けた瞬間…、示しを合わせたようにその扉が勢いよく開かれる
「な 何ですか…!」
扉の向こうにいたのは、ラグナの言う通り 鎧に身を包んだ人間達が数名、ズラリと並んでいた、その異様かつ剣呑な空気に エリス達は咄嗟に身構える
「お前がエリスだな」
「え?…ええ」
「エリス、下がってろ」
ラグナがエリスの腕を掴みその背に隠す、なんだ こいつらエリスが狙いなのか?、恨まれる覚えはないといえば嘘になるが、なんだってエリスを
そんなエリスの戦慄を他所にラグナは牙を剥き、警戒する
「おいお前ら、ここ何処か分かってんのか?、そんな剣呑なモン着込んできていい場所じゃないぞ?」
「分かっている、教師や理事長からは許可を得ている、…囲め!」
その号令と共に全身鎧の騎士達は一糸乱れぬ動きでエリス達を取り囲む、足取りで分かる こいつら 手練れだ、かなりの訓練された戦士達だ…全身を重厚な鎧で身に纏い、立派な剣を携えた騎士、それが数にして凡そ三十
かなりの数だ…
「ハッ、この程度の人数で俺達に喧嘩売ろうってか? ナメられたもんだぜ」
「ら ラグナ、やるの?ここで?」
「デティ、君も下がっていろ…こいつらやる気だ」
ラグナとメルクさんがエリスとデティを守るように前に立つ、メルクさんの言う通り 彼らやる気だ、その佇まいに隙がない…いや、いややる気なのには変わりはないがなんだ?これ?
言葉にするならまるで敵意はあるが戦意はない、そんなチグハグな印象を受けて、と言うかこいつらの鎧 見覚えがある、…ああ!思い出した!こいつら確か!
「お前ら何者だ」
「我々はコペルニクス 王家に使えるコルスコルピ騎士団の団員だ、ラグナ大王 君達に用はないそこを退きなさい」
こいつらコルスコルピ騎士団だ タリアテッレさんの部下だ!、悪漢や輩ではない 立派な正当な騎士団だ、それがガチャリと鎧を動かしてこちらに寄ってくる
し しかしなんで騎士団がエリスを!?それこそ覚えが…
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