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 休みも明け、今日は月曜日。憂鬱な一週間の始まりだ。今日もいつも通りに学校に向かう。あくまで俺達のいつも通りであって、他の人のいつも通りではない。例え両手が美人双子によって塞がっていても、いつも通りなのだ。

「そういえば悠くん、あれからエレナちゃんからなんかコンタクトあった?」

「そういえば何も無いな。考え直したんじゃないのか?」

「いえ、彼女はそんなタイプじゃないわ。きっと何かしてくるわ」

「そうかねぇ?」

「ほら、噂をすれば彼女よ」

 あ、ホントだ。目の前からエレナが向かってくる。

「おはようございます。悠聖さんに紗雪さん雪花さん」

「あぁ、おはよう」

「おっはよー!」

「──おはよう」

「えーと、いつもそんな感じで登校してるんですか?」

「いや、金曜日から」

「なんかすごいですね?ワタシの入る隙間がないです。あ、背中とか?」

「もう諦めてるから……。あとさすがに追加は勘弁して。すでに周りの視線が痛いから」

「は、はい。ところでお休みは何をしてすごしてたんですか?土曜日に一度連絡を取ろうとしたのですが、繋がらなくて……」

「繋がらなかったんなら、ちょうど俺が機種変してる時だったんじゃないかな?」

「機種変?」

「あぁ、ほら先週エレナさんも俺のスマート古いって言ってただろ?充電も1日もたなくなってきたからな。丁度いい機会だと思って変えてきたんだ」

「それにしても……そうだったんですか。ちゃんと引き継ぎはしましたか?」

 なんだ?母さんみたいな事言うんだな?

「ゲームと電話帳くらいかな。あとは特に使ってないし」

「なるほど……それでですか」

 声ちっちゃ!

「ん?なんだって?」

「あ、いえ、なんでもないですよ」

「ちなみに前のスマホはどうしたんですか?」

「ん?引き取って貰ったけど?なんで?」

「いえ、欲しかったなぁって思いまして。悠聖さんがずっと持ってたものですから」

 ……ちょっと怖いんだけど

「いや、ほら、引き取って貰えばちょっと値引きしてもらえるからさ」

 嘘です。

「そうですか。残念です……」

 それっきりエレナは黙ってしまった。なんか様子が変だな。

「わかる~!アタシもちょっと欲しかったもん」

 ……え゛?

「そうね。まぁ私は彼女だから色々持っているけど」

 は?いろいろ?

「せっちゃんずるい!ちなみにどんなの?」

「例えば……」

 おーい、ちょっと俺にも聞かせてくれない?非常に気になるんですけど!?

「す、すごい!羨ましい!」

 だからさぁ、何持ってんだよ!

 そんな事を話しながらやがて学校に着く。エレナはあれから一言も喋らなかったな。前のスマホ貰えないのそんなにショックだったのか?

「橋本さんが来たぞ。今日は三人連れだ」

 教室に入って最初に聞こえてきた声。それがこれだ。橋本さんってなんだよ。あとお前誰だよ。話した記憶ないんだけど。

「ポッぺにチュウの次は同伴登校とはな。もしかして休み中に四人で!?」

 んなわけあるか!複数でなん……て?うん、複数でなんて……うん。その事はちょっと置いておこう。

 ひとまず自分の席につく。隣の藤田がキラキラさした眼でみてくるけどスルー。
 それよりももう片方のとなりのエレナだ。
 なんかさっきよりも顔色が悪い気がする。気のせいか?昼にでも聞いてみるか──。

 とゆうわけで昼。いつもの茶道部部室にヨニン集まった。一応今日は睦月も呼んでみたのだが、コンクール用の絵を選ばなきゃ行けないらしく、残念がっていた。
 ちゃんと、先生をやってることにちょっと驚いたのは秘密だ。
 まぁ、普段が普段だからな。あの甘えん坊め。
 さて、本題だ。エレナはさっきから紗雪に話しかけられても空返事しかしていない。

「なぁ、エレナさん?朝からおかしいけど、どうしたんだ?」

「……えっ?あ、ワタシですか?」

 聞いてないのかよ。

「午前中ずっと上の空だったろ?なんかあったのか?」

「あ、いえ、なんでもないですよ?ちょっと考え事がありまして、そのせいかもしれないですね?」

 そう言ってニコリと笑う。まだ知り合って二日目だからなんとも言えないけど、なんか……なんかなぁ。

 結局、エレナの様子は午後も変わらず、次の日になっても変わらなかった。
 そして水曜日の朝のHRの後の事だ。

「あー、アーレンバリはちょっと職員室きてくれ。鞄も持ってな」

「……はい」

 隣のエレナの顔が青白くなっている。

「おい、大丈夫か?顔色悪いぞ?」

「そうですか?大丈夫ですよ。ちょっと行ってきますね?」

「あ、あぁ」


 その日は、帰りのHRになってもエレナは戻ってこなかった。
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