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はじめましてこんにちは、魔王ですか?
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「そうか。じゃあお言葉に甘えて。けど回復ができたらなんとか脱出するから、君は君の戦いに集中してくれ。足手纏いになって共倒れじゃうかばれないよ」
その心配はないと言おうとしたが二つの理由で言葉を呑み込んだ。
一つ目は言ったところで口で証明するより行動で示した方が早くて確実だからと思ったから。もう一つは説明をしている程、クラッチロウの攻撃は待ってはくれなさそうだったからだ。
話している間、敵であるクラッチロウに背を向けていた。警戒心が強く、ウサギのように臆病なスナイパーだったら敵に背中を絶対に向けることはなかったのだろう。
なりふり構わず剣を振りかざし襲ってくるクラッチロウは覚醒したのか、はたまた怒りによって暴走したのか確かに先程の攻撃より剣圧が上昇しているのがわかる。
ただ、その怒りの初攻撃を背中を向けたままの状態で背に回した剣で防いだのが、怒りに油を注いでしまったようだ。
更なる攻撃を仕掛けてきた。そのスピード、先程よりも早い。
「およそ二十倍?」
「ミゼル様、見えるのですか?」
既に自分の目で追うことが不可能になったクラッチロウの動きを観察できるミゼルに驚きを見せるカイト。
「ミゼル、目で追えるなんて凄いじゃないか!」
てへっとベロを出して照れるミゼル。可愛いぃ。
褒められて照れているミゼルを見ながら少しばかり鼻の下が伸びている状態でも手を緩めず襲ってくるクラッチロウ。
常人の十倍でも凄いのだが、二十倍のスピードとパワーで押し切ってきているのなら余裕のセリフが出てきても良いのだが、無言で襲ってくるところをみるとこれは覚醒というより暴走と捉えた方が正解と思えた。
「さっきまでの意識がある時よりパワーもスピードも段違いだが、そのギアチェンジの速度もかなり上がっている。スピードからパワーに能力を全開に切り替えるときに僅かなロスが出ていたが、今は殆ど無いくらいだ。暴走でギアチェンジがオートにでもなったというのか?」
意識がある状態でも限界の動きを続けていれば身体に負荷がかかり、やがて自滅をする。ただ意識が制御できれば壊れた瞬間にブレーキを掛けれるが、意識が飛んでいる状態だと壊れても負荷をかけ続け、やがて再起不能になる。
「さっさと終わらすか」
転がっているサッカーボール程の氷の破片を拾って、クラッチロウに目掛けて投げる。軽く投げても二百キロ程度の速度が出ていただろうか。今のクラッチロウにしてみれば十キロ程度の感覚だろう。剣で氷の破片を叩き切った瞬間、同時に目の前にまで接近していた俺になす術がなかった。
「生まれながらの能力を恨むことは、俺も賛成だ。人間、平等じゃなくっちゃな」
やったこともない野球のフルスイングをクラッチロウにかました。
「峰打ちで許してやるるよ!」
と言っても日本刀ならまだしも剣に峰の部分が無いので、腹の部分でフルスイングをしたのであった。
その心配はないと言おうとしたが二つの理由で言葉を呑み込んだ。
一つ目は言ったところで口で証明するより行動で示した方が早くて確実だからと思ったから。もう一つは説明をしている程、クラッチロウの攻撃は待ってはくれなさそうだったからだ。
話している間、敵であるクラッチロウに背を向けていた。警戒心が強く、ウサギのように臆病なスナイパーだったら敵に背中を絶対に向けることはなかったのだろう。
なりふり構わず剣を振りかざし襲ってくるクラッチロウは覚醒したのか、はたまた怒りによって暴走したのか確かに先程の攻撃より剣圧が上昇しているのがわかる。
ただ、その怒りの初攻撃を背中を向けたままの状態で背に回した剣で防いだのが、怒りに油を注いでしまったようだ。
更なる攻撃を仕掛けてきた。そのスピード、先程よりも早い。
「およそ二十倍?」
「ミゼル様、見えるのですか?」
既に自分の目で追うことが不可能になったクラッチロウの動きを観察できるミゼルに驚きを見せるカイト。
「ミゼル、目で追えるなんて凄いじゃないか!」
てへっとベロを出して照れるミゼル。可愛いぃ。
褒められて照れているミゼルを見ながら少しばかり鼻の下が伸びている状態でも手を緩めず襲ってくるクラッチロウ。
常人の十倍でも凄いのだが、二十倍のスピードとパワーで押し切ってきているのなら余裕のセリフが出てきても良いのだが、無言で襲ってくるところをみるとこれは覚醒というより暴走と捉えた方が正解と思えた。
「さっきまでの意識がある時よりパワーもスピードも段違いだが、そのギアチェンジの速度もかなり上がっている。スピードからパワーに能力を全開に切り替えるときに僅かなロスが出ていたが、今は殆ど無いくらいだ。暴走でギアチェンジがオートにでもなったというのか?」
意識がある状態でも限界の動きを続けていれば身体に負荷がかかり、やがて自滅をする。ただ意識が制御できれば壊れた瞬間にブレーキを掛けれるが、意識が飛んでいる状態だと壊れても負荷をかけ続け、やがて再起不能になる。
「さっさと終わらすか」
転がっているサッカーボール程の氷の破片を拾って、クラッチロウに目掛けて投げる。軽く投げても二百キロ程度の速度が出ていただろうか。今のクラッチロウにしてみれば十キロ程度の感覚だろう。剣で氷の破片を叩き切った瞬間、同時に目の前にまで接近していた俺になす術がなかった。
「生まれながらの能力を恨むことは、俺も賛成だ。人間、平等じゃなくっちゃな」
やったこともない野球のフルスイングをクラッチロウにかました。
「峰打ちで許してやるるよ!」
と言っても日本刀ならまだしも剣に峰の部分が無いので、腹の部分でフルスイングをしたのであった。
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