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誘惑に打ち勝てますか?

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 偶然に偶然が重なって運良く今も生きているが、思えばこの世界に転移してきてすぐにロイエルーンやミゼルの裸を見てしまったわけなのだが。

 妹ととしてキャゼルとも一緒に風呂に入ったり寝てるが、魔王の呪われた行為をすることはなかった。それはもしかしたらたまたまなのかもしれない。この異世界が混浴に寛容な世界であることと、肉体の成長と精神が現世と違う部分があるからなのかもしれない。

 そうこうしてるうちに、万葉子を手に入れ解読し、呪いの真実を知ることになるのだが。それも本当に偶然で運が良かっただけなのかもしれないのだ。

 女王であるロイエルーンと知り合ったからこそ得た情報だ。田舎街に転移していれば、歴史的書物である万葉子の存在を知ることはなかったかもしれない。そもそも過去の人達が聖剣と同じ場所に保管してなかったら手に入れてなかったとも考えられる。

 今はチートな能力にうぬぼれているが、魔王の実力は俺のチート以上かもしれない。そうすると、魔王との戦いで命を落としてしまえば結局童貞のままこの世から消えてしまうのだ。

 だったら戦いなんかから逃げて、目の前の女の子達と童貞卒業してから死んだ方が幸せと考えるのが普通の童貞の思考だろう。

 顔も普通でモブキャラだった俺は当然女の子と上手く接することもできず、最後には大学中退の元ニート。逆に言えば、女の子の扱いが手馴れたものだったら、どこかで手を出していたのかもしれない。

 現時点で言えば、辛かった思春期のモテなかったモブキャラ人生が自分を救ったのかもしれない。

 だけど、人生で初めてのチャンスと勘違いをしてしまう程の二人のいたずらに騙されず、今日踏みとどまったのは魔王との戦いが嫌とかじゃなくて、頭の中でミゼル達の兄として良いのだろうかと自問自答したからだ。

 恋愛感情ではなく、本当に兄として妹達が可愛すぎるのだ。そんな妹達を残して童貞卒業と同時に死にましたって、死んだ後でもシャレにならない。

 そう考えると妹達と知り合ってなかったら、やはりどこかのタイミングで呪いを発祥させて死んでいたのかもしれないな。

 全ての偶然が重なりあって、今の自分が存在している。

 そのことに、人間は感謝の気持ちを忘れてはいけないのだろう。

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