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魔王の呪い

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「ミゼルはええ子やし、今のところスタイルも良いから男は寄ってくるやろうな。ちょっと食べ過ぎて、ぽっちゃりから抜け出せんかもしれんけど」

「そう。しかもお姫様だからな。最初会ってから姫だと知るまで、なんというバタバタした娘だと思っていたけどな。確かに良い子であるのは間違いないな」

 二人にミゼルを絶賛され、兄として嬉しい気持ちになった俺はバッサリ切り捨てられた。

「満足してる場合じゃないよって言ってんの。良い子だから他の男が寄って来た時、ウタルは兄として見送れるのか? 好きなのだったら兄妹という関係からいつか変えていかないと取返しつかなくなるんだぞ」

 セリカにたしなめられたが、俺は今すぐどうこうしなければならない状況であることはわかっていたので、軽く聞き流した。

「まあ、その時が来たらどうにかなるだろうし、ミゼルはまだ子供だからな」

「子供って、もう十歳やで? ミゼルの周りの子たちはちらほら恋人作る年頃や。ウタルがとろとろしてる間にスグ大人になってまうわ」

 ルーチェの十歳という言葉にいまいちピンとこないが、現世に置き換えたらプラス五歳か。それでもまだ高校一年生、まだまだ子供だろうと俺はなにも心配をしなかった。

「もしかして、今まで女と触れ合う機会がなかったから、ミゼルに告白して振られるよりか兄妹で一緒に寝たりする方を選んでるんちゃうやろな? 目先の利益しか追ってなかったら後で後悔するんやで」

「ま、まぁそれは……」

 正直、生まれてから彼女いない歴が年齢の俺からしたら、兄妹という設定でミゼル達と一緒に風呂に入ったり、一緒に寝れることは天国のようなものだった。急いで結果をだすよりも、今の状況に甘んじているのは言うまでもない。

 二人に心の中を的中された俺は何も言い返せない。

「それに……」

 言いかけて俺は言葉を一度飲み込んだ。

 幸いなことに? この異世界では処女の証に女性には猫耳が存在している。その証明に間違いなければ今、目の前にいるルーチェとセリカの二人も処女の証の猫耳がまだ生えている。

 そんな二人にこんな話をしても大丈夫なのだろうかと、もう一度だけ頭の中で考え直した。

 そう、魔王の呪いの件である。

「それに、ってなんだい?」

「いやぁ……」

「あー、あー、あー、あー、ウタル、それはモテへんで。自分が一度言いかけたことはハッキリ言うのが男やで。うじうじしてたらキャゼルちゃんにも嫌われるで」

「この場合、キャゼルは関係ないだろ」

 腕を組んで得意げな顔で俺を見下したルーチェは、俺を指をさして声のトーンを上げる。

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