44 / 138
戦争こわいです
44
しおりを挟む
「それよりもロイエルーン! 聖剣ヨシミツ、人が持ち運べる大きさじゃないじゃないか!」
「おぉ、冗談のつもりで言ったのだが、本当に持って帰ってきおって、正直驚いておるぞ」
本気で驚いているようだが、普通の人間なら持ち上げることができない重さである。そのヨシミツを持ち運んでいる現実を見て、俺の力が普通じゃないというのは感じとれているようだ。ダンパー達を撃退した話にも信じてもらえたのはこの聖剣を持ち帰った力が証明している。
「高い資金使って作成して国宝にもなってる聖剣を簡単にくれるっていうから、気前がいいかなと思っていたら持ち運べない大きさって。驚いたけど本当に持って帰って逆に驚いただろ?」
ヨシミツを片手で持ち上げ、ロイエルーンに向けた。
「無礼だぞ!」
ジュリアーノにたしなめられ、剣をおろした。
「戦争になった場合、なるべく犠牲者は出したくないからな。敵の規模がどんなものかわからないが、それなりに役には立つ証明にはなったかな?」
「人並み外れた力があるのは認めよう。しかし戦争になれば数だ。我が国の為に戦ってくれるのなら歓迎だが、指揮官の指示には従ってもらうぞ」
「へいへい」
従う気はさらさらなかったが、この場は従う素振りの返事をしておいた。
力だけでなく、スピードも人並み外れている証明をしたかったのだが、チートを教えてルーチェ達の存在意義がなくなっては恨まれてしまうので、今は言わないでおくことにした。
それに国から報酬が払われないと、俺が食わせてやらなければならないからだ。これも理不尽なのだが、その資金は昔の転移者が残したものだから独り占めするのも気が引けるから有効に使うことということで自分に言い聞かせた。
「それにしても、水工場を占拠したいって、なにか理由でもあるのだろうか?」
「あの工場が占拠されれば我が国の収入源が途絶え、じきに国も滅ぶか売国するしかないだろうな。隣国からすれば労せず我が国が手に入るわけだ。すなわち土地と労働者がな」
ジュリアーノは淡々と持論を述べたが、恐ろしいことだ。それほど、あの水工場はこの国にとって守らなければならない存在ってことだ。
「しかし、水工場なら自国で作ればリスク犯してまで他国のを占拠しにこなくてもいいんじゃないのか?」
俺の素朴な疑問にロイエルーンは答える前に足を組み換えた。いつも思うのだが、組み換える瞬間、見えそうで見えないのがもどかしいのだが、ロイエルーンはわざとやっているのだろうか?それとも見えそうで見えないのがわかっているのか? こっちの素朴な疑問には答えてくれそうにないので言うのは控えることにした。
「おぉ、冗談のつもりで言ったのだが、本当に持って帰ってきおって、正直驚いておるぞ」
本気で驚いているようだが、普通の人間なら持ち上げることができない重さである。そのヨシミツを持ち運んでいる現実を見て、俺の力が普通じゃないというのは感じとれているようだ。ダンパー達を撃退した話にも信じてもらえたのはこの聖剣を持ち帰った力が証明している。
「高い資金使って作成して国宝にもなってる聖剣を簡単にくれるっていうから、気前がいいかなと思っていたら持ち運べない大きさって。驚いたけど本当に持って帰って逆に驚いただろ?」
ヨシミツを片手で持ち上げ、ロイエルーンに向けた。
「無礼だぞ!」
ジュリアーノにたしなめられ、剣をおろした。
「戦争になった場合、なるべく犠牲者は出したくないからな。敵の規模がどんなものかわからないが、それなりに役には立つ証明にはなったかな?」
「人並み外れた力があるのは認めよう。しかし戦争になれば数だ。我が国の為に戦ってくれるのなら歓迎だが、指揮官の指示には従ってもらうぞ」
「へいへい」
従う気はさらさらなかったが、この場は従う素振りの返事をしておいた。
力だけでなく、スピードも人並み外れている証明をしたかったのだが、チートを教えてルーチェ達の存在意義がなくなっては恨まれてしまうので、今は言わないでおくことにした。
それに国から報酬が払われないと、俺が食わせてやらなければならないからだ。これも理不尽なのだが、その資金は昔の転移者が残したものだから独り占めするのも気が引けるから有効に使うことということで自分に言い聞かせた。
「それにしても、水工場を占拠したいって、なにか理由でもあるのだろうか?」
「あの工場が占拠されれば我が国の収入源が途絶え、じきに国も滅ぶか売国するしかないだろうな。隣国からすれば労せず我が国が手に入るわけだ。すなわち土地と労働者がな」
ジュリアーノは淡々と持論を述べたが、恐ろしいことだ。それほど、あの水工場はこの国にとって守らなければならない存在ってことだ。
「しかし、水工場なら自国で作ればリスク犯してまで他国のを占拠しにこなくてもいいんじゃないのか?」
俺の素朴な疑問にロイエルーンは答える前に足を組み換えた。いつも思うのだが、組み換える瞬間、見えそうで見えないのがもどかしいのだが、ロイエルーンはわざとやっているのだろうか?それとも見えそうで見えないのがわかっているのか? こっちの素朴な疑問には答えてくれそうにないので言うのは控えることにした。
0
お気に入りに追加
330
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる