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戦争こわいです

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「バッカモーン!!」

 磯の香りが漂いそうな雰囲気なところで聞こえてきそうな罵声を浴びせられて、俺達四人は横一列に立って各々言い訳を主張していた。

 言い訳というより、本人は正論を述べているつもりなので、余計たちが悪いかもしれない。

「まぁまぁロイエルーン様、弱小隣国が攻めてきたところでビビることはないですよ」

「そうですよロイエルーン様。僕が選抜隊として全滅させてみせますからお任せください」

「お兄ちゃんがね、こうやってこうやってギッタギタにやっつけてくれるよ」

 皆、思い思いのことを述べながら、あーでもないこーでもないと言っている間、ワナワナワナという擬音が似合いそうな顔をしたロイエルーンの眉間のしわがこれ以上作れないところで再び声を荒げて、俺達は肩をすくめた。

「いい加減にせんか! 戦争をなんだと思っておるのだ!」

 一理あるどころか、全くの正論を言うロイエルーンに怯まずルーチェとセリカは自分の主張を述べていたが、その度に雷を落とされていた。怯まない二人のハングリーさには驚いたが、当人達からしたら死活問題なのだから必死になるのだろう。

 人間同士の戦争だったら褒められたものではないが、相手が魔術で作られたのであれば遠慮なく戦えるってことなのだろうが、間違えたら自分の命を落とすという危機感はないのだろうかが不思議なところだ。

「お前ら、目先の報酬の為に大きなこと言って、敵が思っているより手強かったらどうするんだ?」

「その時はウタルがチャチャッとやっつけてくれたらええねん」

「その意見には賛成だ。だが、じゃあ最初から君が行けば僕達の意味がなく無報酬で終わってしまうから、くれぐれも君の力は内緒にしててくれたまえ」

 コイツらの自信の根拠は俺の力をアテしていた。とんでもない奴等である。

「お前の意見はどうなんだ、ウタル」

 ロイエルーンに名指しされ、ルーチェとセリカの顔を伺ったが、二人とも苦笑いでうまく言えと言わんばかりのサインを送ってきた。

「まぁ戦争しかけてくるなら応戦するしかないけど、臨戦態勢で準備しとけば良いんじゃないのか?  この国でも平和といえど軍隊はいるんだろ?」

「無駄な税金を使って軍隊は揃えておる。国民の為に戦い、税金が無駄ではなかったと証明するには良い機会だが、戦争自体が税金の無駄使いなのだが仕方がないだろう。ちょうど今日も軍の会議にカイトが出ている。総指揮はカイトに任せれば良いだろう」

 カイトの名前に反応したセリカは勢いよく左手を上げ、まるで選手宣誓でもするかのように大きな声をあげた。

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