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魔法使いルーチェ

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「ちょっと休憩しようや。もう追手きてないみたいやで」

 見える範囲ではバンカー達の姿は見えなかったが、次も運良く逃げれるとは限らないが、俺達三人と一匹は木陰で休むことにした。

「私の名はルーチェ。ロッキンバッシュっていう港町のから来たんや」

「俺の名はウタル。月野ウタルで」

「私はミゼル―ン・シュバイツェル。みんなミゼルって呼んでるからミゼルって呼んでね」

 言うより早くミゼルは自己紹介をした。

「シュバイツェルって、国王じゃんか!ほなミゼルは国王の娘、つまりお姫様っちゅうことかいな?」

「あー、しまった。外ではシバイタルって偽名使うように言われてたんだっけ」

 ペロっと舌を出しておどける。

「かまへんやんか。私も丁度国王に用事があってここまで来てるんや」

「用事?」

 引っ掛かった俺は会話の間に入る。

「仕事の話や。それよりウタルはん、えらい距離走ったけど全然疲れてないみたいやな。どんな魔法使ってんねん」

「ウタルでいいよ。それが不思議と疲れないっていうか感覚的には歩いてるのと変わらないんだよ」

「男前やなウタル。私が爆乳やからってカッコつけんでもかまへんのやで」

 そう、このロリッ子異常な程の爆乳なのだ。

「いや、カッコつけてないけど」

 そう言いながら、爆乳に目が行ってしまう。

「ルーチェは何歳?」

「私はピッチピチの十五歳やで」

 なにがピッチピチか知らんが、顔だけで言えばミゼルより年下に見える。現世で言えば二十歳か。全く見えないな。ルーチェに限って言えば見た目は現世の十五歳と遜色ない感じだ。爆乳以外は。

「ウタルは何歳なん?」

「俺は二十二歳だが」

「結構オッサンなんやな。人生頑張らなアカンで」

 言われなくても頑張ってはいるのだが。このルーチェは思ったことを何でも口に出してしまうタイプだなと思った。

「それにしても凄いな」

「この爆乳やろ?そらもう──」

「いやいや、それは置いといてあの最後の地面が盛り上がってきたやつだよ」

「自分、わかってるなー。アレは私の魔法でも特異なやつやねん」

「魔法?」

 ミゼルがピョンと跳ねながら嬉しそうに言った。

「そやで、私は魔法少女ルーチェや。今の時代魔法使いはレアやからな。レアすぎて仕事がのうて食うていけんから、シュバイツェル王に仕事ないかと思って頼みにきたんやがな」

 頼もしいのか頼りないのか、微妙な魔法使いだ。

「ちなみにパパはいないよ。どっかいっちゃったよ」

「へ?」

 ルーチェの唖然とする気持ちもわからないでもない。国の王が行方不明なのだから。

「今は代わりにママが仕切ってるよ」

「ママか……。この爆乳が武器にならないなぁ」

 この十五歳は爆乳で国王をたぶらかすつもりだったのか?

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