令嬢である妹と一緒に寝ても賢者でいられる方法を試してたらチート能力が備わった件

三人目の異世界転移者

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「元々鍛冶屋職人と自称する遊佐丘氏は、国王の命めいで剣を作っている。年数にして五年。製作費用は十億マルと記されている」

「十億!?　流石、国王の支持だから贅沢な製作だな」

「いや、制作費用は実費になっている」

「実費？　大金持って転生してきたのか？」

「初期の魔王討伐で、莫大な賞金を手にしていたんだよ」

　ロイエルーンが割って入って、俺に説明をしながら手でジュリアーノに指図する。

「どうやら魔王の被害は他国は相当のものだったようで、それを聞いた時の国王は各国に賞金を募っては金額を増やしていった。被害の大きな国は、一刻も早く魔王を退治してほしかったのでシュバイツェル国王の案に賛同していった」

「利用したってことか？」

「勝算があったかどうか当時の詳しいやり取りはわからんが、万葉子は手柄を、国王は他国の賞金と名誉を手に入れることに成功したのだ。その額、百億マル」

　結果往来の出来事に何とも言えない感情になる。

「万葉子ここには記されていないが、現世に帰る時に賞金は国の繁栄に使ってくれと言っている。しかし、同じ境遇の者が現れた時はこの賞金を使って不自由ない生活を保障してほしいとも言い残している」

「何百年もその約束を守って、二人目の転生者である遊佐丘義光に賞金を時の国王は渡すということか」

「好きな刀作りに時間と予算を気にせず生涯をかけれたことに感謝して、この国と後世に残りの賞金を残すと記されている」

　湯気が立つ飲み物を入れて、テーブルに高価そうな食器をジュリアーノは並べる。紅茶のような香りがして、好きだなと思った。

「毒など入っておらんから安心しろ。なんなら好きなカップを選ぶがよい」

　飲みたい気持ちを抑えて、カップに手をかけずに躊躇していた気持ちを察するように言われたが、じゃあと言って目の前のを飲むことまでが計算だったらいけないので敢えて隣のミゼルのカップと交換した。

「用心深いな」

「普通でしょう」

　それから見たことある袋を持って来てテーブルの真ん中にソレをジュリアーノは置いた。

　ソレには現世でお気に入りのお菓子屋だった『昭和堂』と記されていた。