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第十一章 夜明けのホワイトクリスマス
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「天野さんまだ寝てるのかしら?」
「沢山飲んだ翌日だからねぇ」
すっと起き上がって扉から除き混む雪実。これで起きてたら丸聞こえだったなと今から思っても仕方ないような重大性に気付いた。
「まだぐっすり寝てるっぽいよ。寝顔も可愛いよ、見る?」
「悪いだろ」
付き合いの長い恋人同士でもない上に飲んだ翌朝の顔なんて絶対に見られたくないだろうに。寝顔、ちょっと見たい気もするが今度の機会を気長に待つことにしよう。
「俺は紳士だからな」
「紳士は飲んで寝てる女の子のオッパイを触ろうとしないわよ。しかも生で」
「ぐぬぬ。ま、まぁしかし未遂だし雪実の白桃桃尻を生で拝めたから良しとするか」
「良しじゃないわよ!」
クッションを投げつけてくるが敢えて顔面で受け止める。それは白く形が良かった雪実の桃尻に対して敬意を表しているからだ。
避けず微動だにしない俺を疑問に思った雪実にそのことを伝えると吐き捨てる様に言った。
「……変態!」
「いや、紳士だ。紳士的変態に俺はなる!」
「コーヒーお代わり」
「はーい」
俺の本気の宣言をスルーされたが、クリスマスイブにファーストキスを同性に奪われた時に素っ裸で桃尻を見られた雪実を少し労ってコーヒーの準備をした。
「そういえば一泊したけど家族の人とか心配してないのかな?」
「子供じゃないからなぁ、心配だったら電話かメールくらいしてくるだろ」
「寝てるからメールの返事出来ないわよ」
「そうだなぁ。そもそも電話も鳴らないけど充電切れてんじゃないのか?」
架けてるコートのポケットに入っていたスマホは雪実に触らせても反応が無い。俺が触って不用意に待ち受け画面を見ることさえも気が引けたので充電器を渡し、少し経ってから電源ボタンを押すように教えた。
「あ、点いたよ!」
生まれて初めてみる子供の様にスマホの起動画面をジッと眺めていた。間もなくすると雪実さんのスマホに着信が鳴る。
「カオルって出てるよ」
「ど、ど、ど、どーするんだ!」
ピコピコピコピコ。
「どーするって、起こすの? って何やってんのよ!」
グルグルと部屋を走り回る雪実。気が動転した俺はピコピコと意味不明な動きをしていた。
「起こしても今の状況説明は出来ないだろうし、どうしよぉ」
その後も意味不明な動きをしていると着信音が止まった。
「心臓が止まるかと思ったぜ」
「カッコつけてもダサかったわよ」
二人揃って身体が熱くなっていたのだろう、少々息が切れていた。だが、一息する間もなく再び着信音が鳴る。
「またカオルって人からよ!」
「電源入れた途端にこんなに鳴るなんて、切れてる時からずっと掛けてきてたんじゃ……」
「えぇ!」
「心配性みたいに言ってたし、連絡取れないからってブチギレてんじゃないのか? 雪実電話に出ろ」
「なんでわらわが?」
「俺が出た方が怪しまれるだろ? 落ち着いて事情聞くまで女性が話した方がいいって」
鳴りやまないスマホを手に取り、スピーカーにして通話する。
「もしもし」
「もしもし詩織? 今どこにいるの、なんで電源切って連絡してこないんだよ。帰ったらするって言ってたのに詩織まさか会社の同僚って奴と今……」
ピッ。
「どどどど、どーしよー」
思わず電話を切って、ピコピコとまた意味不明な動きで雪実を突きながら三度目の鳴り続けるスマホにおののいた。
「沢山飲んだ翌日だからねぇ」
すっと起き上がって扉から除き混む雪実。これで起きてたら丸聞こえだったなと今から思っても仕方ないような重大性に気付いた。
「まだぐっすり寝てるっぽいよ。寝顔も可愛いよ、見る?」
「悪いだろ」
付き合いの長い恋人同士でもない上に飲んだ翌朝の顔なんて絶対に見られたくないだろうに。寝顔、ちょっと見たい気もするが今度の機会を気長に待つことにしよう。
「俺は紳士だからな」
「紳士は飲んで寝てる女の子のオッパイを触ろうとしないわよ。しかも生で」
「ぐぬぬ。ま、まぁしかし未遂だし雪実の白桃桃尻を生で拝めたから良しとするか」
「良しじゃないわよ!」
クッションを投げつけてくるが敢えて顔面で受け止める。それは白く形が良かった雪実の桃尻に対して敬意を表しているからだ。
避けず微動だにしない俺を疑問に思った雪実にそのことを伝えると吐き捨てる様に言った。
「……変態!」
「いや、紳士だ。紳士的変態に俺はなる!」
「コーヒーお代わり」
「はーい」
俺の本気の宣言をスルーされたが、クリスマスイブにファーストキスを同性に奪われた時に素っ裸で桃尻を見られた雪実を少し労ってコーヒーの準備をした。
「そういえば一泊したけど家族の人とか心配してないのかな?」
「子供じゃないからなぁ、心配だったら電話かメールくらいしてくるだろ」
「寝てるからメールの返事出来ないわよ」
「そうだなぁ。そもそも電話も鳴らないけど充電切れてんじゃないのか?」
架けてるコートのポケットに入っていたスマホは雪実に触らせても反応が無い。俺が触って不用意に待ち受け画面を見ることさえも気が引けたので充電器を渡し、少し経ってから電源ボタンを押すように教えた。
「あ、点いたよ!」
生まれて初めてみる子供の様にスマホの起動画面をジッと眺めていた。間もなくすると雪実さんのスマホに着信が鳴る。
「カオルって出てるよ」
「ど、ど、ど、どーするんだ!」
ピコピコピコピコ。
「どーするって、起こすの? って何やってんのよ!」
グルグルと部屋を走り回る雪実。気が動転した俺はピコピコと意味不明な動きをしていた。
「起こしても今の状況説明は出来ないだろうし、どうしよぉ」
その後も意味不明な動きをしていると着信音が止まった。
「心臓が止まるかと思ったぜ」
「カッコつけてもダサかったわよ」
二人揃って身体が熱くなっていたのだろう、少々息が切れていた。だが、一息する間もなく再び着信音が鳴る。
「またカオルって人からよ!」
「電源入れた途端にこんなに鳴るなんて、切れてる時からずっと掛けてきてたんじゃ……」
「えぇ!」
「心配性みたいに言ってたし、連絡取れないからってブチギレてんじゃないのか? 雪実電話に出ろ」
「なんでわらわが?」
「俺が出た方が怪しまれるだろ? 落ち着いて事情聞くまで女性が話した方がいいって」
鳴りやまないスマホを手に取り、スピーカーにして通話する。
「もしもし」
「もしもし詩織? 今どこにいるの、なんで電源切って連絡してこないんだよ。帰ったらするって言ってたのに詩織まさか会社の同僚って奴と今……」
ピッ。
「どどどど、どーしよー」
思わず電話を切って、ピコピコとまた意味不明な動きで雪実を突きながら三度目の鳴り続けるスマホにおののいた。
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