桃太郎かな？

旅立ち前

美味しい食事

 ポチに食事をあげた桃太郎は、家の中へ入った。
 桃太郎が外に出ている間に、おばあさんは夕食を用意して待っていた。

婆「ポチに食事を持って行ってくれて、ありがとう。さあ、わたしらの食事もできたぞ」
爺「桃太郎よ、おばあさんの作った食事は美味しいぞ」

 出てきたのは、もちろん豪勢な食事などではなく、質素な物である。

桃太郎「今から食べるのが楽しみです！」
婆「そこまで期待されるほどの、食事ではないがの」

 桃太郎は、普段の振る舞いからは想像できないほど、ワクワクしていた。

婆「なんというか、質素な物じゃから、別の国からきた桃太郎が満足できるかのう」

 おばあさんは、桃太郎が美味しく食べることができるのか、気になる様子。

桃太郎「大丈夫ですよ、ではいただきます」

 桃太郎は食べ物を口に運んだ。
 そして、しっかりと味わう。

桃太郎「…懐かしい味だ、やっぱりこの人が作った食事は、美味しいな」

 桃太郎は嬉しそうな表情で、独り言のように、小さく呟いた。

婆「ん、何か言ったかの？」
桃太郎「いえ、なんでもありませんよ、とても美味しいです」
爺「そうじゃろ、だから毎日の食事の時間が、一番幸せなんじゃよ」

 おじいさんは、とても幸せそうな表情で言う。
 食事をとても美味しいと言われたおばあさんも、幸せな気持ちになった。

婆「色々なところを、旅したであろう桃太郎に満足してもらえて、嬉しいのう」
桃太郎「確かに今まで、色々な種類の食事をしてきましたが」
爺「わしらは毎日変わらず、こういう食事じゃからのう、わははは」

 おじいさんは面白そうに笑う。
 そして桃太郎に、このように伝えた。

爺「じゃが、こういう質素なのが逆にええのじゃ」
桃太郎「とても落ち着く味ですからね」

 おじいさんと桃太郎は、意気投合をした。

婆「二人から美味しいと言われると、二倍嬉しいのう」
爺「今までは、わしだけじゃったからな」

 そして、おばあさんは楽しそうに、こう言う。

婆「これから食事を作る時は、今までの二倍、気合いを入れるからの」

 おばあさんの目は、やる気に満ち溢れていた。

桃太郎「気合いが入ってますね！これからの食事がとても楽しみです」
爺「これからは毎日一緒に、この食事を楽しもうぞ」

 桃太郎とおじいさんはやはり、ワクワクしていた。