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第二章 いざ捜査へ
23.出発!
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結局、学校で私が颯馬くんたちに名前を呼ばれることはなかった。
……というか、クラスが違えば顔を合わせる機会はぐっと減る。どっちかが会いに行かないかぎり、廊下ですれ違うこともないのだ。
(付喪神の縁がなければこの程度の距離感だと考えると、少し寂しいな)
あれから、私も一度は花凛さんたちに囲まれた。「一条様とどんな話をしていたの?」って。それも最初みたいに教室じゃなくて、一人になったところを狙われた。きっと、警告だったと思う。これ以上颯馬くんたちと仲良くするのは許さないよっていう意味。
きっと、毎回一条くんたちが声をかけた子にはみんなそうやって問い詰めてきたんだろう。そうやってお互いにお互いをけん制しあって、抜け駆けをしないように。
良いところのお嬢様だって、普通の女の子と変わらないんだなって。
(みんな従ってる綾小路さんが英蘭会じゃないことには驚いたけど)
そう考えると恐ろしい存在じゃないように思えたけど、目を付けられたくないのは確かだ。颯馬くんたちと少し仲良くなったことは黙っておこう。
。。。
そしてついにやってきた土曜日。
アキくんと友達の家に遊びに行くというと、お母さんはとても嬉しそうにした。
「まあ、もうそんな仲いい友達ができたの?あんた、小学校の時は全然そんな話なかったから心配してたのよ。……って、なんで制服着てるのよ」
話が長くなりそうな感じだったから、待たせちゃうと言って急いでウエストポーチをつかんで家を出る。
ポーチはおばあちゃんの蔵を探検するときにも使っていたやつで、かわいらしい赤色が気に入っているんだ。中にはルーペとペンライト、ピンセットといった鑑定に使うものから作業手袋まで入れている。あんまりたくさんは入らないから、ここ数日悩みながら選んだ大事な装備品だ。
(白鳥くんは手ぶらでいいって言っていたけど、よく使う道具くらい持ってた方がいいよね)
アキくんは美術部に用があるって早めに出発していたから、今日は一人で学校に向かう。
美術の腕を見込まれて入学した特待生だから、他の部員とは扱いが違うようで、なんと専用のアトリエが用意されているらしい。さすが英蘭。スケールが違いすぎる。
「おーい、雪乃!こっちだ!」
校門をくぐって蘭の館に向かえば、館の前から颯馬くんの声が聞こえた。その隣にはスマホを触っている白鳥くんがいて、少し空間を開けてアキくんが手を振ってくれていた。その足元にはボストンバッグがおいてあり、妙に膨らんでいる。
「ごめん、遅れちゃった」
「いや、俺たちが早すぎたんだ。まさか秋兎と別々で来ると思わなかったんだ」
慌てて駆け寄る。早めに出たつもりだけど、私が一番遅かったみたいだ。
「あれ、ユキも用意してきたの?言ってくれれば、全部ソウが準備したのに」
「それは申し訳ないかな……」
そうは言っても、白鳥くんも小脇に小さい鞄を抱えていた。
(準備してきてよかった!)
何も持ってこなくていいって、そういうことだったんだ。てっきり付喪神を見るだけだから何もいらないってことだって思ってた。
「頼んだのは俺だから気にしないでほしいんだが……まあ、他に必要なものがあったらいつでも言ってくれ。すぐに用意する」
「ありがとう。そのときは頼らせてもらうね」
何が必要か、実際に見てみないとわからないし。
「ユキも来たし、ちょっと早いけどもう行く?」
「そうだな。日が暮れたら見えにくいし。車は裏門で待たせてるから、このまま向かっても構わないぞ」
確認するようにこちらを見る颯馬くんに頷き返す。
「よし、じゃあ俺ん家に行くか」
……というか、クラスが違えば顔を合わせる機会はぐっと減る。どっちかが会いに行かないかぎり、廊下ですれ違うこともないのだ。
(付喪神の縁がなければこの程度の距離感だと考えると、少し寂しいな)
あれから、私も一度は花凛さんたちに囲まれた。「一条様とどんな話をしていたの?」って。それも最初みたいに教室じゃなくて、一人になったところを狙われた。きっと、警告だったと思う。これ以上颯馬くんたちと仲良くするのは許さないよっていう意味。
きっと、毎回一条くんたちが声をかけた子にはみんなそうやって問い詰めてきたんだろう。そうやってお互いにお互いをけん制しあって、抜け駆けをしないように。
良いところのお嬢様だって、普通の女の子と変わらないんだなって。
(みんな従ってる綾小路さんが英蘭会じゃないことには驚いたけど)
そう考えると恐ろしい存在じゃないように思えたけど、目を付けられたくないのは確かだ。颯馬くんたちと少し仲良くなったことは黙っておこう。
。。。
そしてついにやってきた土曜日。
アキくんと友達の家に遊びに行くというと、お母さんはとても嬉しそうにした。
「まあ、もうそんな仲いい友達ができたの?あんた、小学校の時は全然そんな話なかったから心配してたのよ。……って、なんで制服着てるのよ」
話が長くなりそうな感じだったから、待たせちゃうと言って急いでウエストポーチをつかんで家を出る。
ポーチはおばあちゃんの蔵を探検するときにも使っていたやつで、かわいらしい赤色が気に入っているんだ。中にはルーペとペンライト、ピンセットといった鑑定に使うものから作業手袋まで入れている。あんまりたくさんは入らないから、ここ数日悩みながら選んだ大事な装備品だ。
(白鳥くんは手ぶらでいいって言っていたけど、よく使う道具くらい持ってた方がいいよね)
アキくんは美術部に用があるって早めに出発していたから、今日は一人で学校に向かう。
美術の腕を見込まれて入学した特待生だから、他の部員とは扱いが違うようで、なんと専用のアトリエが用意されているらしい。さすが英蘭。スケールが違いすぎる。
「おーい、雪乃!こっちだ!」
校門をくぐって蘭の館に向かえば、館の前から颯馬くんの声が聞こえた。その隣にはスマホを触っている白鳥くんがいて、少し空間を開けてアキくんが手を振ってくれていた。その足元にはボストンバッグがおいてあり、妙に膨らんでいる。
「ごめん、遅れちゃった」
「いや、俺たちが早すぎたんだ。まさか秋兎と別々で来ると思わなかったんだ」
慌てて駆け寄る。早めに出たつもりだけど、私が一番遅かったみたいだ。
「あれ、ユキも用意してきたの?言ってくれれば、全部ソウが準備したのに」
「それは申し訳ないかな……」
そうは言っても、白鳥くんも小脇に小さい鞄を抱えていた。
(準備してきてよかった!)
何も持ってこなくていいって、そういうことだったんだ。てっきり付喪神を見るだけだから何もいらないってことだって思ってた。
「頼んだのは俺だから気にしないでほしいんだが……まあ、他に必要なものがあったらいつでも言ってくれ。すぐに用意する」
「ありがとう。そのときは頼らせてもらうね」
何が必要か、実際に見てみないとわからないし。
「ユキも来たし、ちょっと早いけどもう行く?」
「そうだな。日が暮れたら見えにくいし。車は裏門で待たせてるから、このまま向かっても構わないぞ」
確認するようにこちらを見る颯馬くんに頷き返す。
「よし、じゃあ俺ん家に行くか」
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