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現実しか見せてくれない②
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「ロクも優しいな。そんな一面があるから殺すのを後回しにしたのかもしれない」
「だったら、わたしも生き残らせてよ」
「残念ながら生き残れるのは一人だけだ、諦めて」
邪魔して悪かったよ、とでも伝えているのかシイがナナに手を振っていた。
「確認だが、イチは頭に埋めこまれた機械から発生した音でシイが殺したんだな」
「手動でね、首を切ったのはナナだけど」
「とはいえ、その行動もシイの計画に組みこまれていたんだろう。わたしの性格を把握していればイチの頭を調べるのは明白だし」
ナナの推測が当たったからかシイがにやつく。
「わたしも質問しても良いでしょうか」
「イチを殺した音の正体でも知りたいのか。わたしの動機が分かっているハチなら、これだけで充分な答えになるんじゃないか」
「丁寧な解説をありがとうございます」
今の言葉が本当だとしたら、シイだけが四階の音を嫌がらない理由も説明がついてしまう。
「話を戻すけどナナがイチの頭を調べることを前提でシイは行動していた。おまけに例のメッセージの情報を伝えられた状態だから、わたしが一番疑われやすくて」
「なんか全てわたしの計画通り、みたいに思われているけど。犯人役としてニイを残しておこうとしただけだよ」
実を言うと結果は失敗だしさ、心臓交換は見破られる前提でニイに身代わりになってもらう予定だとシイが暴露する。
「あの日、イチとニイが一緒にファッションルームにいるのは知っていたんですよね」
「二人目を誰にしようか、四階の廊下を歩きながら考えている時に見かけたんだ。その時ゴウはロクを心配して部屋の前にいたから動きやすくてラッキーだったな」
もう少し正確に言うなら朝にナナとハチが階段を上がってきた時のようなとシイが腕を組んで、目を閉じていた。
「どうして、ナナとわたしがファッションルームに戻ってきた時にイチを殺そうと」
「イチとニイが一緒にいたと証言してくれる存在が必要だったし。記憶が曖昧だがナナとハチが階段を上がってきた直後だと、誰かが追いかけてきていたと推測される可能性もあったからさ」
特にナナはタイミングが良すぎるとか考えて四階と六階を調べたはずだ。へそ曲がりだから安全地帯の四階をまず調べてくるはず、そんなシイの言葉を聞いてか。
「確かに一階からと違い、八階から下りていく時にイチを殺されても六階に移動して逃げ場がなくなるか、体調が悪くなる四階を逃走経路にしないと」
「嘘は良くないな。あの時のナナにそこまで考えられる余裕があれば間違いなくイチの首を切るよりも先に、身を削ってでも四階を捜索していた」
だけど悪手ではない、ナナはイチのように自分も殺される未来を想像してしまっただけなんだから。犯人を捕まえるよりも命を優先しただけのことだとシイがわたしに笑顔を向ける。
「イチを殺した機械は館のどこにいても遠隔操作をできるのに四階まで来る必要があったのかい。確実にイチとニイが一緒にいるのを見るためとか」
「ニイを犯人役として駄目押しをできたのは偶然。ナナなら四階の音が特殊な電波を発生させているのも気づいて」
「四階より下だと五階以上の階層にいるイチの頭の機械を操作できないから近づく必要があったと」
「最後まで言わせてくれよ、ロク」
なんにしても想定よりもナナが感情で動くタイプのアンドロイドで助かったよ。イチが殺された時に至近距離じゃないと機械が動かない場合まで考えられていたらもっと早くわたしに辿りついたかもしれないと口にしつつシイがナナに会釈をしていた。
「最初からお前が皆を殺そうとしなければ」
「ゴウ、シイの言う通りだよ。イチが殺された時のわたしの行動次第で博士が死なない可能性があったのは事実だ」
シイがにこにこした表情でわたしを見ていた理由はナナの罪悪感を刺激するためだったのか。
本来だったらゴウみたいに怒るべきなんだろうがわたしにとっては苦手な分野らしい。感情を露わにしたところで誰も生き返らないし。
「ナナは間違っていたのかもしれませんが。シイが人間になるためには遅かれ早かれ、博士の命も必要だったんですから気にしなくて良いとわたしは思います」
博士はもう死んでいて、どうにもならないと割り切っただけとも言えるけれど。
心配そうにゴウがこちらの顔を見る、ぎこちなくではあるが口角を上げておいた。
「結局、四階の音はなんなの。あなただけは影響が全くないみたいだけど」
話題を変えようとしてくれたようでニイが慌ててシイに質問をする。
「四階の音に関しては博士の存在と一緒に説明するのが良いんだが、犯人としては探偵さんがきちんと把握しているのか知りたいね」
「わざわざ、わたしなんかを立てなくて良いのに」
「どちらかというと、わたしをどうするつもりなのか教えてほしいと言うべきかな」
夢世界で推理ショーの場所に選んでいるし、ナナの本音を理解したつもりでも確認するべきだろう。
シイの問いかけにナナは特に反応しなかった。
「だったら、わたしも生き残らせてよ」
「残念ながら生き残れるのは一人だけだ、諦めて」
邪魔して悪かったよ、とでも伝えているのかシイがナナに手を振っていた。
「確認だが、イチは頭に埋めこまれた機械から発生した音でシイが殺したんだな」
「手動でね、首を切ったのはナナだけど」
「とはいえ、その行動もシイの計画に組みこまれていたんだろう。わたしの性格を把握していればイチの頭を調べるのは明白だし」
ナナの推測が当たったからかシイがにやつく。
「わたしも質問しても良いでしょうか」
「イチを殺した音の正体でも知りたいのか。わたしの動機が分かっているハチなら、これだけで充分な答えになるんじゃないか」
「丁寧な解説をありがとうございます」
今の言葉が本当だとしたら、シイだけが四階の音を嫌がらない理由も説明がついてしまう。
「話を戻すけどナナがイチの頭を調べることを前提でシイは行動していた。おまけに例のメッセージの情報を伝えられた状態だから、わたしが一番疑われやすくて」
「なんか全てわたしの計画通り、みたいに思われているけど。犯人役としてニイを残しておこうとしただけだよ」
実を言うと結果は失敗だしさ、心臓交換は見破られる前提でニイに身代わりになってもらう予定だとシイが暴露する。
「あの日、イチとニイが一緒にファッションルームにいるのは知っていたんですよね」
「二人目を誰にしようか、四階の廊下を歩きながら考えている時に見かけたんだ。その時ゴウはロクを心配して部屋の前にいたから動きやすくてラッキーだったな」
もう少し正確に言うなら朝にナナとハチが階段を上がってきた時のようなとシイが腕を組んで、目を閉じていた。
「どうして、ナナとわたしがファッションルームに戻ってきた時にイチを殺そうと」
「イチとニイが一緒にいたと証言してくれる存在が必要だったし。記憶が曖昧だがナナとハチが階段を上がってきた直後だと、誰かが追いかけてきていたと推測される可能性もあったからさ」
特にナナはタイミングが良すぎるとか考えて四階と六階を調べたはずだ。へそ曲がりだから安全地帯の四階をまず調べてくるはず、そんなシイの言葉を聞いてか。
「確かに一階からと違い、八階から下りていく時にイチを殺されても六階に移動して逃げ場がなくなるか、体調が悪くなる四階を逃走経路にしないと」
「嘘は良くないな。あの時のナナにそこまで考えられる余裕があれば間違いなくイチの首を切るよりも先に、身を削ってでも四階を捜索していた」
だけど悪手ではない、ナナはイチのように自分も殺される未来を想像してしまっただけなんだから。犯人を捕まえるよりも命を優先しただけのことだとシイがわたしに笑顔を向ける。
「イチを殺した機械は館のどこにいても遠隔操作をできるのに四階まで来る必要があったのかい。確実にイチとニイが一緒にいるのを見るためとか」
「ニイを犯人役として駄目押しをできたのは偶然。ナナなら四階の音が特殊な電波を発生させているのも気づいて」
「四階より下だと五階以上の階層にいるイチの頭の機械を操作できないから近づく必要があったと」
「最後まで言わせてくれよ、ロク」
なんにしても想定よりもナナが感情で動くタイプのアンドロイドで助かったよ。イチが殺された時に至近距離じゃないと機械が動かない場合まで考えられていたらもっと早くわたしに辿りついたかもしれないと口にしつつシイがナナに会釈をしていた。
「最初からお前が皆を殺そうとしなければ」
「ゴウ、シイの言う通りだよ。イチが殺された時のわたしの行動次第で博士が死なない可能性があったのは事実だ」
シイがにこにこした表情でわたしを見ていた理由はナナの罪悪感を刺激するためだったのか。
本来だったらゴウみたいに怒るべきなんだろうがわたしにとっては苦手な分野らしい。感情を露わにしたところで誰も生き返らないし。
「ナナは間違っていたのかもしれませんが。シイが人間になるためには遅かれ早かれ、博士の命も必要だったんですから気にしなくて良いとわたしは思います」
博士はもう死んでいて、どうにもならないと割り切っただけとも言えるけれど。
心配そうにゴウがこちらの顔を見る、ぎこちなくではあるが口角を上げておいた。
「結局、四階の音はなんなの。あなただけは影響が全くないみたいだけど」
話題を変えようとしてくれたようでニイが慌ててシイに質問をする。
「四階の音に関しては博士の存在と一緒に説明するのが良いんだが、犯人としては探偵さんがきちんと把握しているのか知りたいね」
「わざわざ、わたしなんかを立てなくて良いのに」
「どちらかというと、わたしをどうするつもりなのか教えてほしいと言うべきかな」
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